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愛凪(えな)

3人兄弟だったんですね

佐野 万次郎

あぁ

愛凪(えな)

佐野さんは、何番目だったんですか?

佐野 万次郎

兄、俺、妹

佐野 万次郎

俺は2番目

愛凪(えな)

なるほど…

橘 直人

1週間で質問には答えてくれるようになりましたね

山本

聞かれたのをそのまま返すだけですけどね

山本

もっと深く教えてくれないと物語にならないのに

愛凪(えな)

ちょっと、せっかく佐野さんが貴重なお時間を割いてくださってるのに

山本

ちぇー

橘 直人

それじゃ、僕は仕事にいってきますね

橘 直人

今日は帰ってこれないと思うので戸締りは大丈夫ですが、お気を付けて

愛凪(えな)

分かりました

愛凪(えな)

山本さんも、こんなところで時間を潰してないで溜まってる資料ありますよね?

山本

でも、先生の仕事見てたい…

愛凪(えな)

いいから、自分の仕事をしてください!

山本

えー…

橘 直人

ほら、行きますよ

パタンッ🚪

佐野 万次郎

愛凪、こないだの話の続き聞く?

愛凪(えな)

え、いいんですか?

佐野 万次郎

愛凪(えな)

あ……じゃなくて、いいの?

佐野 万次郎

うん笑

佐野さんが死ぬまで残り1週間

佐野さんは相変わらず2人の時以外 無愛想で、中々話してくれないけど

でも、私達は順調に仲を深めていった

愛凪(えな)

(もうすぐ死ぬ人…それも殺人と仲を深めるなんて歪だけど)

そう、これはあくまで仕事。

佐野 万次郎

それでさ、ケンちんってやつがさ笑

愛凪(えな)

え、ドラケンさんってしっかりしてそうなのに脳筋…笑

佐野さんと関わって1週間で たくさんのことが分かってきた。

彼は元々暴走族で、でも優しくて 家族を仲間をとても大切にする

とてもあたたかい人間。

愛凪(えな)

(なんでそんな人が殺人なんかに手を染めたんだろう…)

佐野 万次郎

でさ、その時パーが笑

痩せこけていて、折れそうになる 細くて小さな身体

だけど、その優しい憂いを含んだ 笑顔は

きっとあの頃の、太陽のような 貴方を思い出させるかのようだった。

ブーッ、ブーッ

愛凪(えな)

あれ…誰だろ

愛凪(えな)

もしもし?

もしもし、先生!

愛凪(えな)

山本さん、どうしたんですか?

それが…資料を会社に忘れてたらしく

愛凪(えな)

あー…

すみません!明日の早朝に帰ります

愛凪(えな)

そんな急がなくても…

先生に会いたいので!

それでは、じゃ!

愛凪(えな)

(切れた…)

愛凪(えな)

(…あれ、ていうことは?)

佐野 万次郎

どうかした?

愛凪(えな)

あ…ううん

愛凪(えな)

その山本さん…私の担当の人が会社に戻るから今日はいないって

佐野 万次郎

ふーん

愛凪(えな)

それじゃ、私今日は橘さんもいないし夜ご飯ここで食べちゃうね

愛凪(えな)

ホテル行ってくるからちょっとまってて

佐野 万次郎

あぁ

ガチャ…

愛凪(えな)

……

佐野 万次郎

どうかしたか?

愛凪(えな)

…万次郎

愛凪(えな)

鍵、山本さんがもってる…

愛凪(えな)

私、今日ずっとここから出れない

愛凪(えな)

ど、どうしよ……

佐野 万次郎

ま、いいんじゃね?

愛凪(えな)

よくないですよ!

愛凪(えな)

(あぁ……どうしよ…あの馬鹿!)

(風が吹く)

愛凪(えな)

寒っ…

佐野 万次郎

もう暗くなってきたな

佐野 万次郎

これ、夜ご飯…普通のと比べて美味しくないと思うけど

佐野 万次郎

多分まだあったかいと思う

愛凪(えな)

そんな…悪いよ

佐野 万次郎

俺、お腹すいてないし、昼ご飯残してるからそっち食えるし

佐野 万次郎

…てゆうかこの檻から渡せるのパンしかねぇな笑

佐野 万次郎

愛凪(えな)

ありがと…

愛凪(えな)

(雑穀米で作ったパンかな?)

愛凪(えな)

いただきます…

愛凪(えな)

(固っ…)

愛凪(えな)

(佐野さんはいつも、こんな暗いところでこんなものを…)

愛凪(えな)

……ごめんなさい

佐野 万次郎

え?

愛凪(えな)

…私、佐野さんのこと何も分かってなかった

愛凪(えな)

ここは寒くて……暗くて…寂しい

愛凪(えな)

それをずっと……

ポタッ

愛凪(えな)

…ごめんなさい

佐野 万次郎

……

佐野 万次郎

愛凪(えな)

佐野 万次郎

手、握って

愛凪(えな)

え?

佐野 万次郎

愛凪の手なら細いし、檻の中に入るだろ?

愛凪(えな)

ん、入るけど…

ギュッ

愛凪(えな)

(細いのに…ちゃんとがっちりしてる)

愛凪(えな)

(それと…あったかい)

佐野 万次郎

…俺な、兄貴がいたんだ

愛凪(えな)

佐野 万次郎

信じてくれるか?

佐野 万次郎

俺が人を殺した理由

愛凪(えな)

……うん

佐野 万次郎

…それで、"黒い衝動"っていうのかな、

佐野 万次郎

人を傷つけないと気が済まない

佐野 万次郎

だから俺は……

愛凪(えな)

佐野 万次郎

……ってなんでそんなに泣いてるんだよ

愛凪(えな)

だって…

橘さん、山本さんに

あれだけの綺麗事を言っといて 実は心の中で少し思ってたんだ

この人は悪い事をしたから 死んでも仕方がないって

でも…そうじゃない。

佐野さんは、万次郎は

その優しさから…責任感から

人を傷つけないといけなかったんだ。

愛凪(えな)

(仲間のために…家族のために)

佐野 万次郎

…笑

佐野 万次郎

話、聞いてくれてありがとうな

愛凪(えな)

ううん、聞かせてくれてありがとう

佐野 万次郎

…ここ、寂しくて人気もないとこだけどさ

佐野 万次郎

ここから見る星、すげぇ綺麗なんだ

愛凪(えな)

え…窓があるの?

佐野 万次郎

あぁ、天井がガラスになってるんだ

愛凪(えな)

覗けるかな…

愛凪(えな)

わ……ほんとだ綺麗

佐野 万次郎

今日は満月だな

佐野 万次郎

月も綺麗だ…

愛凪(えな)

……

あぁ、誰が予想することが できたでしょう。

愛凪(えな)

…私、死んでもいいです。

佐野 万次郎

死刑囚と恋に堕ちるなんて

佐野 万次郎

…嬉しいけど俺、

愛凪(えな)

分かってます…!

愛凪(えな)

それでもいい

愛凪(えな)

…だから、残りの命尽きるまで、私の傍にいて?

佐野 万次郎

(マイキーが腕を引っ張る)

愛凪(えな)

ん…

唇と唇が重なる。

貴方の温もりを感じる。

ただ、それだけで

愛凪(えな)

(それだけで良かった…)

貴方と普通に巡り合えることが できたのなら

貴方とずっと一緒にいられたら

どんなによかったのだろうか。

愛凪(えな)

(でもそれはかなわないから…)

愛凪(えな)

万次郎…

佐野 万次郎

ん?

愛凪(えな)

逃げよう、2人で

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