王都の城下町は冒険の要所らしく、様々な職業の人々でにぎわっている。
手頃な宿に荷物を預け、りうらとないこは街へと繰り出した。
ないこ
今日のメシここにするか。

りうら
えっ、ここって酒場!?
食堂とかの方が良くない??

ないこ
こういう酒場は大体ギルドを兼ねてるか、冒険者のたまりばになってるんだ。
いい出会いがあるかもだろ?

りうら
ないくんの出会いって女の子じゃないよねー!?

ないこ
いや、パーティー組む子がたまたま女の子って可能性はあるよ。(ニコッ)

りうら
もー!真面目にゴハン食べよっ!!

ないこは老若男女よくモテる。
村の年若い女性たちから声をかけられる姿も、りうらは頻繁に目にしていた。
そんな彼が村を出ると告げた時、多くの者が悲しみ引き留めた。
りうら
ないくんが村を出るって言った時、村の人みんなビックリしてたし俺も驚いた。

ないこ
うん…

りうら
…孤児院のみんなも悲しんでたよ。
…どうしてって。

ないこ
…言ったろ。俺が孤児院に預けてられた時に一緒に持たされた剣。あの剣が囁くんだ…「迎えにきて」って。

常にないこが背負っている大剣。
彼が赤ん坊の頃、共に孤児院に預けられたというこの大剣は、剣の師匠が言うには魔力の込められた魔剣だと言う。
りうら
師匠は魔剣の呪いって言ってたね。

ないこ
うーん、呪いって言うか…神の声?
俺を導いてくれる。

りうら
でも、その声がないくんを連れていっちゃうなら、それは村のみんなにとって呪いだよ…。

ないこ
…この剣が無くてもいつかは村を出たよ。

そう、この剣の声が聞こえなくてもいづれ村を出た。
魔族たちとの戦いが長引くにつれ、若者達の多くは冒険者となり、戦いに身を投じた。
ないこ
りうら、お前だって村の生活に飽きたから俺について来たんだろ?

りうら
違う!
村の生活は楽しかったけど…。

りうら
…けど、ないくんがいないとつまらないから!

ないこ
ありがと。
りうらが来てくれて、俺も寂しくないよ。
…ほら、メシ食おう。

なんとなくしんみりしてしまい、口数が少なくなる。
わずかばかり年上の幼馴染は、
りうらにとって憧れの存在だ。
彼に付いて村を出たことに後悔は無い。
だが、孤児だったりうらに愛情を注いで育ててくれた故郷には、言い尽くせない恩があるのだ。
りうら
この店、女の子あまりいないね…。

ないこ
まぁ、酒場だからな。
確かにゴツい男ばかりだね(笑)

???
それは、俺への文句かな?

りうら
誰!?

悠佑
俺は悠佑。大弓使いだ。

ないこ
大弓?アーチャーか。
それにしても弓、デカ過ぎやしないか?

悠佑の持つ大弓は彼の身長をはるかに凌ぎ、2メートルは超える代物だった。
悠佑
重さもかなりのモノだよ。これを扱うための筋トレで、こんなにゴツくなってしまった(笑)

ないこ
仲間、探してんの?

悠佑
そんなトコ。可愛い女の子を探してたんだけど、ムサい男ばっかりで…。

ないこ
同感(笑)

りうら
みんな真面目に仲間探ししようよ…。

ないこ
俺、ないこ。こいつ、りうらね。2人とも剣士だよ。
弓使い(アーチャー)なら被らないかな。
よかったら一緒に冒険する?

悠佑
会ってすぐかよ(笑)
結構手が早いね。
いいよ。俺は大弓使いの悠佑。
ただし鍛えてるから肉弾戦もいける。
よろしく!

りうら
前衛3人かぁ。

ないこ
まぁまぁ…本来、アーチャーは後衛だけどね(笑)
3人いればパーティー登録できるし。

りうら
そうなの!?

悠佑
あぁ。1人2人だとギルドに登録も出来ない。クエストもこなせないから冒険者としては辛い。

りうら
ぼっち、寂しいな(涙)

悠佑
ぼっち言うな!!

ないこ
まぁ、仲良くやろうぜ!!
