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柴本 桃花

夜分にごめんなさい

柴本 桃花

明日のHSS杯、頑張ってください

柴本 桃花

前日に突然ごめんなさい。
迷惑だったら返事とか全然しなくて大丈夫です

溝口 圭佑

ありがとうございます。頑張ります

溝口 圭佑

溝口 圭佑

迷惑じゃないです

庭球HSS杯

「この大会、溝口圭佑も出るんだろ?」

「大会の主催者の息子がな。 絶対親のコネじゃん」

「分かる。俺もアイツ嫌い。初戦もストレート勝ちだぜムカつくわー」

「でも溝口圭佑の二回戦の相手見ろよ。連勝記録ストップさせた高山昴だぞ」

「マジで?いきなり?? …なぁどっちが勝つか賭けようぜ」

「おう。あ……

溝口 圭佑

………

会話の主達はようやく圭佑の存在に気づいたようだ。サッと顔を背けると、そそくさと去って行った。

__父が経営しているテニススクールの生徒だ。その殆どが圭佑を敵視している。 きっと今頃 悪口で盛り上がっているのだろう。

自分の努力不足を棚に上げて。 __圭佑は1つ息を吐くと、眼前のトーナメント表を見やった。

……俺は運命なんて信じないし すがらない。 必然は大体 偶然だ。それ以上の意味は無い。

だからこのHSS杯で、 高山昴が二回戦の相手と言う事実にも、意味は無いはずだ。

大会の責任者は確かに父だが、圭佑の試合には断じて干渉していない。エントリーさえ圭佑自身が行ったのだから。 (大多数は信じないだろうが)

