歪んだ愛

知っていた。それが歪んだ愛だなんて

...でもさ、歪んだ愛って誰が決めるの？

世間？人々？法律？何が普通の愛で何が歪んだ愛だなんて、誰も決めることは無い。

私が付き合ってるのはお兄ちゃんだ。

家族に散々言われた。 そんなお遊びみたいな恋なんてやめろ もっと普通な恋をしなさい。だって...

家族全員の印象が悪くなるでしょう？

...って。

ああ、やっぱり自分のことしか考えてないクソ親なんだ、結局は。

そう思って家を出た。私と兄の2人で

お兄ちゃんを好きになったのは今から5年前...中一の時。

かなり、とまでは行かないけど少しだけシスコンなお兄ちゃんだ。

そんなお兄ちゃんと歩いてお出かけしている時だった。

大型の車が前から走ってきて、私が轢かれそうになっちゃった時、躊躇わずに自分の体を犠牲にしてまで守ってくれたんだ

不幸中の幸、当たりどころが良かったらしく、軽い骨折で済んだ。そんなお兄ちゃんに

自分の体の方がよっぽど辛い筈なのに私のことを気遣ってくれたんだ

そこから多分好きなんだと思う。...違う、本当はもっと前から気付いていたはずだ。

でもどうせ叶わない。 お兄ちゃんに恋なんて、苦しくなるだけ。 そう思って好きにならなかった。なれなかった。

こんな、普通じゃない恋なんかでいいの？ 親にも反対されてるし...私達別れた方が...、

1回そう尋ねたことがある。だけどそれをお兄ちゃんは

なんて優しく笑うから

好きになっていくと共に心に黒い花がぽつんと咲いたような気がした。