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奔放主は今日も気まぐれ

第8話 - 第8話

307

2025年06月14日

#司類

#冬類

#彰類

#類愛され

#瑞類

あかまる🍓🐾໊

厨房

トン…トン…

彰人

(さて、こっちに野菜も混ぜ込んで…)

彰人

……

彰人

またサボりですか？類様。

類

？！

類

な、なんで分かったんだい？音も立ててなかったのに〜

彰人

そりゃあ分かりますよ。類様の気配くらいは。

類

驚かせようと思ったのになぁ

彰人

それより、サボりがバレたら冬弥様に叱られますよ。

類

撒いてきたから大丈夫♪

彰人

どうだか

彰人

ま、来るとは思ってたんで、間食も用意してあります。どうぞ。

類

わぁ〜！綺麗な和菓子だねぇ

類

ふふ、ありがとう。じゃあここで休憩させてもらおうかな。

彰人

どーぞ。

類

……ねぇ、彰人くん。

彰人

なんですか？

類

君も好きな人いるの？

彰人

ん〜……どうでしょう。

類

おや、煮え切らない返事だねぇ

彰人

まぁ、イマイチ好きかどうか分かってないんで。

彰人

"好き"かもしれない人ならいますよ。

類

へぇ！どんな人？

彰人

背が高くて、頭が良くて、だけど野菜嫌いな子供っぽい一面もある。

彰人

そんな奔放な主様……とかですかね。

類

…えっ？

類

えっと…冗談か何かかい？

彰人

さぁ、どうでしょうね。

類

うぅん…君、相変わらず掴みどころが無いねぇ

彰人

"Ich liebe dich"

類

ん？

彰人

母国語ですよ。

類

へぇ！なんて意味だったんだい？

彰人

貴方のことが大好きですよ、って意味です。

類

！

類

ふふっ。なんだか外国語で言われると、少しドキドキしてしまうねぇ

彰人

お、本当ですか？

類

うん♪ねぇ、僕にも教えてよ。さっきの言葉。

彰人

いいっすよ。「Ich liebe dich」です。

類

いっひ……りーべ、でぃっひ？

彰人

そうそう！合ってますよ。

類

ふふっ、彰人くん。僕も「いっひりーべでぃっひ」だよ♪

ガララッ

冬弥

あ、類様！またこんな所で……！

類

おや、もう見付かってしまったか。

彰人

あ、冬弥様。お茶いかがですか？

冬弥

ありがたいですが、俺は先に仕事を…

類

まぁまぁ。一緒に休憩しようよ。

冬弥

ですが…

彰人

休憩も大事ですよ〜

冬弥

……では、少しだけ。

彰人

はい！今淹れますね〜

冬弥

ありがとうございます。

類

……

彰人

類様？どうかしました？

類

いや……

類

…冬弥くん、耳貸して。

冬弥

はい？

類

〜〜…

冬弥

……だから、違いますってば。何回も言わせないで下さいよ。

類

え〜？違うの？お似合いだと思うんだけどなぁ

冬弥

彰人さんにも迷惑でしょう。

彰人

？

冬弥

先日から、類様が俺の想い人は彰人さんでは無いか…と、執拗く聞いて来るんです。

彰人

え？冬弥様の想い人？

彰人

…俺が？

冬弥

類様にはそう見えると。

彰人

……ふっ、ははっ！！有り得ね〜！

類

えぇ？！

彰人

は〜…何をどうしたらそうなるんですか？

類

だ、だって…仲良さそうだし、他人に厳しい冬弥くんが、彰人くんには甘いし…

彰人

う〜ん……ま、たしかにそうかも知れませんけど、

彰人

でも、冬弥様にもっと甘やかされてる人、いますよ。

類

えっ？！

冬弥

あ、彰人さん…！

類

彰人くん、冬弥くんの想い人が誰か知ってるの？！

彰人

知らないのは多分、類様くらいじゃ無いですかね〜

類

え、僕だけ？！

類

そ、そんなぁ！酷いよ、冬弥くん！僕だけ除け者かい？

冬弥

あ、貴方が鈍感なだけです！

類

えぇ？！

彰人

そうそう。冬弥様が気の毒なくらい鈍感ですよね〜

類

う…ちょっと待って！本気で考えるから！

冬弥

考えなくていいです！それより、そろそろ戻って仕事しますよ。

類

あ〜〜〜

彰人

(…まぁ、冬弥様って奥手そうだしな。類様には気付いてもらえなさそう。)

