ロゼ
ロゼ
ロゼ
ロゼ
瞼を開くと、予想通り 真っ白な空間が広がっている
振り返っても ♥️くんも、 💖くんも、 💛くんもいない
たった1人で虚空を見上げる僕の耳に無機質な声が聞こえた
『いいえ。あなたには幸せな世界が必要です。』
💙
心から不要だと言い切れないことを僕も自覚していた
だってあの世界は
温かかった。
魅力的だった。
その心が小さな声として表れる
『ここにいれば、誰かを妬むことも自己嫌悪に陥ることもありません。 この世界に苦痛などありません。 あなたの理想の毎日を過ごせます。 それがこのゲームをクリアしたあなたへの報酬です。』
ここにいれば、♥️くんと💖くんと💛くん
彼らとずっと幸せな日々を過ごせる
でもそれは全部僕の妄想だ
💙
僕の望まないようにしか進まない世界なんて、大好きな人達を冒瀆している。
そんなものを僕は大事にしたいわけじゃない
『では、あなたの望みを』
💙
『はい。このゲームはそのようにプログラムされています』
本当に、そうだとしたら…
💙
『…』
💙
『いいえ。あなたの勝利は不正なものではありません。』
💙
💙
『はい。あなたの望みは叶います。 ですが、このゲームは勝者を大切に扱います。 よって警告します。 あなたは…』
『大切』その単語が僕の神経を逆撫でし、プログラムの言葉が終わる前に怒鳴っていた。
💙
僕の激昂など意味のないとばかりに淡々と言葉を返してくる
『このゲームは、人の苦しみから救うことを目的としています。 現実の世界で生きる限り 苦しみからは逃れられません。 この世界で永遠の幸せを約束しています』
💙
💙
『魔王になることにより、負の感情を魔王という人格で表出させ、次の勇者に倒させているのです。 負の感情による人格が倒されることにより、完全に苦痛を削除できます。』
💙
『魔王になった者の記憶は全ての人間から消えてしまいます。 誰も消えたことには気付きません。 よって苦しむこともありません。』
感情のないその声にこれ以上聞きたくなくて僕は叫んでいた
💙
叫びながら涙が滲んでいた。
♥️くんはずっと苦しんで さまよって ボロボロになっていた。
♥️くんこそ、救うべき存在だったはずだ
💙
『♥️は魔王になっていませんが特例措置として望みは叶えています。』
💙
これ以上の会話は無意味に思えた。
いくら言葉を重ねても 感情をぶつけても このゲームは決められたプログラム通りに動いているだけ
💙
滲んだ涙を拭って僕は再度 虚空を睨みつけた
『現在、このゲームの中心はあなたです。 ゲームを終了させれば、あなたも消える可能性があります。 それでもこのゲームを終了しますか?』
ゲームを終了したら、💛くんも、僕も消えてしまうかもしれない
♥️くんと💖くんの元には帰れず彼らの記憶からも、全ての世界からも、僕は消えてしまうかもしれない
💙
虚空に向けて僕はしっかりとうなずいた
💙
僕は自分の核を見下ろす。 青色に輝くそれは 僕の魂の結晶
💙
そこに僕は爪で自分の名前を刻みつける
痛みはないが傷を付ける度に動きが鈍くなり、時間がかかった
💙
💙
自分を忘れないように 見捨てないように 諦めないように
僕は核に自分の名前を刻んで、顔をあげた
💙
『了承しました。ゲームを終了し、 全てを解放します』
僕は自ら目を閉じる
待ってくれる人がいる
だからきっと…
大丈夫。
コメント
16件
うぅ(´;ω;`)どうなるの⁈⁈
(((;°▽°))アブネェ 天に召されるかと思った。