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紫くんを引き取ってから1週間後…

MOB(使い回し)

徠斗、ちょっと来なさい

東徠斗

灯さん、何ですか?

MOB(使い回し)

兄貴ならちゃんとに弟の面倒を見てやれ

東徠斗

老いぼれだから好きにしろって言ったのは灯さんでしょ!?

MOB(使い回し)

師匠に口答えするでない(イタズラっ子みたいな笑み

東徠斗

どう?季節のフルーツを使ったスイーツできそう?

東徠斗

って…これはモンブラン?

寛凪紫

違う、モンブランのさつまいも版

東徠斗

なるほど…その発想はなかったや…

MOB(使い回し)

ちょっとした工夫から新しい商品が生まれる

MOB(使い回し)

パティシエとして当たり前の言葉だ、覚えておきなさい

灯さんは俺にはかなり厳しく接することが多かった

その反面、紫くんは元からスイーツ作りの素質もあり灯さんからとても可愛がられていた

当時はそれが羨ましく多分俺は拗ねていたのかもしれない

MOB(使い回し)

紫、この仕事場には慣れたかい?

寛凪紫

和菓子も洋菓子も繊細勝負という部分は変わらないかと…

寛凪紫

ただオーブンとか普段はあまり自分は使ってなかったので…

寛凪紫

そこの火加減とかさえコツを掴めば何とかなると思います

MOB(使い回し)

うんうん…努力してることはいいことじゃ

東徠斗

(また褒められてる…なのになんであの子嬉しそうじゃないんだろ…)

紫くんは真剣な顔で褒められても嬉しそうじゃなかった

俺なら手放しで喜んでもっと褒めてと騒ぐはずなのに

でもその理由が後々わかったのだ

ある日の早朝に試作をしたくて厨房に行くと怒鳴り声が聞こえた

MOB(使い回し)

お前マジで何してくれてるんだよ!

東徠斗

(何だ?)

寛凪紫

その案は元々僕が思い付いたやつで横取りしないでって言ったの

寛凪紫

てか、使う材料も分量も全然違うから教えてあげようと思っただけ

MOB(使い回し)

お前さ何調子に乗ってんだよ!!

MOB(使い回し)

灯さんに気に入られてるからって何してもいいと思ったら大間違いだ

ソイツが作ろうとしていたのはあのモンブランのさつまいも版だった

東徠斗

(自分が思い付かないからって横取りかよ…)

東徠斗

(アイツ…紫くんがどれだけ頑張ったと思って…!)

東徠斗

(そっか…喜べなかったのはこれなんだ…)

東徠斗

(作ってもどうせアイツらが我が物顔で取っていっちゃうから…)

寛凪紫

もしお客さんにこのスイーツの特徴とか聞かれたら

寛凪紫

どうやって答えるつもり?

MOB(使い回し)

あ?そんなの聞いてるくる客なんかいねぇよ!

MOB(使い回し)

とにかくどけどけ!これから作るんだからよ!

MOB(使い回し)

お前は『出来損ない』だからアイデアだけ出してりゃいいんだよ!

東徠斗

お前…

MOB(使い回し)

よさんか、まだ修行中の者をいじめて何になる

MOB(使い回し)

と、灯さん…

MOB(使い回し)

おいで、紫…また新しいスイーツを一から作ろう

寛凪紫

わかりました…

厨房に戻る紫くんを見て俺はなにも言えなかった

灯さんが紫くんを可愛がる理由がわかった気がした

自分の才能にまだ気づけてないからなんだ

誰にも思い付けないアイデア力を持っててそれを必ず作り上げる根性

そして作れても得意顔をしないでもっと高みを目指す真っ直ぐさ

東徠斗

(紫くんと俺じゃ…根本から違ったわけか)

東徠斗

(そりゃ俺が灯さんから可愛がられるわけがないわ)

多分紫くんは俺のことを嫌ってると思う

あの時、もっと早くアイツを止めていれば

見ていただけなんて卑怯者のすることなのだ

そして買い取った本当の理由すら打ち明けてないから

嫌われて当然だから

寛凪紫

僕たちの身の危険を考えて保護のつもりで買い取られたってことでいいんだよね?

東徠斗

そうなんだよ…

東徠斗

何度かあの後警察が君の家を見に行ったらうろついてるやつらがいたみたいだよ

東徠斗

ごめんね、あのときは見てるだけになっちゃって…

寛凪紫

灯さんの前に言おうとしてくれたの気づいてたよ

東徠斗

え…だってあんな一瞬だったのに…

寛凪紫

確かに灯さんの声がすぐに重なったから消えちゃってたけど

寛凪紫

僕ね耳だけは前からすっごく良くて

寛凪紫

どんな小さな物音も聞き逃さないから聞こえてた

寛凪紫

だからお礼が言いたかった

寛凪紫

徠斗兄さん…あの時止めようとしてくれてありがとう

東徠斗

俺こそだよ、今なら灯さんの気持ちがわかるんだ

東徠斗

灯さんは俺に一人前になってほしいからわざわざ店を見に行かせたんだ

東徠斗

そして競争相手に紫くんを選んだのは…

東徠斗

作るものが違う相手と時には切磋琢磨して…協力して腕のいいパティシエになりなさい

東徠斗

そういうことだったんだろうね

寛凪紫

でもちょっと違うかも…

東徠斗

え?

寛凪紫

そもそも僕は徠斗兄さんの背中を見てたからできたんだよ、先回りが

東徠斗

さ、先回り?

寛凪紫

うん、灯さんに褒めてほしくて色々と怒られないように先回りしていたの

寛凪紫

子どもながらの悪知恵ってやつ?

東徠斗

え~…紫くんズルくない?

東徠斗

弟ってそういうことするって言うけどさ~

寛凪紫

だって徠斗兄さんは兄弟子で僕は弟弟子だから…弟みたいなものでしょ?

東徠斗

うぐっ…

東徠斗

(言われてみたら俺たち兄弟弟子だったわ…)

寛凪紫

でも働いてみてわかった…徠斗兄さんと僕じゃ根本から違う

寛凪紫

同じになれるわけなんかないんだってこと

寛凪紫

僕にとって大事な場所はあの喫茶店しかないんだって…

東徠斗

そっか…それなら俺も早めに復帰しないと紫くんが可哀想だな…

寛凪紫

お母さんの腰の面倒見終わってからでいいよ

東徠斗

本当に迷惑かけちゃうけどいいの?

寛凪紫

まぁね…困ったときはお互い様っていうでしょ?
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