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夜の空気は、異様に静かだった。 道枝は車を降り、目の前の建物を見上げる。
道枝駿佑
使われなくなった施設。 灯りはなく、窓も黒い。
位置情報は、もう消えている。
道枝駿佑
名前を呼んでも、返事はない。 胸の奥で、嫌な音がした。
同じ頃。
足首に、冷たい感触。 動こうとして、初めて気づく。
長尾謙杜
力も、自由がきかない。 力を入れようとすると、体が言うことを聞かない
長尾謙杜
視界の端で、人影が動く
真犯人
長尾謙杜
真犯人
声はどこか歪んでいた。
真犯人
長尾は、答えない
真犯人
淡々とした声。 そこに、感情はなかった。
長尾謙杜
頭に浮かぶのは、それだけ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【道枝視点】
外。
道枝は、重い扉に手をかけた。
道枝駿佑
力を込める。 きしむ音がして、扉が少しだけ開く。
中から微かな匂い。 そして、音がしない
道枝駿佑
最悪の映像が、頭をよぎる)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
中。
時間の感覚が、曖昧になる。 視界が、ゆっくりと暗くなっていく。
長尾謙杜
体が重い。 意識が、遠い。
長尾謙杜
それでも、不思議と怖くなかった
長尾謙杜
疑われたままでいい。 それで、守られるなら
その瞬間。 扉が、激しく開いた。
道枝駿佑
声が、響く。
真犯人
次の瞬間。 短い音。 そして、人物が崩れ落ちる。
道枝は、まっすぐ長尾の元へ駆け寄った。
道枝駿佑
長尾は、動かない。 目も、閉じたまま。
道枝駿佑
返事がない。
道枝駿佑
拘束を外し、震える手で触れる。
冷たい。
道枝駿佑
喉が、詰まる
生きてるかどうか、分からない時間。 それが、こんなにも長いなんて。
道枝駿佑
疑ったから。 仕事を優先しようとしたから。
道枝は、歯を食いしばった。
道枝駿佑
警察として超えては行けない線。 それでも。
道枝駿佑
小さく、決意する
しばらくして。 長尾の指が、かすかに動いた
道枝駿佑
長尾謙杜
掠れた声
道枝駿佑
道枝は、強く握り返す。
道枝駿佑
夜明け前。 遠くで、サイレンの音が聞こえた。
助かった。 でも――
何もかもが、元には戻らない
疑いは残り、 一線は、確かに越えられた。
それでも。
道枝は、長尾の手を離さなかった。
#6 終