だからこの事実も、全て偶然だ。

溝口 圭佑

……

………だけどもしかしたら

溝口 圭佑

………夏の全国大会以来ですね

高山 昴

……

必然でもあるのかもしれない。

背後に立つ高山 昴が、小さく息を吐き出した。

圭佑はトーナメント表から視線を外さず続ける。

溝口 圭佑

同じ相手に、俺は敗けを重ねませんよ。テニスにおいて、敗けるのは親父だけです

高山 昴

…一緒にすんなや

返って来たのは、 小さな、

しかし何かを堪(こら)えるように震えた声だった。 背中に向けられるのは、確かな「怒り」。

高山 昴

俺は あんたと違う。「絶対に敗けへん」あんたと違って俺は…敗けられへんのや

____だけどその中に、別の感情が混じってる。

溝口 圭佑

………

………でもそれがどうした。 この世界は泣き言を言った奴から敗ける。

言葉などかけてやらない。 ___沈黙する圭佑の背に再び吐息の音が届いた。

高山 昴

延長戦には持って行かへんで

溝口 圭佑

そうさせて貰います

肩越しに振り向く。 射るような目に微笑みかけた。

溝口 圭佑

あとはボールで語りましょう

高山 昴

高山 昴

はっ

昴の相好も崩れた。 両の目にくらい光を灯し、口の端を吊り上げる。酷く不恰好な笑みだ。

高山 昴

何を語る事があんねや。ただ勝者と敗者が出るだけや。テニスなんて

高山 昴

……兄貴に認めて貰うツールに過ぎひん

溝口 圭佑

…………………

__トーナメント表の周りには、小さな人だかりが出来ている。

この大会で一番の注目株と言ってもいい二人のやり取りに集う野次馬達だ。

圭佑は彼らを一瞥すると、肩で息を吐き出した。

溝口 圭佑

なるほど。そう言う考え方なんですね。…否定はしませんよ

溝口 圭佑

ただ

昴と正対し、歩を進め距離を縮める。 昴にしか聞こえない距離、声量で

仮面を完全に剥ぎ取って、囁いた。

溝口 圭佑

それはテニスが好きな人への最大級の侮蔑である事をよく覚えとけ

敗けない。敗けるわけにはいかない。

延長戦には持って行かない。 差をつけて勝たないといけないのだから。

唯一の、兄貴より上回る物だ。

唯一の、俺を認めてくれる物だ。

ラケットを振る理由はそれだけだ。

テニスなんて

兄貴に認めて貰うツールに過ぎない_____

ピ イ ィ Ⅰ Ⅰ Ⅰ ッ

高山 昴

はぁっ……はぁっ……

審判

ゲームセット

審判

マッチ ウォンバイ溝口___

溝口 圭佑

………

高山 昴

はぁ…はぁ…っ

拍手。 歓声。

ラケットを構える姿勢を解く圭佑と__

呆然と立ち尽くす高山昴_____。

高山 昴

何で………何でや…

試合終了後の握手で、互いにコート中央に歩み寄る。

圭佑が手を差し出しても、昴は微動だにせず呆然と譫言(うわごと)を漏らし続ける。

高山 昴

何でや…研究なら完璧にやった。全国より強くなったはずや…

溝口 圭佑

……俺には分かってましたよ。この勝負の結果は

圭佑は身を乗り出して昴の手首を掴む。

そして自分の方に引いて、囁いた。

溝口 圭佑

一番に気にするのが他人の評価。そんなヤワな精神で何度も日本一になれるわけねぇだろ

溝口 圭佑

眼中にねぇんだよお前なんか

会場の喧騒は

昴の悲鳴に似た吐息をかき消した。

握手の時、先輩が対戦相手に何か耳打ちした気がする。 何を言ったんだろう。

自宅のテレビの前で首をひねっていると、スマホの電話がなった。

表示は大好きな人の名前だ。 僕は早速 画面に指を走らせた。

山川 のぞみ

ヤッホー柚月くん。圭佑くん勝ったね

鳴沢 柚月

うん。凄かった

山川 のぞみ

…あの、今うるさくしても大丈夫?

鳴沢 柚月


うん

山川 なごみ

ゆうぅ~~~く~~~~んっ!久しぶりだねえぇぇ~~

スマホを耳から離してテーブルに置いた。

鳴沢 柚月

お、お久しぶりです

山川 なごみ

うんうん久しぶり久しぶり。ハロウィン祭以来だね!お正月帰ろうと思ってたんだけど帰れなくなってさ。のぞみん とはどう?ラブラブしてる?あ、はーたん に新しい彼女さん出来たの知ってる?

鳴沢 柚月

あ、あの…えっと

山川 のぞみ

はいはいストップストップ。柚月くん混乱してるから

山川 のぞみ

いや~ごめんね柚月くん。またお姉ちゃんが帰って来やがってさ、電話したい電話したいってうるさくて。迷惑だったら切っていいからね

鳴沢 柚月

め、迷惑じゃないです

山川 なごみ

ゆーくん本当に天使!

山川 なごみ

お姉さんまたしばらく日本に居るんだよ!だから今度お姉さんと遊びに行こうよ!もう春休みでしょ?

山川 のぞみ

当然私も行きますよ、このハイテンション危険人物

鳴沢 柚月

あ、ありがとうございます。……あの、でも…

山川 のぞみ

どしたの?

鳴沢 柚月

春休みは、お母さんの弟さんとご飯食べに行く予定で…

山川 のぞみ

え、ボスって親戚付き合いあるんだ

山川 なごみ

ゆーくんの親戚さんってどんな人なんだろうね~

鳴沢 柚月

僕も会った事ないから分からないです

鳴沢 柚月

……でも実家でお嫁さんと暮らしてるってお母さんが

山川 のぞみ

あー、そう言えば夏休みボスにポテサラ教えて貰った時、弟からじゃがいも送られて来たって言ってた!

山川 なごみ

と言う事は農家さんなんだ~

鳴沢 柚月

はい。代々じゃがいもを栽培してるらしくて、結構その業界では有名だってお母さんが言ってました

山川 のぞみ

へぇ~~。ボスって農家育ちなんだ…

山川 なごみ

……うーーーーーん…

山川 のぞみ

どしたの、急に真面目な顔になって

山川 なごみ

うーーん。何かちょっと引っ掛かるんだよね~

鳴沢 柚月

山川 なごみ

もしかしたら私、そのじゃがいも農家さん、知ってるかも…

やめろ

やめて

高山 昇

試合、見たで

高山 昇

よぉ分かったわ

違う。違う!

高山 昇

延長戦にも行かへんかったな

口汚く罵って欲しい。言葉の限り詰(なじ)って欲しい。

いっそ優しいと思えるこの声音を聞くくらいなら!

