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日曜日早朝
悠斗
悠斗は小さな林道を外れた。 夜の名残がまだ薄く漂う森。湿った土の匂いと、鳥の声。踏むたびに、足元の草が静かに揺れた。
ザッ ザッ ザッ
悠斗
悠斗
その時悠斗は不安よりも、わずかな高揚が勝っていて誰もいない時間の森は、落ち着いた印象を与えた。
悠斗
悠斗
ガサッ
悠斗
悠斗
悠斗
少し焦りながら身構え目の前に集中するとそこにいたのは、熊でも猪でもなく1人の男だった。
悠斗
長い影を引いた、朝の光の中。 濃いダークブラウンの癖っ毛が風で揺れ、深い色の瞳がこちらを静かに射抜く。
悠斗
男は、膝の上に鹿を抱えていた。鹿は彼に身を預けていて、まるで赤ん坊のようだ。
悠斗
悠斗
鹿は彼に寄り添ったまま、男は悠斗の存在に気づくとゆっくりと立ち上がった。
澄人
低く、落ち着いた声だった。 怒っているわけではないのに、距離感のわからない鋭さがある。
悠斗
悠斗
男は一歩、こちらへ近づいた。 その動きだけで、森の空気が変わるように感じた。
澄人
悠斗
近くで目が合った瞬間、胸の奥が少し熱くなる。 言葉が思うように出せなく喉にひっかかる。 けれど、絞り出すように悠斗は答えた。
悠斗
澄人
悠斗
悠斗
澄人は静かに頷き、悠斗を上から下までひとつなぎに見た。その仕草が妙に優しくて、悠斗は目をそらせなかった。
澄人
澄人は鹿の頭を撫でながら、さらりと言った。
悠斗
それはまるで 許可、というより"招待"に近かった。
トクン..
澄人は鹿をそっと森へ返すと、悠斗の方へ完全に身体を向けた。その動きに、悠斗の胸がまたひとつ跳ねる。
ドキ.. ドキ..
澄人
悠斗
澄人
悠斗
ザッ ザッ
澄人は構わず先にゆるりと歩き出す。 その背中は大きくて、森に溶け込むようにしっくり馴染んでいた。悠斗は自然とその後ろを追いかけた。
澄人
悠斗
澄人
林道から外れ、2人は細い獣道のような道へ入った。木漏れ日が揺れ、枝葉がそよぐたびに風の音が小さく響く。
悠斗
澄人は何も言わず、歩幅をゆっくりにしてくれる。 悠斗の歩くリズムを見ていたかのように。
悠斗
ドッ、ドッ、ドッ..
悠斗
悠斗
思わず尋ねると、澄人は振り返らずに答えた。
澄人
さらりと言った言葉があまりにも自然で、 悠斗は思わず聞き返そうとしたその瞬間、澄人が片手を横に出して制した。
澄人
声がさっきより低く、鋭い。 優しいだけじゃない“森を守る人”の顔だ。
ゴクッ..
すると、前方の茂みから小さな影がひょこっと出てきた。
🐇ぴょんっ
澄人の厳しさは一瞬で溶け、またおっとりとした声に戻る。
澄人
悠斗
その一言と同時に、澄人は軽く悠斗の手首をつかんだ。
悠斗
引かれるままに2人は走り出す。 狭い道を抜け、小さな岩場を越え、ぱっと視界が開けた。
悠斗
そこは、木々の隙間から朝の光が一斉に注ぎ込む小さな広場だった。 苔がキラキラと宝石のように輝き、細い川が静かに流れ、まるで別の世界みたいだった。
悠斗
澄人
悠斗は澄人の横顔をそっと見た。光に照らされた癖っ毛がふわりと揺れ、その横顔はどこか神秘的で、触れようものなら簡単に消えてしまいそうだった。
悠斗
澄人
とくん..
