じゃぱぱ
気が付いた時には またベッドの上に居た。
昨日と同じ夢? いや、何処からが夢?
昨日と一昨日と 全部丸々一つの夢だったのか?
そこで俺は昨日の事を思い出し ゆあんくんからメッセージが 来ていないか確認した。
「朝お前のこと迎えに行く。 俺が来るまで待ってろ。」
じゃぱぱ
曜日を確認した。
「金曜日」
じゃぱぱ
何が何だか分からなかった。
寝ても覚めても素知らぬ顔で 金曜日が俺を出迎える。
ゆあんくんからの嬉しいメッセージも 3日連続となるとどこか不気味だ。
それにトーク履歴を見ても それは一度しか送信されていない。
俺は金曜日を繰り返している のだろうか。
ゆあんくんが死ぬ金曜日を 何度もこの先も繰り返すのだろうか。
でもこれがただの夢 でないことは分かる。
こんなのどう考えても やはりおかしかった。
理屈で説明出来ない事。 そう超常現象と呼ばれるものを 俺は信じたことはない。
信じていないというより 信じたくなかった。
誰も説明出来ない 誰も対処法を知らない 誰も確かな事は分からない。
そんな不確かな お化けやら魔法やら妖怪やらを 信じるのが怖かったのかもしれない。
でも今なら信じれる。
それよりも怖いものを 俺は知ったから。
時間がループしている。
ゆあんくんが死ぬ事で終わる一日は その日の朝へと戻る。
この超常現象のトリガー つまりきっかけとなるのは ゆあんくんなのだろうか。
こんな非現実的な事を真剣に考え出す くらいには俺の気は狂っていた。
親友が目の前で2日連続電車に轢かれ 死んでいるんだ。
これくらいの事を考えるしかない。
じゃぱぱ
ゆあん
じゃぱぱ
今回は何が何でもゆあんくんを 死なせてはいけない。
俺はゆあんくんの感情の変化を 一つも見逃すまいと授業中も休み時間もゆあんくんから目を離さない。
そうしていると自然と ゆあんくんの顔を眺める時間は 長くなり当たり前だが ゆあんくんに気付かれる。
ゆあん
じゃぱぱ
ゆあん
じゃぱぱ
じゃぱぱ
ゆあんくんの顔ばかり伺うから 気が付かなかったが髪が跳ねている。
何かの拍子でこうなったのだろうが 何時からだろう。
なんて事を考えながら 俺はゆあんくんの髪を直した。
ゆあん
何故かゆあんくんは少しむすっとした。
目が随分と泳いでいる。
何か怒っているのか?
ループしているという事は やはり金曜日は毎回少し不機嫌 なのだろうか。 でも前回はそんな事無かったし…
考えても考えても 疑問ばかりが募る。
部活に向かう最中、俺は考えた。
俺が今直面している状況について。 隣を歩く、ゆあんくんについて。
じゃぱぱ
ゆあん
じゃぱぱ
俺の隣を歩くゆあんくんの顔なんか 見ずに誰も居ない廊下を見ながら 溜め息を吐くようにそう言った。
不謹慎だが目の前で ゆあんくんが死んで何も考えられずに ただ叫ぶ事しか出来なかった俺は なんて無責任で薄情なんだろうって 何度も思った。
夢と信じて疑わなかった 一番初めだって俺はゆあんくんの為に 何も出来なかったんだと 嫌悪感に襲われた。
失って始めてその人の大切さに 気が付くとよく言うが俺もそんな 馬鹿野郎だったとは。
俺には気が付いてから やり直すチャンスが与えられている。
ゆあんくん、お前は良い奴だ。
大好きだ。
こんな最高な友達失ってはいけない。
ゆあん
あれまた少し怒っているかもしれない。
せっかく感謝を伝えたいのに 俺はどうも上手くいかない。
上手くいかない事ばかりで 目の前のこの長い廊下が 永遠に続くようにも思えた。
コメント
3件
ふええ…最高です…!!
お久しぶりです!!開いていない間にこんな素敵な作品が作り上げられていたとは...驚きました。あゆさんの作品すごく好きなのでまた新しい作品が見れて嬉しいです...!!もうここまででも面白いのでほんとに...さすがです。新しいお話を楽しみにしてます!🥳