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放課後の体育館。
ボールの音が響く中、天華はいつも通りベンチに座っていた。
鉄朗
天華
にこり、と柔らかく笑って手渡す。
誰が見ても”いいマネージャー”。
ーー昨日、人を殺した手であること以外は。
夜の路地裏。
逃げる足音。
震える声。
モブ子
天華
そう言いながら、躊躇なく刃を振るった。
ただ、それだけ。
研磨
天華
研磨
研磨はゲーム機をいじりながら、ちらりと彼女を見る。
研磨
天華
研磨
一瞬、空気が止まる。
でも天華は、くすっと笑った。
天華
ーー嘘は、完璧だった。
そのはずだった。
研磨
研磨の指が止まる。
画面はゲームオーバーのまま動かない。
研磨
一瞬、空気が固まる。
天華
天華はすぐに笑う。
柔らかくていつも通りの声。
研磨
研磨はそれ以外言わない。
ーーその時。
鉄朗
軽く笑いながら入ってくる声。
研磨
研磨
黒尾は呆れたように肩をすくめる。
鉄朗
研磨
鉄朗
あっさり否定する黒尾。
研磨の言葉を、冗談として処理する。
鉄朗
研磨
研磨は否定しない。
ただ、画面を見つめたままぽつりと言う。
研磨
鉄朗
即答だった。
迷いも疑いもない。
鉄朗
話を振られる。
天華は一瞬だけ間を置いて──
天華
にこり、と笑う。
鉄朗
黒尾は満足そうに笑う。
鉄朗
それで終わり。
完全に、終わった話になる。
天華は思う。
この人は疑わない。
違和感があっても、
それを”現実じゃない”って切り捨てる。
楽でいいなぁ。
黒尾鉄朗は、安心できる側の人間だ。
だからこそ。
壊れた時が、面白そう。
ふと、そんなことを思ってしまう。
鉄朗
天華
いつも通り渡す。
指先が触れる。
その一瞬だけ、
鉄朗
何も知らない顔で笑う黒尾。
ホントに?
心の中でだけ、呟く。
その日の夜。
暗い路地。
鈍い音が響いて、すぐに消える。
天華
静かに立ち上がる。
スマホが震える。
画面を見ると、
”黒尾鉄朗”
『明日早いから遅れんなよー』
短いメッセージ。
天華
小さく笑う。
血のついた手で、そのまま返事を打つ。
『大丈夫です、おやすみなさい』
送信。
既読がすぐにつく。
この人は
最後まで気づかないかもね
それでもいいし、
気づいてもいい。
どっちでもいい。
天華
くすっと笑って、
また一歩、闇に進む。
翡翠 天華 (ヒスイ テンカ 高2
「赤い糸は静かに絡む」 ~𝐄𝐍𝐃~