彰人

(いや……全部気付いた上で、わざと演技してるのか？)

彰人

(まぁ何でもいいけど。)

司

お前は好意を隠さないんだな。

彰人

類様には多分、ストレートに言わないと通じませんよ。

彰人

冬弥様と司様が奥手過ぎるんです。

司

…否定はせんな。

彰人

早くしないと取られちゃいますよ、なんて。

司

類を？ふっ、まずオレを倒すことだな。

彰人

怖〜

彰人

けど、正直俺はあの人とどうなりたいとは思ってませんよ。

彰人

俺は現状に満足してますし。

司

…欲が無いな。

彰人

へぇ？司さんは類様にどんな欲があるんですか？

司

どんな……

司

………………

彰人

司さん助平〜

司

んなっ？！違うわっ！！！

彰人

ははっ。けど、いいんですか？

司

？

彰人

類様から目を離して。あの人、いつ逃げ出すか分かりませんよ。

司

冬弥がいるから大丈夫だと思うが…

司

あぁ、仕込みをするから邪魔をするなと言うことか？

彰人

嫌だなぁ。別に邪魔者扱いしたわけじゃありませんよ。

司

邪魔をしてすまんな。あぁ、今晩もまた頼む。

彰人

は〜い。夜食用意しておきますね。

類

ん〜！終わった〜！

冬弥

お疲れ様です。

類

冬弥くんこそ、お疲れ様。

類

さて、ひと仕事終えたし…ちょっと散歩して来てもいい？

冬弥

……

類

夕飯までには帰るから！

冬弥

…仕事も終わりましたもんね。

冬弥

分かりました。ただし、夕飯までですよ。

類

おや、いいのかい？やった♪

類

じゃあ行ってくるね！

冬弥

はい。行ってらっしゃい。

街

類

♪〜

類

(何か面白いもの無いかなぁ)

店人

いらっしゃーい！新巻出てるよー！！

類

おや。

類

(ふむ、本屋か……ふふ、久しぶりに何か買ってみようかな。)

類

(えーっと、この本は……)

類

(おや、恋愛物か。)

類

(ふむ、なるほど。従者とその主人との禁断の恋を描いた…)

類

(へぇ……なんだか、この従者、司くんに似てるなぁ。)

類

(面白そうだし、折角だから買って帰ろう♪)

類

(あ、こっちの本の子は冬弥くんに似てる！)

類

(他には〜……あ、こっちは彰人くんかな？)

類

(ふふ、なんだか面白いねぇ。全部買って帰ろう♪)

司

買いすぎでは無いか？

類

あぁ、丁度良かった。半分持ってくれる？

司

全部寄越せ。

類

おや、いいのかい？

司

主に荷物を持たせる従者はおらん。

類

ふふ、ありがとう。

司

にしても、こんなに書物を買い込むのは珍しいな。

類

あぁ、面白そうなのがたくさんあってねぇ。気になったもの全部買ったんだ。

司

ほぅ…どんな本なんだ？

類

全部恋愛物だよ。

司

？！？！

司

な…お、お前が？！恋愛物の書物を？！

類

おや、そんなに驚くかい？

司

驚くに決まってるだろう！！

司

待て……お前、もしや想い人が……

類

いやぁ、そんなんじゃないよ。

類

ただ、内容が面白そうでねぇ。読み終わったら貸してあげようか？

司

………後で考える。

類

ふふ、そうかい。

『貴方が何処へ行っても、何に成っても、俺だけは貴方の傍を離れないと誓おう。』

類

(……この子、カッコイイねぇ)

