化野明衡
雪衡は 疲れきった表情で
化野雪衡
化野雪衡
そう、告げた
化野明衡
化野雪衡
遮られた制止の言葉は 冷えきった自室の空気に溶ける
化野雪衡
自嘲気味に微笑みながら 諦めを含んだ声で
雪は小さく しかし確かにハッキリと
僕を言葉で貫いた
化野明衡
化野雪衡
化野雪衡
化野明衡
化野雪衡
化野明衡
化野明衡
化野雪衡
化野雪衡
化野明衡
化野雪衡
化野雪衡
化野雪衡
化野明衡
化野雪衡
抑えきれないこの衝動は 怒りか、それとも
化野明衡
化野雪衡
振り返った雪衡の 羽織の襟元を
力任せに掴んだ
化野雪衡
化野雪衡
化野明衡
化野明衡
化野雪衡
化野明衡
化野明衡
化野雪衡
化野明衡
化野明衡
化野明衡
化野雪衡
化野雪衡
化野雪衡
化野雪衡
その言葉が
“諦め” のように 聞こえてしまった
化野明衡
思わず掴む手に力を込める
雪衡は痛そうな顔をした
僕がこれまで 感じてきた劣等感
周りからの 期待と重圧
そんなものから 逃げられない中で
僕がどんなに 苦しんできたか
それすら知らず
勝手に放棄するな
僕に どうしろと言うんだ
次期当主は 雪の方が良いと
言い続ける人の中で
次期当主なんだから 頑張れと
こちらの気も知らず 声をかける父親のいる家で
僕にこれから
どう過ごせと?
化野雪衡
化野明衡
冷静を欠きすぎたと 反省しながら
無言で手を離す
だらりと下がった己の腕は
まるで自分のものだと 思えなくて
化野明衡
化野雪衡
化野明衡
化野明衡
化野雪衡
化野明衡
化野明衡
化野雪衡
前よりも痩せた その背中に
もう言葉も掛けられず
静かに襖を閉めて 雪が出ていくのを見送る
自分の中のナニかが 崩壊するような
そんな気がした
雪衡が去ったことに 不満の声を持つ人は多かった
けど
僕が化野家の中で1番の 実力者になったのも事実だった
その代わり
僕の元に 雪衡がこなしていた仕事が
流れ込んできて
更に心が凍っていく日々
雪衡が笑わなくなった理由を 理解出来た気がした
雪衡が妖専門の 薬師になったということを
聞いたのは
妖
偶然にも 討伐の時だった
化野明衡
妖
妖
化野明衡
妖
妖
化野明衡
化野明衡
詰めよれば 妖は震え、後退る
妖
化野明衡
妖
化野明衡
妖
化野明衡
妖
化野明衡
妖
内側から滾るこれは なんなのだろうか
怒りか、嫉妬か
ともかくカッとなる 熱を持った何かが
己を突き動かした
抜刀し
ただ、斬った
妖
お前らが、いるから
生暖かい何かが 頬を濡らす
普段の“仕事”では 決してしないような
ドスッという音が 鼓膜を揺らした
化野明衡
化野明衡
化野明衡
息絶えたソレの横で 空を見上げる
ひたすら
憎い程に
綺麗だった
【第20話 崩壊】
続く
コメント
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おはようございます! 明衡編②です! “馴染んでしまった”明衡と “馴染めなかった”雪衡。 “才能のあった”雪衡と “才能がなかった”明衡。 自分で書いてて酷な設定だなって思ってます…ごめんよ明衡 次回はまたストーリー軸が現在に戻る…予定です 次回もよろしくお願いします!