高山 昇

言い訳はいらん

高山 昇

俺もあんたに かける言葉は1つや

待って

違うやめろ

違_____

高山 昇

切符は受付に預けたから。1人で帰ってや

高山 昇

よぉ分かった。もうあんた はアテにせぇへん

高山 昇

失望したわ

高山 昴

兄っ____

ブツッ

高山 昇のスマホから、昴の悲鳴に似た声がかき消えた。

それでもすぐに昇のスマホは着信を受けて震える。

高山 昇

…………

昇はスマホをポケットに突っ込んだ。 鳴り続ける着信に一切取り合わず、逆のポケットから車の鍵を____

溝口 圭佑

電話、鳴ってますよ

HSS杯会場。その西口ゲート。

試合を終えた圭佑は、ゲート前に立つ高山 昇に声をかけた。

この場には不似合いの、高いスーツに身を包む高山は手中の鍵を弄びながら圭佑の顔を見ずに答えた。

高山 昇

無能に慈善事業してやるほど お人好しやないんや

高山 昇

…試合見たで。弟が世話になったな

溝口 圭佑

すみません。こんなお子様が弟さんのアメリカ行きを奪ってしまって

高山は答えず、相変わらず手中で鍵を弄びながら踵を返した。

圭佑は無言で歩を進める高山の後をついて歩いた。 その背中に言葉を投げつける。

溝口 圭佑

貴方の思惑は外れました

高山は答えない。振り向きもしない。ただ鍵を弄びながら歩き続ける。 __だから圭佑も止めなかった。

溝口 圭佑

貴方の申し分の無いプロフィールは瓦解しました

溝口 圭佑

尻尾を振らせる術はもう無いはずです

高山 昇

__________分かってる

鍵を弄ぶ手が止まった。 顔は前を向いたまま、高山は恐ろしく低い声を発した。

高山 昇

俺は大人や。この結果に変な難癖はつけへん。テニスはあんたの勝ちや

高山 昇

俺は大人や。あんたの言いたい事くらいちゃんと分かる

高山 昇

確かにあんたの言う通り、愚弟は俺の顔に泥を塗ったで

高山は手中の鍵を軽く上空に放った。

高山 昇

でもそれがどうした。
何の為に俺がこんなクソ遠い所まで足運んだと思う?

キャッチした鍵をまた放る。 どんどん朗らかになって行くその声は

まるで勝者の_______。

溝口 圭佑

__HSS杯会場西口ゲート。舗装された道路の先の、開けた駐車場。

これ見よがしに駐車されてる外車の脇に佇む______

佇む………

高山 昇

どうでもいいんや。昴が勝とうが負けようが

相原 澪

………

溝口 圭佑

澪さん…何で………

あり得ない。 俺の知ってる澪さんなら、この男の誘いなんて絶対に乗らないはずだ。

足を踏み出すが、高山の長身がそれ以上の接近を妨げた。 振り向いたその目は卑しく細められている。

高山 昇

俺は澪の幼なじみや。心配して連れ戻す事のどこに可笑しな点があんの

溝口 圭佑

…ふざけんな、「可愛いがらせる」とか言ってたくせに……っ

相原 澪

やめてっ!

澪さんが割って入っていなかったら、握った右手は とんでもない事をしていたかもしれない。

相原 澪

私が付いて行くって言(ゆ)ったの。私が、ちゃんと説明してへんかったから…

相原 澪

ちゃんと話つけに行く。_____だから

相原 澪

……孝太くんには言(ゆ)わんといて

澪の視線が外れた。 伏せられた睫(まつ)毛も、この後発せられる声も、胸が痛くなるほど震えている。

相原 澪

高校の、部活の大事な選抜やから。私のせいでパアにさせたくないから

溝口 圭佑

……だったら

溝口 圭佑

だったら何で、そんな泣きそうな顔してるんですか。…澪さん、貴方本当は

相原 澪

……

高山 昇

はいはい、もういいやろ

高山は澪の肩を掴むと強引に下がらせた。

そのまま外車の方に軽く押すと、口の端を吊り上げながら圭佑を見下ろした。

高山 昇

澪にこっちの空気は相応しくない。毒されてるみたいやから、俺が目ぇ醒まさせたる

高山 昇

だから溝口 君もカレシにしっかり伝えとくんやで

相原 澪

っ孝太くんは___

高山は笑みを崩さぬまま、先程より強い力で澪を外車の方へ押しやる。

そして圭佑を見下ろす その目を更に細めた。

高山 昇

澪は里帰りしましたってな

女子大生と男子中学生が交際している話 シーズン2

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コメント

1

ユーザー

間に合ーーーーーっ! 久しぶりに期日までに投稿ぉーーーーっ!……なんて悲しい咆哮でしょうか……😭 関西弁の人が多くなりましたね😁 私も関西人なので、関西弁を書くのはあまり苦労しないんですが、関西圏だけの方言は把握しとこう!と調べました。いやービックリ…「カッターシャツ」って全国共通ちゃうの??Σ(゜Д゜) サブタイトル読み:ラプソディー 読んでくださりありがとうございました❗

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