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ユキノ
ユキノ
ユキノ
なぜだか聞き慣れたような声が、ザザっみたいな、砂嵐のような音の合間に聞こえてくる。
壊れたラジオの様に、同じ事を、同じ所が聞き取りづらいセリフを、何度も、一定間隔で繰り返していた。
ユキノ
ユキノ
ユキノ
強く、ガっと目を擦ってみる。
ユキノ
ユキノ
ユキノ
深く、深く、鼻骨が圧迫され若干痛みを感じるくらい深く、瞬きをした。
ユキノ
ユキノ
最後の記憶はアラームより1時間前、瞬きをしたこと。
でも、私は今、いつものスーツを着て、いつもの鞄を手に抱えていつもの電車に乗っている。
戸惑いながらも、深呼吸をして、
ユキノ
と呟き、勝手に納得した。そんなこと、あるわけが無いのに。
いつの間にか、私は夜の寂れた公園のボロボロとペンキの剥がれたベンチに独り腰をかけていた。
いつの間にか、って言っても、今朝みたいな現象じゃなくて...
時刻は23:56分
クリスマスが終わるな。
今年も1人だったな。
来年は、きっと。
"ドンッ"
"ビリッ"
いつもの鞄には、使い古した筆箱に、去年サンタに貰った、てかボーナスで買ったPC。
そんで、何枚あるのか分からない、透明のファイルから溢れ出した資料。
右手には、いつか買った小説。
"あの時"と、さほど変わらない鞄の中身
その全てを、壊してやった。破いてやった。記憶というゴミ箱に、閉じ込めた。
山積みの問題は、山積みの思考を生む、それだけ。
でも、それは何か、満足感が得られる。
自分が必要とされてるって、そう感じられる。気がする。
そう思わない?
ユキノ
鞄には、あの時もらった赤いクリスマスローズ。
ふと、目に付いた日記に手を伸ばす。
パラパラと、穏やかに吹く風が日記のページを1枚ずつ捲っていく。
風が止み、あるページで止まった。 日付は、数年前の、今日。12月25日。
それは、あの、ちょっぴり、いや、結構寒い、翌日には、雪が降ったっけ、そんな、数年前のその日。