秘密を知っても私達は…

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ﾀｯﾀｯﾀｯﾀｯ…

あの場所からなぜか恐怖を覚えたので、とにかく逃げる。廊下を走ってはいけないことも忘れて…

最近はあまり走っていないので、体力がなくすぐに疲れる

ｶﾞﾗｶﾞﾗｯｯ！

勢いよく扉を開ける

飲み物…自動販売機…？

自動販売機に行くにはあの場所の廊下が一番近い…そしてあの場所のドアは全開だった…

あのことを…もし青が聞いていたら…？

あたしがそのことを知ったことも…全部知って…青は、どのように思う…？

多分それは、青にしかわからない感情なのだろう

だけど…それを聞いて青は、絶対、嫌なはず

いままで隠していたことが…全部、バレて…

そもそも、青はなんで隠してたの…？

教えてよｯ青ｯ…

この廊下は桃ちゃんが走った方向とは逆です

というか、なんでバレたんだろ…私はなにも、情報を話していないはず…

〈というか、そのこと教えてくれた人誰だったっけ？

〈ああ、たしかﾓﾌﾞ…さん？だったっけ

〈あ！そうそうﾓﾌﾞさん！

ﾓﾌﾞは、中学、高校のときに同じクラスだったいじめっ子

きっと、なんらかの理由でこのことを話したのだろう

また、否定されるのだろうか…

中学、高校時代。私は、男なのに女のように可愛いものが好きってことでいじめられていた

いじめのリーダーが、このﾓﾌﾞだった

「私だって」って…何度も思った

でも、その気持ちを押し殺し、ずっと耐えた

家に帰っても、居場所はなかった

ｶﾞﾁｬｯ

お母さんに可愛いものが好きなのを話したのは幼稚園の年長の頃

ランドセルを選ぶときに普通なら黒や青を選ぶかもしれないが、私はピンクや水色、紫などの可愛い色がいいと言った

それはもちろん否定され、無理やり青色にさせられた

もしかしたら、このときに言わないで、ずっと隠していれば今よりも楽だったかもしれない

私だって…

私だって！わかってるよｯｯ！

こんなの普通じゃなくて、すごくおかしなことってｯ！

だけどｯ…

だけど、私だってこんなのになりたかったわけじゃないよｯ？

こんなのｯ…望んだわけじゃないｯ！

私もみんなが言う「普通」になりたかったｯ！「普通」に過ごしてみたかったｯ！

なんでｯ…私はこんなにｯ…

このときから、私は自分が嫌いになり、×にたいと思うようになった

大学生になり、一人暮らしを始めるようになった

一人暮らしは、あのときよりもずっとずっと楽で、やりたいことをたくさんやった

もう、あんな場所、私の居場所ではない

私の「好き」を否定したあの場所を、実家とはいえない

大学を卒業し、面接をした

面接をして、受かったのがこの会社だ

面接は、まずは簡単な自己紹介から始まる

こんな女のような格好で、「男です」と言ったらどうなるだろうか

この頃から自分を偽るようになった

否定されないように…もう、あんな思いはしたくないから

もう、行かな

みんなが…心配してまう

鏡の前で笑顔をつくる

ちゃんと笑えているか、確かめられるように

いつもどうりにね

いつものように…偽って