俺が三ツ谷にこの想いを伝えられない 1番の理由

それは....

パシャパシャ

カシャッ

口から出る『のぞみ』の名はきっと 三ツ谷が想いを寄せている人

綺麗な景色を見ては写真を撮って、彼女の名前を出す

やっぱり女子を好きになるよな

いや、それが普通か...

俺がかなう訳ない

俺はその『のぞみ』って子に会ったことは無いが

三ツ谷が好きになるような奴だ きっとさぞかし素敵な性格をしているんだろう

それなのに、少し....

ほんの少し、期待をしてしまっている自分がいる

無理なことはわかってるのに

これ以上は苦しいだけなのに....

彼女の名前を口に出しては 嬉しそうに微笑むお前の顔が見たくなくて

一刻も早くその場から離れたくて、 「知り合いから連絡が来た」と嘘をついた

バイクに跨り、あいつから目を背ける

この行動、不思議に思われたかもしれない

でもそれでいい

俺はめんどくさい性格をしてるから、自分のことを見て欲しいけど見て欲しくないという時がある

今がまさにその時

何かに気を向けて逸らしたい

エンジンをつけて何も言わずに走り出す

あいつがついてこないことはわかってた

それすらも.....

苦しくて仕方ない

気分が晴れない

胸が痛い

今夜は家に帰らないことにしよう

俺のこの穴を塞げる何かを探すために

これはちょっとした....俺の旅だ