アンチ太郎

これはどこの誰でもない

またはどこにでも存在しうる人の話。

昔々、いや今かもしれない。

あるところにアンチ太郎という人間がおったそうな。

アンチ太郎はいつも満たされず

空虚な日々を送っておったそうな。

そんなアンチ太郎の日課は…

目に付いた有名人の悪口をネット上にばらまく

アンチ行為じゃった。

彼は自分の意見が矛盾していても構わない

ただその対象をけなすことができればそれでいい様子じゃった。

…特に「悪を裁く正義」という大義名分を手にした時のアンチ太郎は水を得た魚のように

より積極的にアンチ活動に取り組んだそうな。

…かといってアンチ太郎も絵が上手い方ではない。

日々相手を貶めることで相手が大したことはない、と思い込むことで嫉妬する感情を薄めているそうな。

アンチ太郎は自分のしていることが悪いことだと気づかないのじゃった。

アンチ太郎の奥底にあるのは…

自分の意見を認めて欲しい、という承認欲求

対象に抱く嫉妬心。

それを己を高めるのに使うことができるのが健全なのじゃが…

アンチ太郎はひとりぼっちになってもそれに気づかず

…ずっとアンチ行為をするのじゃった。