コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
母
父
父
ユキノ
"なんだろう。"
母
父
"なんだろう。"
母
父
"年に一度のクリスマス。"
ユキノ
母
"1年ぶりの誕生日。"
父
母
"なんだか、少し"
母
父
"あえて言葉にするならば、"
ユキノ
母
"....."
父
父
".........."
母
母
"つまらない"
ユキノ
ユキノ
"これが、家族で、幸せで、日常で..."
"真っ白なクリスマスローズ。"
"こんなの、面白くないわ。"
"私を忘れないで。"
壊してやりたい、破いてやりたい、全てを、閉じ込めて。
ユキノ
母
死んでしまえ。殺してしまえ。
ユキノ
ユキノ
住み慣れた実家のリビング。
幼少期、捲って怒られた壁紙。
テーブルには、手の付けられてないフルーツタルト。
左手には、赤いクリスマスローズ。
カレンダーは、12月25日、 "ユキノの誕生日!"と表されていた。
電子時計の表示は、12月26日、午前0時過ぎ。
カーテンの隙間から外を覗くと、うっすらと宙を舞う雪の結晶。まるで深海をぷかぷかと旅するプランクトンのよう。
そして、窓に反射する"ユキノ"の姿。
その"ユキノ"の体に触れると、その名前の表すように、雪の様に冷たくて、 その目は光を宿さなかった。
なんだか、寂れ疲弊した様な彼女の姿と、その眼光のない眼に、私は憐憫を垂れる。
思いを、感情を、出来事を、その日の全てを書き殴った。それは、"日記"と呼ぶんだって。
そんな、"日記"そして、筆箱、とか、乱雑に物を詰め込んだ鞄。
"カワイソウ"
大した意味も乗せない言葉を呟いて、私は鞄と共にこの住み慣れた家を後にした。