僕は髪を染めてもらってから すぐに美容院を出て家へ向かった。 りささんはまだ仕事中だろうか。 もう家に帰ってても おかしくない時間だけど... りささんに、 どうしても今すぐ確認したいことがある。 りとらくんが言ってた。 りささんは 好きな子に振り向いてもらうために 髪を切ったんだって。 りささんの好きな人ってだれ? いつから好きな人なんていたの? 職場に好きな人でもできたの? それとも_______
ころん
りさ
扉を開けると、 わざわざ奥からりささんが 迎えに来てくれて、 僕の頭を撫でる。 そのりささんの手が、優しくて温かくて。
ころん
僕じゃない誰かにもそうやって 優しくするんだと思うと、 泣きそうになって目線を下にずらした。 りささんにされるがまま頭を撫でられて 何も言わない僕の顔を、 りささんが心配そうに 覗き込んできた。
りさ
ころん
りさ
突然すぎる質問に りささんは目を丸くした。
りさ
りささんは、僕から目を反らして しどろもどろに説明する。 ...なに、その反応。 なんでそんな焦ってんの。 まるで大事なことは隠してるみたいな。
ころん
ころん
ころん
僕はりささんの弟ポジ。 りささんにとって 僕が恋愛対象外なことなんて、 ずっと前から知ってた。 それでもりささんが好きで。 ...僕はどうしてもりささんに 好きな人がいるなんて信じたくなくて。
りさ
僕はりささんの手を振り払って 外へ飛び出した。
後ろからりささんが僕に何か言っているけど ...何も聞きたくない。 僕は行き先も決めずに全力で走った。 僕がりささんに拾われてなかったら、 僕が弟ポジじゃなかったら、 僕はきっと りささんの"好きな人"になれてたのに。 僕は初めてりささんに拾われたことを 後悔してしまった。 ...こんな醜いやつだったんだね、僕。
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すごっ!?