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キュッキュッキュッとグラスを拭いて置いてまた新しいグラスを拭く

あの日から毎日 私は意味の無い生活をしている

私の「番」が交通事故で死んだ日からずっと

キキーーッ!!

ドンッ

大きな音と共に目の前には血だらけの彼女が倒れていた

ユメ

………

ハル

ユメ…?

近づいて抱き寄せ声をかけても彼女は一向に目を開けない

ハル

ユメ…

ハル

…どうしたの、ねぇ

ハル

今から海行くんだよ

ハル

ねぇ

血だらけの彼女を抱きながら私は何か壊れたかのように声をかけ続けていた

あの日から数年経って私は26歳になってた

もう何年も番になってないし、好きな人も現れない

抑制剤もずっと飲んでるから何も感じない

はずだった

リオ

…っぐす…

この泣いてる女性は毎度男性に振られてはここに来る常連さんだ

不思議なのはこの人からフェロモンを感じること

ハル

(薬は飲んでるのに…なんで…)

リオ

なんでこんないい女…

ハル

(自分で言う…?)

ハル

飲みすぎじゃないですか、リオさん

リオ

うう……

リオ

ハルくぅぅん…

ハル

…女なんすけど…

リオ

うぅ…

リオ

いつもいつも…

リオ

うわぁぁぁん…!

ハル

ちょ…

もう時間も遅く他のお客さんも居ないから良かったけど、この後この人はちゃんと帰れるのか…?

リオ

ぅ……

ハル

え、あ、…ちょ…

そうこうしているうちにリオさんは眠りについてしまった

ハル

あーもう…

ハル

本当にこの人は…

仕方ないからお店を閉めて片付けを始めた

1時間後

片付けが全て終わってリオさんはとりあえずお店の2階が自宅なので連れていくことにした

ハル

リオさーん

ハル

すみません、触りますよ

リオ

ん〜

グッと抱き上げて自室まで連れていった

ベッドに寝かせるとリオさんはうっすらと目を開けた

ハル

大丈夫ですか?

リオ

………

リオ

ハルくん…

ハル

…はい…?

リオさんは私の首に腕を回すとチュッとキスをした

ハル

…?!

リオ

ん……

唇を離すとリオさんは一言だけ言い放った

リオ

…抱いて…?

ハル

な…っ…

困惑していると、その時に気づいたこの部屋の異変に

ハル

(フェロモン…っ…?!)

部屋中に充満する誘発フェロモン

ハル

(嘘だ…抑制剤飲んだはず…おかしい…)

リオ

はぁ…っ…

リオさんの呼吸は段々と早くなり、聞くまでもなくヒートを起こしていた

ハル

っ……

久々に感じたΩの甘いフェロモン

そこからの記憶はあまり無い

覚えているのはリオさんの掠れた声だけ

ハル

東堂 波瑠(ハル)
α‬
168cm
26歳
数年前に大切な番が亡くなってから恋愛感情が芽生えていない
リオの事がなんとなく放っておけなくて結局面倒を見てしまう
BARの店主

リオ

天井 莉央(リオ)
Ω
158cm
21歳
男の家を転々としているため住所が定まっていない
実家とは縁を切ってる
依存しやすい体質

過去の人と上書きしてもいいですか

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