悠斗
悠斗
悠斗
澄人
悠斗
悠斗
澄人
ザッ ザッ ザッ ザッ
ザッ ザッ ザッ ザッ
小道を抜けさらに森の奥へ歩く。 澄人の住んでるコテージは木々に囲まれ、朝の光が柔らかく差し込む1人には不思議と大きすぎる家だった。 扉を開けると、森の匂いと木の温もりが混ざった空気が悠斗を迎える。
ギィ🚪
澄人
悠斗
悠斗
悠斗
澄人
澄人はキッチンで慣れた様子で食事の準備に入る。 薪ストーブでコテージ内は暖かくされていて、悠斗が温まっているその間にパンと卵の香りがふわりと漂う。
悠斗
悠斗
澄人
2人は小さな木のテーブルに向かい合う。 無言で食べる時間も心地よく、川のせせらぎや鳥の声がBGMになる。 時折、澄人がここでの料理のことをさりげなく教えてくれるたび、悠斗の頬がほんのり赤くなる。
悠斗
澄人
悠斗
朝ごはんを終えると、悠斗はコーヒーの入っていたマグカップを両手で包みながら、ほんの少し名残惜しそうに息をつく。
悠斗
カチャ.. カチャ..
澄人
ドクン.. ドクン..ドクン..
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
ドッ
ドッ
ドッ
悠斗
悠斗
悠斗
悠斗
悠斗
澄人
どきっ
悠斗
澄人
悠斗
悠斗
澄人
悠斗
食器を洗い終え玄関前に立った澄人が、靴を履く悠斗をちらと見下ろした。
澄人
悠斗
澄人
澄人が先を歩き、悠斗は半歩後ろ。 でも澄人はちゃんと悠斗の歩幅に合わせてくれている。
悠斗
澄人
ザッ
ザッ
澄人
ザッ
ザッ
悠斗
澄人
悠斗
悠斗
悠斗
澄人
澄人は突然立ち止まり、指先で一点を示した。
澄人
その指の先には、朝日を浴びた鹿が一頭。 まだ幼いのか、細い脚で慎重に草を食んでいる。
悠斗
悠斗
澄人
悠斗
澄人
澄人
悠斗
澄人
澄人
澄人
悠斗
澄人
悠斗
悠斗
ザッ、ザッ
またしばらく歩くと、 小さな小川が朝陽を跳ね返して光っていた。 澄人は川辺で立ち止まり、しゃがみこむ。
澄人
悠斗
ちゃぷん
悠斗
澄人
悠斗
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
悠斗
澄人
悠斗
悠斗はリュックに入れておいたハンドブックに澄人の家、方角や目印などの情報を書き込んでいく。 慣れたもので数分で書き終えた。
悠斗
澄人
悠斗
悠斗
ザッ ザッ
澄人
悠斗
ザッ ザッ
しばらく歩き進めたところで悠斗は何でもない蔦に足を取られてしまう。
悠斗
ガシッ
澄人
悠斗
ドッ
ドッ ドッ
悠斗
悠斗
澄人
悠斗
悠斗
悠斗
悠斗
ザッ ザッ
澄人
悠斗
悠斗
少し拓けたところで澄人が座れるか確認して腰掛けて、隣に悠斗が腰掛ける。
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
悠斗
悠斗
悠斗
澄人
悠斗
澄人
澄人
悠斗
休憩を終えて、2人は再び森の小道を歩き始めた。 先ほどと同じく澄人は前を歩き、悠斗は後ろからその背を追う。
ぐぐぐ..
パキッ!
悠斗
ぐっ
澄人
悠斗
手が触れて、体温を感じる。温かくもあり熱くもある。そんな一瞬だった。
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人が手を離して歩き出した後も、悠斗の指先には、澄人の手の温もりがじんわり残っている。
悠斗
悠斗
悠斗
悠斗
ザッ ザッ
澄人
悠斗
悠斗
澄人
悠斗
悠斗
意識してる?
悠斗
澄人
悠斗
澄人
澄人は悠斗の方を横目で見た。 その瞳には、さっきまでより少しだけ柔らかい色が宿っている。
ドキッ
悠斗
導かれるように歩いていくと、木々が次第に細くなり光が増えていく。 やがて視界がふっと開けた。
悠斗
草が風で揺れ、真ん中に一本だけ古い大きな木が立っている。
悠斗
遠くの谷まで見渡せて、 薄い靄の向こうで陽光がきらきらと揺れている。
澄人
2人は大きな木の下の平らな岩に腰を下ろす。
🍃サァーーーー...
