テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ナイル
ナイルは何でもないことのように言った
カルロ
カルロ
ナイル
ナイル
キャラクターハウスは、遊園地の中心から少し離れた場所に建っていた
外観だけ見れば、可愛いマンションだ
パステルカラーの壁、丸みを帯びた窓、入口には星形の看板
けれど、近づけば胸が重くなる
自動ドアが開くと、甘ったるい匂いが鼻をつく
お菓子と、消毒液と、どこか古い布の匂いが混ざったような、不快な匂い
中は想像以上に広かった
食堂、共有スペース、長い廊下
壁には、笑顔のマスコット達が描かれたポスターが貼られている
『なかよくしよう!』
『思い出は、ゆっくりでいいよ!』
…どれも、妙に押し付けがましい
カルロ
ナイル
カルロ
「動いている」
その言い方が引っ掛かった
カルロ
ナイル
その時、食堂の方から声が聞こえた
アミナ
振り向くと、ピンク色のドレスを着た女性が立っていた
金髪のロングヘアに、宝石のティアラ
まるで童話から抜け出してきた姫様だ
ナイル
アミナ
柔らかく微笑みながら、自然に距離を詰めてくる
その優しさが、逆に胸を締めつけた
カルロ
アミナ
その一言で、張り詰めていた何かが揺らいだ
怖くないわけがない
でも、それを認めた瞬間、壊れそうだった
ナイル
アミナ
アミナ
『普通』
ここで言う普通が、どんな状態なのか、聞くのが怖かった
ルーフス
低く、苛立った声が割り込む
赤を基調としたマントを翻し、一人の男がこちらを睨んでいた
金髪、青い目、王子のような服装
だが、その表情は鋭く、警戒心を隠していない
ルーフス
アミナ
ルーフス
ルーフス
冷たい言葉
だが、アミナが彼を見る目はどこか痛々しかった
カルロ
ナイル
廊下を進むと、壁際に一人、静かに座っている影があった
ピンク色の毛並みをした、垂れ耳のウサギのようなマスコット
黄色い瞳が、こちらをちらりと見て、すぐ逸らされる
ナイル
マカナ
ナイル
マカナ
それだけ言って、彼女は視線を落とした
カルロ
ナイル
その言い方も、嫌な予感を煽る
最後に案内されたのは、俺の個室だった
必要最低限の家具
ヘッド、机、クローゼット
壁には、最初から貼られていただろうポスター
『カルロへ!今日も笑顔でがんばろう!』
誰が貼ったのかは、俺にはわからない
ナイル
ナイルは、ドアの前で足を止めた
ナイル
カルロ
ナイル
背筋が凍った
カルロ
ナイルは笑顔のまま、何も答えなかった
遠くで楽しげな音楽な鳴り続けている
遊園地は今日も「ハッピー」らしい
けど、俺は確信していた
ここは、ゆっくりと人を壊すための場所だ
ナイル
ナイル
ナイルが俺の部屋を後にした
一人になった瞬間、胸の奥に浮かんだ感情は…
安心なんかではなく、
孤独と、説明のつかない恐怖だった