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シクフォニグループ(6)

すち

みんないきなりごめん

LAN

ん?どしたすち?

いるま

何?なんかあった?

こさめ

えなんか、…なつくんに、あった?

すち

あのさ、

いるま

うん

すち

ひまちゃんの病気って、

すち

あれだったよね?不治の病?

LAN

まぁ、そうだね

こさめ

やっぱ、無理?ってこと…?

すち

いや、

すち

その、逆

みこと

え?!?!?!

すち

ひまちゃんの病気の

すち

治療法が見つかったんだって

こさめ

え、それ、ほんと…?

すち

ほんと

LAN

ちょっと待って

LAN

状況の整理が追いつかない

LAN

今俺そっち向かえないから…

LAN

グループ通話しても良い?

いるま

俺はいいよ

すち

俺も、

すち

病室個室だから

みこと

いいよ

こさめ

いーよ!

LAN

おけ、じゃあかけるわ。

LAN

通話終了

通話
00:00

俺はひまちゃんのよこで、

スマホに大きく映された通話ボタンを押した。

すち

ッみんな!!

思ったよりも、俺の声は震えていた。

こさめ

えなになにどゆこと!?

すち

そういうことだよ!

すち

ひまちゃんの病気が、治るかもしれない!!!!!!

みこと

ッ…!!!

みことちゃんの息を飲む音が聞こえた

彼の顔が想像できた。

きっと少し複雑な気持ちなんだろう。

LAN

え、じゃあさ、

LAN

なつは、…治る…ってこと?

すち

っうん。

奇跡、だ、と

いるまちゃんがつぶやいた。

そう、これは奇跡であった

ひまちゃんが生きてきた

何年にもわたる不治の病が

まだ命の灯火が消えていない

その前に治療法が見つかったのだから

みこと

なつくん、まだ生きてるんだ…ッ

みこと

よか、ったぁ…ッ

そうやって涙交じりにこぼす みことちゃんの声が

きっと俺ら全員の涙腺を ゆるくした。

すち

ッで、でも…ッ!

LAN

ッえ?

すち

確実に、治るってわけじゃない…

いるま

それって、どういう…

絶望まじりなその声に

俺は一瞬、話すべきかを躊躇した

が、これ話さなければならない

彼の生死を決めるから

俺は、それを一息で話すために

大きく息を吸って、口を開いた。

すち

その、治療の手術は、ひまちゃんが初めてなんだ

すち

だから、その手術が、成功するか、

すち

ひまちゃんの病気が確実に治るか

すち

定かじゃない。

すち

色々薬も使うし、

すち

今以上にひまちゃんが辛い思いするかもしれない

すち

ひまちゃんに関しては今いる他の患者さんよりも

すち

ステージが進んでる。

すち

もし病気が治っても、足は使えなくなるかもしれないし

すち

もしかしたらまた、目が覚めないままかもしれない。

すち

もっと言えば、失敗したら、

すち

死んじゃうって…

すち

ッだから!

すち

みんなは、どうしたい…?

今このままだと、

ひまちゃんは数日後

安らかに息を引き取る。

そして今手術を決断したら

ひまちゃんはまだ

俺らと生きれる。

が、失敗したら

苦しい思いをして

息を引き取る。

俺らにとってそれは、

究極の選択であった。

苦しいか、生きれるか、 安らかに眠ってしまうのか

ひまちゃんのためには 時を待つ方がいいのだと思う

でも、やっぱり…

LAN

ッ俺は、…手術、して欲しい…。

すち

…え?

LAN

今から、きっと

LAN

みんな驚くこと言うよ、

いるま

驚くこと?

LAN

うん、

LAN

俺、櫻田藍と暇72、まぁ樋前夏樹、は

LAN

ッ兄弟、だったんだよ。

みこと

ッえ?!

みこと

兄弟って、血…繋がってる?

LAN

うん。

らんらんのその発言に、

通話に一度沈黙が流れた。

LAN

…そうなんよ。

LAN

俺の本名は“樋前藍”。

LAN

母さんの苗字、使っててさ

LAN

両親が離婚して俺がついて行ったのが父さんで

LAN

父さんの苗字が“櫻田”。

LAN

…そう、俺ら生き別れの兄弟なんよ。

LAN

今まで黙っててごめん

LAN

…なつはさ、

LAN

“共病日記”ってもん、つけてるんよ。

LAN

ずっと前から、

LAN

みんなに死んだ後、見て欲しいって言ってね。

LAN

こんなんさ、兄貴として言うべきじゃないかもだけど

LAN

…夏樹の目が覚める前に、またやって欲しい。

LAN

それで、目が覚めたら、

LAN

みんなで優しく抱きしめてやって欲しい。

LAN

俺は、全部知ってるから

LAN

書いてあること、とか。

LAN

これからのお前らに必要なこととか。

LAN

死を覚悟してた夏樹の思いとか

LAN

全部書いてあるからさ。

LAN

…じゃあすち、きっと夏樹の病室の

LAN

棚の奥の方に隠してある。

LAN

見つけてやってくんね?

LAN

あと、みんな。

LAN

夏樹の手術どうしたい?

LAN

俺は“兄貴”としても、“メンバー”としても。

LAN

まだ、夏樹といたい

らんらんはここまで、

泣き出しそうな、

苦しそうな声で

そう言った。

いるま

ッ俺も、お願いしたい。

こさめ

…とーぜんじゃん。

こさめ

こさめも、まだ、

こさめ

ッ…

こさめ

なつくんと、いたいから…

みこと

…俺も。

みこと

まだやり残したこと、たくさんある。

すち

ッ…みんな…

みんなは、そう言って電話越しに鼻をすすった。

暇ちゃんもきっと、

まだ俺らといたいはず。

“ありがとう”そう言えば、

みんなは

“なつのことを任せた”

と声を揃えて言った。

その時、

俺は溢れんばかりに涙をこぼした。

その希望が、

そして奇跡が、

現実になりますように。

俺らは願った。

心から、そう願った。

俺は任された。

みんなから。

ずっと一緒にいると

約束したあの日を思い出して

決意をかためた。

そして、

最後に彼を

優しく抱きしめた。

“ありがとうー…”

計185タップ、 お疲れ様でした。

ここまで読んでくれた皆様 本当にありがとうございます。

ここから最後まで、 1話の内容量が多くなりますが

最後までお付き合いいただけると幸いです。

いつも通りコメントや感想は しっかりと返信するつもりですので、 たくさんいただけると嬉しいです。

本当にここまでありがとうございました。

by七瀬 満

君の記憶が、途絶えた日。

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