テラーノベル
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首元に、ぎりぎりと 力が込められる。
意識が、遠のいていく。
ちょーじのあの細腕のどこから こんな力が出てくるのかな。
鬼気迫る表情のちょーじを前に オレは自分でも不思議なくらいに 冷静だった。
でも、やっぱり どうしてこうなっているのか 全く分からない。
…本当に?
ちょーじが変わった理由が、 本当に分からない?
あぁでも、今はそんなこと、 考えられないや。
思考から逃げるように、 ぎゅっと目を閉じた。
生暖かい水滴が頬を伝う。
言葉も嗚咽も、出なかった。
その夜が明け、次の日。
初めて仲間の『皮』を剥いだ。
間違いを貫くと決めた。
想いはもう、粉々だ。
兎耳山 丁子
毎日のように誘われた。
兎耳山 丁子
誘う…というよりも 呼び出しに近かったけど。
その時、ちょーじは決まって オレの髪を少し引っ張る。
その度、オレは 自分が縛られている感覚を 何度もなぞる。
十亀 条
いつだったか有馬に 教わった三つ編みを、 毎日する日がくるなんてね。
まだ慣れない手つきで、 義務感のようなものに苛まれ いつも編んでいる。
自分自身を縛りつけるように、 ちょーじの隣から離れないように。
そんな義務感。
十亀 条
十亀 条
ここ最近、笑うのが 下手くそになった気がする。
兎耳山 丁子
十亀 条
着ていた作務衣の紐を解いて、 返事をする。
振り向いて、ちょーじと向き合う。
十亀 条
兎耳山 丁子
十亀 条
十亀 条
兎耳山 丁子
向き合っているのに、
十亀 条
十亀 条
兎耳山 丁子
兎耳山 丁子
どうして、目が合わないんだろう。
どうして、すれ違うんだろう。
亀ちゃんの体の傷痕を、 ゆっくりと撫でる。
全部、オレが 亀ちゃんにつけたもの。
撫でていると、亀ちゃんの 存在を感じることができる。
この関係に、満足できる。
兎耳山 丁子
オレ、これでいいと思うんだ。
だから、亀ちゃんもきっと そうだよって言ってくれるよね?
十亀 条
ねぇ、どうして、
そんなに苦しそうなの??
十亀 条
言葉でなんか、きっと伝わらない。
だから、体で伝える。
十亀 条
重ねた唇に、歯を立てた。
十亀 条
兎耳山 丁子
滴る血を、指で拭った。
亀ちゃんは、 きっと分かってくれる。
第11話・手探りとペザンテ Fin
描写に悩んでいたら こんなに時が過ぎてていた。
次回の更新も 気長〜〜〜にお待ちください🙇
コメント
3件
しーちゃんの物語久しぶりに見た、めっちゃ嬉しい(#^.^#)