森のざわめきと風の音だけが耳に残る。 距離は自然と近くなり、肩が触れないギリギリのところ。
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
澄人
澄人
悠斗
悠斗
澄人
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
サァ..🍃
悠斗
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
ぐぅ..
澄人
ちらっ
悠斗
澄人
悠斗
澄人
澄人はため息すらつかず、ただふいに歩き出した。
悠斗
澄人
悠斗
悠斗
澄人
そう言うと澄人は、しゃがんで水面を静かに覗き込みながら手を入れた。
バシャッ
澄人
悠斗
悠斗
澄人
悠斗
澄人は魚を簡単に処理して、拾ってナイフで尖らせた枝に刺し、火を起こす準備を始めた。
🔥パチパチ.. パキッ パチッ..
悠斗
くんくん..
澄人
悠斗
悠斗
澄人
悠斗
澄人
魚の面倒を見ながらスッと食べやすく砕かれた木の実とハーブを渡される。
悠斗
澄人
澄人は悠斗の戸惑った表情を察し、そちらに視線をやらず手元にある分けた元の木の実を食べる。
ボリボリ..
悠斗
きゅん..
悠斗
澄人
悠斗は頭の中で会話して首を横にブンブンと振ったり、木の実とハーブで時間を要してるのを澄人に見られてるとも知らず自問自答し続けた。
澄人
悠斗
悠斗
澄人
澄人
悠斗
澄人
パリッ
悠斗
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
🔥パチパチ..
悠斗
澄人
悠斗
悠斗
🚪ギィぃ..
澄人
澄人
悠斗
悠斗
悠斗
悠斗
澄人はキッチンへ向かい、コテージの匂いに癒やされ深呼吸をし終えた悠斗は途中の部屋のドアが少し空いてるのを見て足を止めた。
悠斗
悠斗
悠斗
悠斗
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
悠斗
悠斗
澄人
澄人
澄人
悠斗
悠斗
澄人
悠斗
悠斗は申し訳なさを拵えて澄人の後に続いた。
悠斗
完全に中に入ると広がるのは大きさの様々な木の彫刻や、動物の一部で作られたアクセサリーなどが散らばった悠斗にとって初めて見る、目が輝き心が大きく揺れ動かされる圧巻の光景だった。
澄人
悠斗
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
悠斗
澄人
悠斗
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
澄人
澄人
悠斗
悠斗
澄人
悠斗
澄人が離れると部屋の空気も雰囲気も少し寂しい気持ちになったのを感じた。
悠斗
鹿の角で作られたピアスを手に持つ。
悠斗
悠斗
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
☕ズズ..
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人は悠斗が気分を害さないようにそちらを見ずに別の素材に触れている。
悠斗
洗面台で左右の耳に角が揺れ動くピアスを付けた。
ゆらっ ゆらっ..
澄人
悠斗
澄人
☕ズズ..
悠斗
自然と指が動き無邪気に笑う悠斗のピアスの入った耳たぶに触れる。
悠斗
澄人
悠斗
悠斗
澄人
ドクッ.. ドクッ..
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
悠斗
澄人
悠斗
悠斗
澄人の作品の行方に謎の嫉妬をしつつ彫刻も見てみる。
悠斗
どきっ
悠斗
悠斗
悠斗
悠斗
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
悠斗
悠斗
悠斗
澄人
澄人
悠斗
澄人
澄人
悠斗
澄人
悠斗
悠斗
ザッ ザッ
澄人
ザッ ザッ
悠斗
澄人
澄人
悠斗
しばらく歩き、2人は距離を保ちつつ悠斗が入ってきた森の入り口にたどり着く。
澄人
悠斗
悠斗
澄人
悠斗
澄人
悠斗
澄人
澄人は悠斗が時々振り返り手を振るのを見えなくなるまで見守った。
悠斗
悠斗
悠斗
🚪ギィ..
澄人
澄人
作業場に入ると悠斗にあげたものと近いアクセサリーを手に持つ。
澄人
澄人
澄人
悠斗
悠斗
家の近くまで戻ってきた時、 カバンに触れた拍子に耳にあるピアスが“ゆらり”と揺れる。
悠斗
思い出すのは澄人の指先が、自分の耳に触れたときの感触だった。
悠斗
悠斗
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