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昨日の土砂降りは嘘のように止みチラチラと白い星をのぞかせていた。 雨の後の星はなぜこんなに輝いて見えるのか、雨上がりの星を見るだけで嫌になってカーテンを閉めて一人黙々と本を読んでいるはずだった。 いつもなら。
いつもは鬱陶しかった小さな無数の光に以前ほどまでの嫌悪感を抱かなくなっていた。 土砂降りでも来たのなら、今日はきっと来るのだろう。 ぼんやりと窓を見つめながらそんなことを考える。 届かない星に手を伸ばしてみようかとしたが思い直す。 優しく包むような柔らかい暖かな春の風が吹いたからだ。 きっと活発な声が聞こえるのだろう。
死神
死神
死神
死神
開口一番何を言うかと思えば、手をつかまれる。
零
零
死神
死神
零
そのまま腕をグイグイと引っ張られ気づいた時には…
空を飛んでいた。
零
死神
零
零
死神
死神
零
死神
死神
ふと、自分がどのくらいの高さにいるのだろうと思い、何気なく下を見下ろす。 直後、見なければよかったと後悔した。 自分が元居た場所から遠く離れた街のぽつぽつとついている小さな小さな明かりが綺麗だったから。あんまり小さくて、単純に 怖い そう感じてしまったからだ。
死神
そういってアイツは自分の手をつかむ力を少し強くした。 その手は暖かくて強かった。
そうこうしているうちに、少し開けていて人気のない池に着いた。 池に何があるのか、よくわからなかったが帰る手段はアイツと空を飛ぶ以外にないだろうから黙って池の付近に降りる。
死神
死神
零
死神
言われた通り顔を上げてみると、信じがたい光景が広がっていた。
月が
目の前にあった
月の周りの水が黄金に輝いていた。
ありえない。 どれだけ月が大きく見えようと、池にここまで近づくことは無いはずだ。 増してや、山奥の池だ。 そもそも月が落ちてくるスペースなんてない。 これは目の錯覚だ。頭ではそう分かっているのに、そう思えなかった。
目の錯覚だとしてもこんなに近くに大きく映るわけがなかった。 海であるならまだわかるが、ここは池なのだ。 悶々と考えを巡らせていると声をかけられた。
死神
死神
死神
死神
死神
死神
死神
いつものアイツからは想像しがたい落ち着いていてゆったりとした声 横を見ると、目の前の月を恋焦がれるような雰囲気で見つめていた。
その雰囲気を感じて、何も言えずに黙って月を見た。 月が遠ざかり、空に戻るまで。ずっと。
月が昇って行った後アイツの方に目をやると、アイツは少し名残惜しそうに月を見上げていたが、こちらに向き喋りかけてくる
死神
死神
いつもの元気な声で喋りかけてきたことに動揺して曖昧な返事になる
零
死神
死神
死神
嫌がっていた、といわれ一瞬何のことかわからなかったが、最初に待ってくれと言っていたのを思い出す。
零
零
零
口に出してから気が付く。 前まではジャージでも、最低限のことができていれば人目は気にしていなかったはずだ。 そんな自分がそれなりの恰好? いつものように馬鹿馬鹿しいと切り捨てることはできなかった。
死神
零
死神
死神
零
零
死神
死神
零
死神
死神
死神
死神
また、腕をつかまれる。 来た時同様しっかりと。
空を飛んでいるときに見た月は、小さく見えた。
死神
死神
零
ヤツがいなくなって、時計の秒針だけが響く室内でベットに横になる。
今日は月が落ちてくるのを見た。 信じられなかったがすごく美しくはあった。 アイツにあってからというもの自分が今まで思いつかなかったような、したこともないようなことを体験している。
明日は何を…
待てよ? 明日?
そういえば今日はおかしい気がする。 今日の星空も、いつもならカーテンを閉めて人工的な光の下黙々と本を読んでいたのに、カーテンも閉めず星空を見ていた。 高所での恐怖心も、そうだ。 今までなら喜んで手を放して落下していただろう。 だが、それをしなかった。 月が美しく感じたのも、人の目を気にして恰好を整えようと思ったのも、明日のことを考えたのも、全部全部前なら考えもしないし感じてもいなかった。
なんで…
いや、分かっている 何でこんなことを考えたのか。 きっと分かっている。 ただ、それを認めたくない。 今までの自分が馬鹿らしくなる。 それが、嫌だった。
零
口をついて言葉が出てくる そうしてしまったことで自分の体になじんでくる。 もう、取り消せなかった。
生きたいのだ。 もっとたくさんのことをしたいし、見てみたい。 これで、いいんだろうか
こんな自分が生きたいと願ってもいいのだろうか
願ってもいい、という自分と願っていいわけがないそんな権利はお前にないという自分がいる。 どうしたいかなんて、認めたくない。
堂々巡りで結論に行きつかない…フリをする。
ここまでわかって受け入れないのだから大したものだ。
もう、良いだろう。
生きたい。 それでいいじゃないか。 自分を騙し騙し生きてずっと殻にこもるのより、きっとずっと楽だ。
これはきっと、アイツのせいだ。
おかげ、の方が正しいのか、せいの方が正しいのかもう、考える気力はなかった。 瞼が、重い。
続きは明日考えればいいだろう。 その時はアイツも交えたりするんだろうか?
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