結弦
、、、はあっ、はあっ、、、
結弦
、、お、おい!
結弦
礼央っ!
礼央
うん?
結弦
、、、何でそんなとこ突っ立ってんだよ
礼央
、、何だ、結弦かあ
礼央
先生かと思ってびびったよ
礼央は屋上のフェンスの向こう側にいた。
結弦
何しようとしてるんだよ
礼央
何って、見たらわかるでしょ
結弦
飛び降りるつもりか
礼央
んー、そう
礼央
これが一番楽しそうだしね
結弦
死にたいのか?
礼央
死にたい、っつーか
礼央
生きたくないからかな
結弦
馬鹿なことはやめろ!いますぐそこから離れろ
礼央
そんな気は無いけど、、
礼央
でも、最後に会うのが結弦で良かったよ
礼央
何となくこの五分待ちながら、結弦が来てくれる気がしてたんだ
結弦
お前が授業をサボることなんて滅多にないし、さっきの休み時間、屋上に行くのが見えた
結弦
嫌な予感がして、今授業サボってここにいるんだ
礼央
そっかぁ、、
礼央
やっぱ双子だね、僕ら
結弦
お前を失うのは、もう一人の自分がいなくなるようなもんだ
結弦
お願いだ、そこから離れろ
礼央
嫌だよ。
結弦
俺もお前を行かせたくない
結弦
待ってろ
結弦は屋上のフェンスを越え、礼央の隣に立った。
礼央
、、、
結弦
帰ろうぜ
結弦
お前に死ぬ理由なんかない
礼央
あるよ
礼央
でも、誰にも言えないんだ
礼央
しょうがないでしょ
結弦
、、、だがな、、
風がびゅうと吹いた。
結弦
うわっ
礼央
結弦!
落ちたのは、
結弦だった。
礼央
結弦!!
急いでフェンスを乗り越え、礼央は階段を降りたーーー
病室
医者
ああっ、目を覚ましたぞ!
礼央
ここは、、どこ、、?
医者
お母さん、目を覚ましましたよ!
母
ああっ、礼央!
礼央
お母、、さん
礼央
ここは、、?
母
ここは病院よ。
母
あなた、階段で倒れていたそうよ
礼央
(そんなはず、、っていうか、礼央って)
礼央
(俺は、結弦だ。)
礼央
俺は、、結弦だよ
母
何言ってるの
母
結弦、結弦は、、、
礼央
(俺は、、死んだのか?)
礼央
(それで、礼央の体の中に入っている、、?)
医者
礼央くん。もう大丈夫かい
医者
気絶して倒れていたんだよ。そして、、結弦くんはーー
礼央
、、、死んだんですよね
礼央
屋上から、落ちて
礼央
(でも、俺は完全に結弦だ。でも、体は、、少なくともこの二人には、おれが礼央に見えているんだ)
医者
医者
君は、助けを呼ぼうとしてたんだよね?
礼央
(そうか、、礼央はあの後、屋上を離れたのか、、)
礼央
そうです
礼央
でも、階段から、転んだ記憶があります
礼央
(転んだかどうかは確かではないけど、そういうことにしておこう)
医者
そうか。
医者
結弦くんを見たいかい
礼央
え、、
礼央
は、ーはい
礼央
ズキッ
礼央
!?
医者
ああ、君はまだ見ることができないだろう。君は階段で転んだから、あちこちを骨折してるんだよ
医者
とりあえず、二週間の入院が必要だ。少なくとも、この3日間くらいは、ベッドから出れないだろうね。
礼央
っ、、そうですか
礼央
結弦は、今どこなんですか
医者
医者
それは、君が結弦くんを見れるようになったら伝えてあげよう。3日後、結弦くんのところにつれていく。約束するよ
礼央
、、分かりました。
母
礼央、今日は安静にね。
礼央
うん、、。
俺は結弦だ、、
そんなこと分かってる。
けど、なぜ俺の意識だけは生きているんだ?
じゃあ、礼央の意識はどこに吹っ飛んじまったんだ?
俺の体はもうおそらく機能していない。
明々後日、俺は、俺の抜け殻を見に行くんだーー
俺たちはもしかして、入れ替わったのかもしれない。
今の俺の体は礼央だ。
これから、俺は礼央として生きなければならない。
そして、なぜ礼央が死のうとしてたのかーー
それを知ることが、礼央の体に戻ってきた俺の使命だ。
双子の兄として。
そして、双子の弟としてーーー