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優しい不良ほど可愛いものはない。

頭のいい不良ほどかっこいいものはない。

(ど偏見)

手元に広がる紙に書かれた文字を読み返し

苛立ちのままにぐしゃりとまるめる。

三途

はぁーーーー

三途は盛大に溜息をついた。

三途

無理。

三途

無理〜〜〜‼︎

掌で握りつぶした紙を握りながら小さく叫び自室のベッドへとダイブする。

三途

でも…

三途

やっぱり、

何やらぶつぶつと呟くと意を決した様子でもう一度握っていた紙を開く。

三途

・・・

恐る恐る紙を読み直すと

三途

っっーーーー

声にならない叫び声をあげながら今度は紙を宙へ放り投げた。

三途

やっぱ無理ーー!!!

何故こんなことになっているのか、

ことの発端は3ヶ月前のこと…

入学式30分前に迷子になった件について。

三途

ってとタイトルでラノベ書いたら売れっかな…

三途

売れねぇか。

三途は迷子になっていた。

今日入学する、高校の敷地内で。

三途

・・・

三途

冷静に考えてみろ。

三途

俺はここまでたどり着くのに2時間かかった。

三途

30分でもとの場所まで帰れるわけがない。

三途の脳味噌は死んでいた。

人間あまりに焦ると思考が停止してしまうのは世の常だろう。

三途

あ、たんぽぽ…

三途が死んだ脳味噌に鞭打って半ば定まらなくなりかけている視線を移動させると

少々荒れた花壇の向こう岸に

小さな綿毛のたんぽぽが一輪、揺れていた。

三途

お前も一人ぼっちなのか?

ふと三途の心に湧き上がる親近感。

逆境に味方が現れたかのような歓び。

三途

そっかぁ

三途

お前もかぁ

三途

お互いぼっち同士、

三途

仲良くしようぜ。

もう一度言おう。

三途の脳味噌は死んでいた。

三途

もうちょっとそっち行ってやるよ。

そういって花壇を踏み越えようとした三途の足にそこへ群生していた何かしらの植物が絡まる。

そして

三途は盛大に

こけた

三途

いっっっっ

予想を裏切らぬ男、春千夜。

しっかり顔からダイブした。

三途

イッタ゛ァァァァァァァァァァ⁈

三途

鼻折れた。

三途

絶対鼻折れた。

三途

いっつぁ…

ポタッ

ポタタッ

三途

うぇ?

三途

血…?

三途

血だぁ…

顔を強打したからといって入学式の時刻が遅れるわけでもなければ、

死んだ脳味噌が回復するわけでもない。

むしろ、刻一刻と失われていく時間に気づいている頭の片隅のクリアな部分が

余りの焦りに絶叫していた。

三途

ははっ、

三途

ち、血だぁぁ…

転んだ体勢のまま三途がぼうっと己の血を眺めていると

突然、

三途の生成した小さな血だまりに陰がさした。

竜胆

ーーぶ?

竜胆

おい

竜胆

大丈夫か?

三途

へ?

竜胆

へ、じゃなくて…

竜胆

なんでこんなとこで倒れてんだよ…

三途

あ、あの、

竜胆

あれ?

竜胆

緑のライン、お前新入生?

三途

あ、

突然のことに混乱した三途がやっとのことで顔を上げると、端正な顔立ちをした派手な髪の怖そうな先輩が立っていた。

三途

((あ、意外とタレ目…可愛い。

思考が追いつかず、不透明な頭で場違いなことを考える。

竜胆

竜胆

お前、鼻血垂れてんじゃん‼︎

竜胆

えーと

竜胆

あった。

竜胆

これで抑えとけ。

そういって先輩が差し出してくれたのは品の良い刺繍が施された真っ白なハンカチだった。

三途

((これを俺の血で汚す?

三途

((入学当日に?

三途

((明らかに訳ありそうな先輩の純白のハンカチ借りて?

三途

((たんぽぽに近づこうとしたからとかいう理由でこけて勝手に出した俺の血を拭く?

三途

((無理だろ

一瞬にして三途の脳味噌は回復した。

恐るべき生存本能。

三途

いや

三途

あの、ほんとに大丈夫なんで…

竜胆

もー!

竜胆

まだ垂れてるよ。

竜胆

ほら、

竜胆

顔こっち向けて。

竜胆の節のある長い指が三途の顎に添えられる。

そのままもう一方の手に握ったハンカチでそっと三途の鼻血を拭いた。

これが噂の顎クイってやつなのかな…などと現実逃避しながら先輩の綺麗な顔を眺める。

そして不本意ながら、跳ね散らかす心臓の音が先輩に聞こえていないか心配で堪らない。

三途

((やばい…

三途

((顔、近すぎ。

竜胆

え、まって、顔真っ赤じゃん

竜胆

熱⁈

竜胆に顔が真っ赤になっていることを指摘され更に顔に熱が集まっていくのがわかる。

三途

ぁ、あの…

恥ずかしさとまだ収まりきらない混乱により瞳を潤ませる春千夜に焦った竜胆はそっと手を三途の額にあてた。

三途

((ん、先輩の手冷たい…

竜胆

んー

竜胆

微熱?

竜胆

わっかんないなぁ…

竜胆

取り敢えず保健室連れてってやるよ、

竜胆

ほら、乗って。

三途

⁈⁈

竜胆が背中を向けて要求してきたのはおぶってやるから上に乗れということだった。

竜胆

はやくー。

三途

せ、先輩、俺

竜胆

この体勢地味にきついんだけど。

三途

えと、あ、

竜胆

怪我人は余計なこと考えなくていいから。

おんぶされたいという思いと理性とが三途の中で大戦争を繰り広げる。

結果

三途

はい…

欲の圧勝だった。

続く

恋廻り(学パロ) 竜春

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あ”あ”ぁぁたんぽぽになりたい...蘭春、竜春が見たいです!!

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