《硝煙の少女、冷酷な瞳。》

滴る硝酸のしずく。 運命のように、それは彼女の頬に落ちた。

次の瞬間——

ピシ……ピシッ。

石に走るひび。 張り詰めた沈黙が破られ、 Lia･Houstonは、静かに、目を開けた。

息が詰まりそうな空気。 だが、Liaは慌てない。

一歩、また一歩と足を前に出す。 身体は重く、何年も眠っていたことを本能で察した。

だが彼女は考えるよりも、まず環境を観察する。

木々に覆われた廃墟の中、かつての東京の面影はどこにもなかった。

Liaは何も言わず、ただ静かに、サバイバルモードに入った。

―復活から数週間後―

手製の槍を片手に、リアは小川の水をすすっていた。

獲物は小動物。調達した火打石で火を起こし、無言で食事を済ませる。

彼女は過去を振り返らない。 ____のことも、____のことも、名前を口にすることはなかった。 それは“希望”ではなく“弱さ”と知っているから。

―そしてある日―

森を抜けた先、リアは“誰かの足跡”を見つけた。

それは明らかに文明の痕跡。罠の跡、火を使った痕、そして——声。

即座にリアは身を隠す。 だがその声は、どこか軽く、そして知的だった。

リアは物陰から、声の主を見つめる。

服装、道具、動き方。 それはかつての世界とは違う、でも確かに「知識を使う者」のそれだった。

リアはゆっくりと立ち上がる。 警戒は解かず、だが静かに姿を現す。

千空とクロムが振り向く。 そしてリアを見て、言葉を失う。

その姿は、明らかに“旧世界の人間”。 しかも、ただ者ではない雰囲気を纏っていた。

千空の口元が、ニヤリと持ち上がる。

リアは薄く目を細めた。

そう言って、背筋を伸ばす。 それは、新しい時代の始まりだった。