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0時、いつもの場所で。
それだけの短いメッセージが、2人を再びこの夜へと呼び戻した。
東京湾に面した、倉庫街。
潮の匂いに混ざるのは、鉄とオイル、そして時折、血の香り。
月明かりがぼんやりと照らすその場所に、ひとりの男が待っていた。
その男───仲介人の「八咫鴉」は、手に分厚い封筒を持ち、緊張を隠せずにいた。
彼の前に現れたのは、2人の男。
八咫鴉(やたがらす
明るい茶髪に眼帯、口元にはキャンディ。
まるで遊びに来たかのような軽い足取りで現れるが、その空気は異質だった。
八咫鴉(やたがらす
もうひとりは対照的だった。黒髪に無表情、無言。
その鋭い目線に、八咫鴉はごくりと喉を鳴らす。
八咫鴉(やたがらす
八咫鴉(やたがらす
八咫鴉が差し出した封筒を、三省が片手で受け取りながらクスリと笑った。
蝶名林 三省(ちょうなばやし さんせい
蝶名林 三省(ちょうなばやし さんせい
八咫鴉(やたがらす
三省が肩をすくめ、虎之助が一歩だけ前に出た。
その静かな一歩だけで、空気が変わる。
その鋭い気配に、八咫鴉は思わず一歩引いた。
蝶名林 三省(ちょうなばやし さんせい
大牟禮 虎之助(おおむれ とらのすけ
その一言だけを残し、虎之助は背を向ける。
三省も続いて歩きながら、封筒を指で弾いた。
蝶名林 三省(ちょうなばやし さんせい
夜の闇に溶け込むように、2人の背中は遠ざかっていく。
蝶のように軽やかに、虎のように鋭く。
そして───この依頼が、2人の過去と未来を揺るがすものになるとは、
まだ誰も知らなかった。