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*:.。..。.:+・゚・✽:.。..。.:+・゚・✽:.。.. 好き、って、いつからだったんだろう。

──思い出すのは、あの日。  春の終わりかけ、少し肌寒い放課後。

急に降り出した雨に  みんなが傘も持たずに笑いながら走り去っていく中、  私は屋根の下から出れずにいた。

諦めて濡れながら帰ろうと決心した私に、声をかけてくれたのが ──及川だった。

及川 徹

傘、入る?

そう言って、ためらいもせず傘を差し出してくれて。 ふつうに言ったその一言が、なんだか優しくて。

秋保 楓花

え、いいの?

及川 徹

当たり前!!
一緒に帰ろう

誰かに優しくされるのって なんでこんなにあったかいんだろう。

きゅうっと胸の奥が苦しくなって、  でも、同時にとてもあたたかくて──

きっと、あの時から。  私は、及川のことが ずっと気になってたんだと思う。

 傘の中で、彼の肩が濡れていくのを見ていた。  それを黙って見ていた、自分が悔しくて  ほんの少しだけ、その袖の先に触れた。

気づいていたかは、わからない。  でも、私の中に芽生えた気持ちは──  それからずっと、止まらなかったよ。

体育館の裏手 まだちょっと暑さの残る夕暮れ。 部活終わりの缶ジュースを片手に 俺はいつものメンバーと並んで腰を下ろしていた。

及川 徹

……ねぇ、お前ら

岩泉 一

あ?

及川 徹

例えばの話だよ?
朝起きた時も、授業中も、夜寝る時も
ずっと同じ子のことを考えちゃうとして、それって"恋"なのかな?

松川 一静

……へえ〜?

花巻 貴大

ふーん、それってつまり、そういう話?

岩泉 一

おい及川
それ、まさか“秋保”って子のことか?

……びっくりして 思わず缶を落としそうになった。

及川 徹

なんで名前知ってんの!?

岩泉 一

バレバレだっつの。
最近、お前がよく女の子と一緒に帰ってるって噂になってんぞ。
『例の図書委員の子と一緒』ってな

及川 徹

あーーもう!!
そうだよ!!
ふうちゃんだよ!!

花巻 貴大

お前ふうちゃんって呼んでんの?

松川 一静

きも

及川 徹

うわっ、もうやめろってば!
今そういうのいいから

及川 徹

俺、あの子のこと、ちゃんと知りたいんだよ
……でも、どうやって近づけばいいかわかんない。
嫌われるのが怖くてさ

花巻 貴大

お前さあ、今さら何言ってんの?
もうとっくに近づいてんじゃん

松川 一静

そうそう。
もう“ただのクラスメイト”じゃないだろ。
気づけよ

岩泉 一

……お前、本気になるとヘタレになるよな

及川 徹

う、うるさいっ!!///

岩泉 一

でも、それだけ大事にしたいって思ってんだろ?
なら、向き合えよ。

及川 徹

……ありがと

*:.。..。.:+・゚・✽:.。..。.:+・゚・✽:.。. 体育祭

風が気持ちよくて 空が高く感じた日だった。

日差しがじりじりと照りつける午後、  グラウンドの熱気は まるで真夏みたいだった。

私は、借り物競争に出ることになって  ドキドキしながらスタートラインに立っていた。

運動は得意じゃない。  競争なんて、勝てる気もしない。

そして、紙に書いてあった文字を見て  足が止まった。

 ──「好きな人」

 喉が詰まるような思いがして 心臓がどくどくと脈打つ。  目の前が少し、にじんだ気がした。

 「次の競技、借り物競争です。 出場者はスタートラインに並んでくださーい!」

昼過ぎのグラウンド。 暑さも少しやわらいできて、風が気持ちよかった。  応援席で水を飲みながらぼんやり眺めてると──  走者の列に、彼女の姿を見つけた。

及川 徹

(あ、楓花ちゃんだ)

 スタートのピストルが鳴って 次々にクラスメイトが走り出す。 彼女は少し遅れて、掲示された「借り物」を読んで、ぴたりと止まった。

及川 徹

……ん?

彼女の視線が、観客席にいる俺の方を向いて、止まった。

及川 徹

え、まさか……

少し戸惑ったように眉を下げて それから、おずおずと小走りで こっちに来る。  そして

秋保 楓花

……及川
ちょっとだけ、来てもらってもいい?

耳まで赤くしながら、そう言った。

花巻 貴大

あれ? まさか両想い? 
え、及川そーゆーの先に言ってくれないと〜

松川 一静

よっ、モテ男
ムカつくから爆発しろー

岩泉 一

……てか、お前、顔赤くね?

及川 徹

う、うるさい!!///

視線が集まってるのがわかる。 笑い声やひやかしも、全部聞こえる。 でも、俺の手を引いた彼女は、 顔を真っ赤にしながらも ちゃんと前を向いていた。

秋保 楓花

ごめんね、迷ったんだけど
……他に思いつかなくて……

 ──そんなの  むしろ嬉しすぎて、どうしたらいいかわからなかった。

及川 徹

俺で良かったの!?

秋保 楓花

うん......

 ──この日。  体育祭のグラウンドの真ん中で、  俺の世界は 彼女に全部塗り替えられた気がした。  あとでクラスメイトに めちゃくちゃ冷やかされたけど、  別にいい。  この記憶は、俺の宝物だ。

𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡30

『君が教えてくれた空』

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