少年
いるま
少年
少年
いるま
少年
少年
いるま
少年
いるま
いるま
少年
俺は少年を脇に抱え上げた
少年
いるま
少年
いるま
俺は少年を風呂場まで担ぎ
少年
いるま
強引に彼を浴槽へ投げ入れる
と同時に、魔法でお湯を出して 上からぶっかけてやった
少年
少年
少年
少年
反抗的な態度から一変
俺を見上げる少年の表情が
一気に青ざめた
小刻みに震えている
怯えているのだろう
俺は今、 般若のような顔でもしているのだろうか
当然だ
俺は今めちゃくちゃ頭にきている
ふざけるな、だと?!
こちらのセリフだ
苦労して引き出した第一声が…
くしゃみ
期待した俺が馬鹿みたいじゃねえか((泣
挙句の果てに
こいつ、俺の服で鼻噛みやがった
………どうしてやろうか
俺は無言のまま、只々彼を見下ろす
こいつも、怯えた目で俺を見上げている
いるま
少年
少年と目が合う
俺はしばらくの間
この少年を睨みつけていた
窓に打ち付ける雨水が
彼の赤い瞳に映り込んでいた__
いつまでそうしていただろうか
少年
沈黙を破ったのは彼だった
しかし俺は即座に反応できなかった
彼の言葉を脳が認識しなかった
いるま
少年
やっとの思いで声を発する
俺、何してたんだっけ
俺は少し考えて
いるま
…まあ、いっか
諦めた
俺が何をしようとしていたのかは
さして重要ではない
目的を見失うな
俺がこいつを連れてきた理由は…?
決まっている
俺の目的、それは _____.
いるま
少年
いるま
いるま
いるま
俺は扉を勢いよく閉め、
逃げるように風呂場から離れた
いるま
いるま
足音が遠ざかっていく
少年
は?……いや、え?
なに……?
こわいこわいこわいこわいこわいこわい
頭の整理が追いつかない
あの紫頭の意図が読めない
何がしたいんだ
何を考えている
なぜ俺を連れてきた
何が目的だ
俺はこれからどうなる
落ち着け、一旦落ち着こう……
少年
よし、落ち着けた
やっぱ深呼吸って大事だな
少年
俺はもう一度深呼吸をして
さてと
まずは何から手をつけt……
男
聞き間違いか?
…いや、たしかにあの男は
「体が温まるまで出てくんなよ」
と言った
初対面の俺に気を使う義理はないはず…だが
少年
分っかんねぇ、腹立つ
……ま、一旦置いとこ
この件については後で考えることにした
なんせ考えることは山積みだ
とりあえず
状況の整理をしよう
俺は___
少年
少年
少年
俺は考えていた
この男に手を引かれたときからずっと
こいつは一体何故俺を助けたのか
何故ここに連れてきたのか
俺を助けることによって
こいつになんのメリットがあるのか
俺が導き出した答えは2つ
1つ目
対価の請求
大抵は金だ
無けりゃ身ぐるみを剥がされる
俺、割といい服着てるしなぁ
2つ目
八つ当たり
日頃の憂さ晴らしや、鬱憤を吐くのが目的
場合によっては娯楽要素にもなる
殴って、蹴って、斬って、縛って、犯して…
他人を傷つけることで快楽を得る人間が 一定数存在することを
俺は知っている
嫌と言うほどに
さて、この男は俺を自分の住処に連れてきた
次はどう出る?
………
なんだ?
金を要求する素振りがない
暴行する気配もない
それどころか
ずっと俺を気遣う姿勢を見せている
どういうつもりだ?
これから何をされるのか
俺には全く予測できなかった
だから俺は、自分から動いた
俺はわざと大きくくしゃみし、
出てきた鼻水を男の服で拭う
この男を怒らせたかったんだ
人間、怒りが感情を支配すれば
自然と本音が出てくるものだから
男
男の顔に青筋が走った
どうやら怒らせることには成功したらしい
さっさと本性を表して___
男
少年
気付いたときには、 俺はすでにこの男の脇に抱え上げられていた
少年
…いや、なんで?
男は今俺にムカついているはず
なんで殴らないのだろうか
少年
いるま
え、何してんのこいつ
なんで急に何も喋らなくなったんだよ
一体どこに向かって……風呂場?!
少年
男
必死に暴れるが男は離してくれない
そのまま、俺は浴槽に突っ込まれた
うつ伏せに倒れ込む
痛ッッッ……
とりあえず起き上がらなければ
そう思い、両手を浴槽の底についた
直後
俺は凄まじい水圧に襲われた
視界がぼやける
少年
何が起きたのか分からない
いきなりの出来事に対処できるはずもなく
少年
俺は大量の水を飲んでしまい
激しくむせた
唯一救いだったのは
俺の方向感覚がまだ機能しており
水に埋もれてからわずか数秒で
水面に顔を出せたことだ
少年
呼吸を再開して早々に
俺の中にはあの男に対する怒りが 込み上げてきた
予想外の行動ばかりしやがって
文句の一つでも言ってやる
そう決意し、俺は男を見上げて……
少年
動けなくなった
息が詰まりそうだった
男は凄まじい怒気を放ちながら
俺の前に立っていた
殺気も混じっているように感じる
このときになってようやく
俺はことの重大さに気付いた
ミスった
俺はこいつを怒らせすぎた
……
やべえ……これ、
俺殺されるやつだ
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!