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部屋を出ると、玄関口で村尾が掲示板を直視していた
柏木
そう聞くと、1枚の写真を指さした
それは先程見た、集合写真だった
村尾
柏木
柏木
柏木
村尾
2人のやり取りが気になり、私も集合写真へ顔を寄せた
黄ばんだ写真に子供たちがやや不規則に並んで写っている。
一見して普通の集合写真と違いなかった。
しかし、私も村尾と同様に違和感を覚えた
最初見たときにには無かった感覚。
まるで別の写真を見ているような感じだった
柏木
柏木の言葉に急かされたが、私は写真にを思い、目を離せずいた。
そして記憶の中の写真を思い浮かべた直後
目の前の写真の不自然さに気づいた。
子供は等間隔に並んでいる
しかし各列の一部に、妙な空間が空いているのだ
普通なら距離を詰めるべきところが、
この集合写真では空白が放置されたままの並びで映っている。
子供の数が、明らかにさっき見た時よりも減っていた。
何人かが、写真の中から姿を消している。
急に無数の気配を辺りに感じた。
勘違いと言われたらそこまでだが、私は確かに感じた。
急に増えた息遣いや、向けられた視線
自分の目の届かない所に人がいて、こちらを見ているような感覚だ。
背後を振り返った所でなんの姿も見られない。
とてもその場には居られず、私は建物の内部を早足で進んだ。
キィキィ…………
木造の床が音を立てる。
そして少し短い感覚で、床の軋む音が私の後を追う。
角を曲がると、空いている扉が見えた
2人はあそこに居るのだろう。
部屋に入るとそこは寝室のような場所だった。
そこにはくすんだベッドに腰かけた村尾の姿があった。
村尾はくすんだ本に目を落としていた。
私
村尾
村尾
私
村尾
それ以上は何も言わず、黙って本のページをめくった。
私は、この施設はおかしい。撤退しよう。 そう提案したかった。
しかし、年下の村尾がやけに冷静なのと、大騒ぎするもんじゃないという言葉が
脳裏を過ぎり、何も言えずその場に立ち尽くした。
部屋にはヘッドとカレンダーだけがあった。
村尾
鶴をさしながら言う
村尾は私にその日記を差し出した。
開いたページにはこんなことが書かれていた。
7月29日 みんなおなかがすいたよ。 たべものをもらいにいったあさちゃんが、 あたまたたかれた。 ちがいっぱいでてねごめんね、あさちゃん なおるといいね。かえれるといいね。
子供の字で書かれたそれは拙いながらも真に迫る状況を示す文章だった。
私は思わず過去のページを次々にめくった
7月25日 じしんにあった。トンネルがくずれた。 外に出られなくなった。すこしのあいだ かまんしてねってせんせいがいった。 ごうくんたちがけがをしていた。
7月26日 みずがでなくて、せんせいたちがあなをほった すこしだけみずがでた ためいけのみずはくさくてのめない。 ごはんはひるだけたべれた。 またけんかがあつた。 とんねるはまだあかない。
7月27日 せんせいがたたかれた。 みよぉたちがつれてかれた。 たべものがぜんぶなくなった。 はるくんがずっとないている。
7月30日 おなかすいた。のどがすごくかわいた。 トンネルはまだあかない。 はるくんはずっとねてる。 らんぼうしてる。だれかのこえがずっときこえる。