コメント
1件
めっちゃ面白い!!
エイ
もう1年以上も前になるだろうか
両親が行方不明になった
理由はわからない
ある日仕事に出かけた2人は それ以来帰って来なかった
そのとき僕はわずか12の歳で 1人で生きることを強要された
エイ
エイ
エイ
金になるものは全部売った
子供相手だからと明らかに低い値段だったが
おかげでしばらくは食い繋げることができた
町を転々として
物乞いや雑用をして お金を稼いだ
エイ
乾いた葉を集め、木の下に横になる
今晩は雨が降りそうだ
明日、まだ生きていたなら 仕事を探そう
エイ
エイ
エイ
そんな生活に、もう疲れていた
エイ
エイ
空気は湿っていた
頬に当たる冷たい風に身震いをする
エイ
曇り空だったが淡く日がさし、辺りは明るかった
案の定、夜には雨が降っていたようで服も軽く濡れている
男
エイ
男
エイ
エイ
男
男
男
エイ
エイ
エイ
エイ
エイ
エイ
男
男
男
エイ
逃げるようにその場を去る
町中の整備された道を、ただ宛もなく歩く
エイ
エイ
道を歩くと道端の家からパンや朝食の香ばしい匂いが漂ってくる
お腹が鳴った
エイ
エイ
エイ
エイ
勇気を出して寝ていた場所に戻ってきた
地面を探って銅貨を探す
エイ
男
男
男
エイ
男
男
エイ
エイ
男
男は訝しむような顔をする
男
男
男
エイ
男
行く宛てもない......
帰る場所もない
道端に座る
ふと前を向く
通りすがりのおばあさんが こちらを見ていた
罪人になったような気分になり、顔を伏せる
陽はいつの間にかてっぺんまで登り、そして時が過ぎ
空は赤く染まっていた
エイ
エイ
エイ
エイ
独り言で会話するなんて......
エイ
男
唐突に横から聞こえた声に ビクリと体が反応した
男
男
手のひらに硬貨が乗せられる
エイ
男
エイ
声をかけた時には男はとっくにいなくなっており
かすれた声は、宙に漂って消えた
エイ
エイ
エイ
なんでだろう
なぜか、惨めな気分になった
銅貨3枚なんてはした金だ それをもらって、喜んで......
そんな生き方で......
僕は一生をこのように 生きるのだろうか
全てを終わらせたかった
そう思っていた
こんなに惨めに誰かに寄生して生き続けるくらいなら
タヒんで全部忘れた方が楽なんじゃないか
エイ
終わらせようか..... 金なんてなくてもタヒぬのは簡単だ
エイ
エイ
エイ
エイ
エイ
エイ
仮面の人間
仮面の人間
顔をあげると目の前に人が立っている
エイ
夕日のせいで体はシルエットしか見えない
顔には狐の仮面を被っており
性別を判定できない 中性的な声をしていた
服装はしっかりとしたもので
お金に余裕のある人だとひと目でわかる
仮面の人間
エイ
全てがどうでもよかった
今の僕は自虐的な笑みを浮かべているのだろう
仮面の人間
反応に困るだろうと予想して 言ったのだが
仮面の裏から聞こえた声は 意外なものだった
仮面の人間
エイ
エイ
仮面の人間
エイ
どうにかして困らせてみたかった
困惑するだろうと放った言葉は
またもや検討はずれな言葉で 返された
仮面の人間
仮面の人間
仮面の人間
エイ
エイ
仮面の人間
エイ
エイ
仮面の人間
仮面の人間
仮面の人は嬉しそうに話を聞いていたかと思えば
おかしな声をあげ始めた
仮面の目のくぼみに指を入れて顔を覆う仕草をしたかと思えば
仮面の奥からこちらをじとりと眺めてくる
狂っている
それが第一印象だった
仮面の人間
仮面の人はそう言った
エイ
風が吹く
爽やかで、それでいて心地よい
人を惹き付けるような声
仮面の人間
仮面の人間
その日が僕の エイの命日だった
にゃんと登場
にゃんと登場
にゃんと登場
にゃんと登場
にゃんと登場
にゃんと登場
にゃんと登場
にゃんと登場