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吉野
あ、ああ…
吉野
やっぱり痣が広がってきてる…
吉野
痛い…
吉野
だ、誰か…
吉野
誰か助けて…！
花菜
吉野
だ、誰だ⁉
花菜
吉野君、私だよ
花菜
隣のクラスの蒼井だよ
花菜
ここを開けてくれない？
吉野
だっダメだ
吉野
家中に“結界”がある、
吉野
無理に開けたら“結界”が…
沙羅
沙羅
邪魔するぞ～
吉野
！なっ…
吉野
“結界”ごとぶち壊してくるなんて…
花菜
ごめんね吉野君
沙羅
すまんの～
沙羅
この紐が“結界”か？
沙羅
成る程成る程、家中の気が歪んで溜まっておる
沙羅
そんな中で“結界”なぞ張っては良い気が巡らん
沙羅
つまりこれでは逆効果じゃよ、若いの
吉野
！なっ…何なんだあんたは…
花菜
本当にごめん
沙羅
じゃが、これはお主を救うために必要なものじゃ
沙羅
気を少し巡らせてやろう
沙羅
歪んだ気が出ていくはずじゃ
吉野
…そんな指なんか振ったところで…
吉野
…え？
吉野
く、空気が、変わった…
沙羅
ふむ、これで良かろう
沙羅
さて、若いの
沙羅
その腕と足では辛かろう
沙羅
これからそれを治してやるからな
花菜
大丈夫だよ
花菜
私達はその為に来たの
沙羅
花菜よ、この“結界”に使うた紐を丸く結え
沙羅
これで奴を捕らえるぞ
花菜
分かった
沙羅
さて、若いの
沙羅
その腕と足の痣は海辺で付けられたものじゃな？
吉野
あ、ああ…
吉野
あの夜“出る”って言われてる海辺に皆で行ったんだ
吉野
その時は何事もなくて…
吉野
家に帰ったら途端に腕と足が痛くなって…
沙羅
で、痣が出たという訳か
沙羅
成る程成る程
沙羅
これは呪いの類いじゃの
沙羅
それも呪いに強い執念が混ざっておる
沙羅
これは強力じゃぞ
花菜
どうするの？
花菜
呪いを解くには呪いを与えた本人を捕まえないと
沙羅
ああ
沙羅
だからこその紐じゃ
花菜
じゃあその海辺に行かないと…
沙羅
いや、それは大丈夫じゃ
花菜
え？
沙羅
わざわざこちらから出向いて行かんでも奴はやって来るよ
沙羅
それまでこちらは待とう
花菜
じゃあ待ち伏せするんだね
沙羅
ああ
吉野
ちょっ…ちょっと待ってくれ
吉野
奴が来るまで君達は待ってるのか？
吉野
ここで？
沙羅
ああ
沙羅
大丈夫じゃよ若いの
沙羅
心配せんでも奴はもうじきやって来る
沙羅
その為にお主が張った結界を破ったんじゃ
沙羅
奴とてそうそう我慢は出来まい
花菜
吉野君
花菜
何があっても、怯んじゃダメだよ
吉野
え…？
花菜
気をしっかり持ってね
沙羅
そうじゃよ若いの
沙羅
何があっても儂らが何とかするからの
吉野
あ、あんたら…一体何なんだ…？
???
吉野
！うわっ…
吉野
ドアが…
沙羅
…どうやら、来たようじゃの
沙羅
花菜もこちらに来ておれ
花菜
うん…
???
???
???
憎い…
花菜
えっ…
???
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
???
戸が開いたのに近づけない
???
邪魔するな
???
邪魔するな
花菜
え
花菜
大勢…？
沙羅
そう遠慮せずとも儂は気にせんぞ
沙羅
嫌なら早く入ってくるがよい
???
…
???
元よりそのつもりだ‼
???
花菜
うわっ…
沙羅
やっと来たか
花菜
これは…
花菜
鎧武者…？
沙羅
ほぉ…やはりな
沙羅
お前ら“海坊主”か
???
はぁあ…
???
憎い…
???
憎い憎い憎い憎い憎い憎い
沙羅
ほぉ…そんなに生者が憎いか
沙羅
そんなに憎しみを抱いたままでは海の底から浮かばれぬぞ
???
憎い…
???
我らを侮辱する者、許すまじ…
花菜
え？
沙羅
侮辱？
沙羅
誰もお前らを侮辱したりはしてないぞ
???
憎い…
???
我らを嘲笑う者、許すまじ…
花菜
ど、どういう事なの…？
吉野
…
沙羅
…成る程
沙羅
おい若いの
沙羅
儂らに隠し事とはなかなかいい度胸よな
花菜
よ、吉野君？
吉野
…しょうがないだろう！
吉野
いくらカメラを構えても何も起きなかったんだ
吉野
待ち望んでる展開にするには少しぐらい罰当たりな事をしないと…
吉野
心霊写真のマニアは皆そういう事をしてるんだ
吉野
だから祠を蹴飛ばして…
花菜
吉野君…！
沙羅
ほほぉ…成る程成る程
沙羅
つまり此度の件は自業自得という訳じゃな？
沙羅
全く、仕方のない小童じゃ
???
はぁあ…
???
憎い…
???
憎い憎い憎い憎い
???
かくなりし上はこ奴を道連れにせねば収まらん…
吉野
うわぁあ‼
吉野
た、助けてくれ‼
花菜
吉野君…
花菜
た、助けないと…
沙羅
仕方ないのぅ
沙羅
おい“海坊主”
沙羅
恨んどる所悪いが元いた場所へ帰ってもらうぞ
???
え…
花菜
…ごめんね
???
は、離せ…
???
！…その気配…
???
まさか…貴様は“蛇螺”…！
沙羅
さらばじゃ“海坊主”
沙羅
今一度眠るがよい
吉野
き、消えた…痣も、幽霊も…
沙羅
吉野
！痛いっ‼
沙羅
全く…痛いじゃないぞ
花菜
吉野君…
花菜
心霊写真撮る為にそんな事してたんだね…
吉野
う…
沙羅
とにかく、今後こういった事は一切禁止にせよ
沙羅
さもないと次は祓ってやらんからの
吉野
わ、分かった…
沙羅
さて、帰るぞ花菜
花菜
うん…
花菜
もう…
花菜
結局吉野君の自業自得じゃんか…
沙羅
まぁまぁ
沙羅
自分達の壊した所を元通りに直す事で詫びとしたのじゃろう
沙羅
身の程知らずとはまだまだ若いの～
沙羅
まぁこれであ奴らも懲りたじゃろう
沙羅
ああいうのはいつかどこかで灸を据えられんと分からんよ
花菜
そっか…
睦月
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不在着信
花菜
あれ、睦月から電話だ…
花菜
もしもし？
睦月
あっもしもし花菜？
睦月
急にごめんね
睦月
ちょっと手伝ってほしい事があって…
花菜
えっ
花菜
まさか…
花菜
心霊スポット？
沙羅
はぁ～
沙羅
懲りない奴もおるようじゃの…
花菜
ダメダメ、心霊スポットなんて絶対行かないからね‼
睦月
お願い、そこを何とか～
花菜
出来ません！
沙羅
やれやれ…
沙羅
また当分は退屈せずに済みそうじゃ
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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