この作品はいかがでしたか?
226
この作品はいかがでしたか?
226
分かってた。
分かってたけど…
気付いてしまったら、
この関係は壊れるって思ったから。
好きな人が私の隣に居てくれて、
話して、
帰って、
登校して。
こうなる前よりずっと、
大西くんの事が沢山知れて。
でも私がずっと背むけてきたものは、
こんな理想じゃなくて。
"俺、みなみが好きやねん"
真っ直ぐ、
揺るがない瞳で言われたあの時、
…私が2度目の告白をした時。
何もかも完璧だった。
距離も縮まって、
ワンチャンスあると信じていた。
でも、ただの勘違い。
大西くんは、
迷わず私にそう答えた。
"みなみが好き"
"やから…ごめん"
って。
きっと大西くんの中では、
誰も傷つかず終われる方法を探していたんだと思う。
こんな無気力でも、
…本当に優しいから。
私がいかに悲しまず、
苦しまず、
泣かずに済むか考えて、
…多分この結果。
…何それ、
バカバカしい、
私の事好きじゃないんだったら
"嫌い"
とでも言って突き放せばいいのに。
「みなみが好き、やから付き合えない。」
って。
「こういうのはやめてほしい」
って。
…言って欲しかった。
じゃないと歯止め、
効かなくなるから。
私だって、
初めて本気になれた人だから、
初めて好きになれた人だから、
そりゃ奪いたいと思うじゃん。
あんな普通の子より、
私の方がいいって、
絶対私といた方が幸せだよって。
…伸ばしかけた手を止めて、
"そっか、なら仕方ないね。"
って笑う私も私。
なんで言わないの?
本当は私を選んで、って言えばいいのに。
言葉が出ない。
"応援するね"
以外の言葉が見つからない。
あぁ、私は本当に嫌な女かもしれない。
"おおきに、まいも…俺より良い人見つけや?"
"絶対似合う人おるから!"
こんな笑顔見ても、まだ、
"私の所に来て"
そう思ってしまうから。
いないよ、
あなた以上に私に合う人なんて、
あなた以上に好きになれる人なんて、
ずるいよ、最後に名前で呼ぶなんて。
酷いよ、…一生離れないような可愛い笑顔見せてきて。
これじゃあ嫌いになりたくてもなれないじゃん。
大西くんの事、
…もっと好きになっちゃうじゃん。
"また"
ぱたん
と閉まった屋上の扉。
ねぇ大西くん。
苦しまずに居られる方法なんて、
泣かずにいられる方法なんて、
傷つかずにいられる方法なんて、
多分、
…どこにも無いよ。
"うぅ……"
としゃがみこみ、
声を押し殺して静かに泣いた。
コメント
23件
鈴木さんの気持ちめちゃくちゃ分かるー
鈴木さん、だから改名したのか…←は アゲボヨちゃんだと…ね←おい
あ、語彙力も捨ててきた( ˙-˙ )