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母よ。
父よ。
どうか私に教えてください。
神を人に変える方法を。
あなたたちに会う方法を____。
……気がつけば、マリア=ムーンリットは国を総べる立場にあった。
幾つかの断片的な過去の記憶。
14歳の時に孤児院の庭で雷に打たれ、そこで初めて神の啓示を受けた。
神の遺産 「罪」 ____その中で眠る2匹の神竜こそが、彼女の真なる両親。
「全ての者は神の御子である」そう教えられ、育ってきた。
その考えが正しいことが証明された。
やはりマリアは神の子であったのだ。
神より与えられし文明遺産を継承し、繁栄を続ける魔道王国・レヴィアンタ。
その頂点に君臨する女王として。
神のご意志を伝える預言者として。
マリアという古き名を捨て、彼女は新たな名前を得た。
____アリス=メリーゴーランド。
しかし、彼女は知っている。
自分は所詮、傀儡に過ぎない事を。
実際にこの国を支配しているのは、配下であるはずの愚者たち。
それで構わない。
アリスが為すべき事は政治ではなく、ガラスの小瓶に映し出される神のご意志に従い、それを守る事なのだから。
「神の双子」を、守らなければならなかった。
その手に抱いた____。
彼女の可愛い子供たち。
しかし愚者どもは、それを理解できなかった。
神の使命を果たせなかったアリスは、出来損ないの預言者だ。
それでも彼女はなお、神に祈り続けた。
その祈りは届き、神からの新たなメッセージが、小瓶に映し出された。
『 愛しき娘アリスよ、今一度、我らの憑代を創り、それを捧げよ』
『 宵闇の歯車……その時までに為されなければ、我らの怒りは空と大地を包み、全てを灰に変えるであろう』
____それはすなわち、世界の完全なる死を意味する。
されど……。
アリスが再びその身に子を宿すことは、もうできない。
ならば、預言者らしく。
神託をそのまま、愚者たちに伝えよう。
彼らの過ちは、彼ら自身に償わせるのだ。