類

(ふふ、これは主人の子が惚れるのも分かるな。)

類

(『俺だけは貴方の傍を離れない』…か。やっぱり、ちょっと司くんみたいな子だなぁ)

司

…随分と楽しそうだが、そんなに面白いのか？

類

あぁ。読んでみるかい？

類

この従者の子、司くんとちょっと似ててカッコイイんだよねぇ

司

？！

類

ふふ、物語としても面白いと思うよ。読み終わったからどうぞ。

司

あ、あぁ。後で読もう…

司

……なぁ、類。さっき「カッコイイ」って言ったか？

類

え？言ったよ？

司

それはオレがか？それとも、この書物に出てくる人物がか？

類

う〜ん、どっちも。ただ、司くんの方がずっとカッコイイとは思うけどねぇ

司

……そうか。

類

(さて、今度はこっち読もうっと♪)

夜

冬弥

夜分にすみません。

彰人

いえいえ。この時間は暇ですし。

彰人

折角なら、どうです？呑みません？

冬弥

えっ……と、俺はあまり酒に強くなくて…

彰人

あぁ、通りで今まで呑んでる所を見たこと無いわけだ。

彰人

そんなに弱いんですか？

冬弥

さぁ……ただ、記憶が無くなるタイプのようで、類様から呑まないようにと…

彰人

え、類様に言われるレベル？

冬弥

みたいです。ですので、申し訳ありません。類様からのご命令なので、酒は呑めません。

彰人

了解です。じゃ、茶とツマミ出しますね。

冬弥

ありがとうございます。

彰人

…え？類様が、主従関係の恋愛物を？

冬弥

はい……今日大量に買い込んでた本が、どれも従者と主人の恋愛を描いたもので…

彰人

へぇ〜……類様が……

彰人

…俺ら、脈アリって事ですか？

冬弥

わ、分かりません！

冬弥

あの人が興味を持つ理由なんて、本当にさっぱり……

彰人

まぁ、「使われてる紙が面白かったから」とか、意味わからない理由も有り得ますもんね。

冬弥

たしかに、類様なら有り得ますね…

冬弥

本当に…あの方は、人を振り回すのがお上手で…

彰人

冬弥様は、類様とどうなりたいんですか？

冬弥

えっ？

彰人

好きなんですよね？"そういう"意味で。

冬弥

……

冬弥

……駄目なんです。

冬弥

俺がそれを口にするのは、絶対…

彰人

何がダメなんですか？好きなら好きって言う権利なんて、誰にでもありますよ。

冬弥

…俺にはありません、

冬弥

俺は従者で、あの方は主。身分も違いますし、第一、男同士です。

彰人

好きならそんなもん、全部関係ないと思いますけどね〜

冬弥

彰人さんにはそうかもしれませんが、俺には違うんです。

彰人

ふぅん……

彰人

なら、冬弥様も現状の関係に満足してるって事ですか？

冬弥

え？

彰人

俺は今の類様との現状に満足してますよ。

彰人

俺はただ、類様が笑って俺の作った飯を食べてくれるだけで幸せですから。

冬弥

……

彰人

冬弥様はどうなんですか？

冬弥

俺は……

冬弥

類様が、幸せになって下されば……それだけで、

彰人

…

冬弥

それだけでいいと……思えたら…

彰人

…そうですか。

彰人

俺は、幸せになって欲しいと思ってますよ。類様にも、冬弥様も司さんにも。

冬弥

…ありがとうございます。

彰人

まぁでも、類様って色恋に興味無さそうですよね〜

彰人

見合いも縁談も全部断るし、類様の想い人とか想像つかねぇし。

冬弥

そうですね……

彰人

類様って、なんで恋愛しようと思わないんですかね？

冬弥

さぁ……俺には分かりかねます。

冬弥

ただ単に興味がないのか、他に何がお考えがあるのか…俺には分かりません。

彰人

う〜ん…ま、俺にも全く分かんないっすね。

彰人

とりあえず類様が幸せなら何でもいいです。

冬弥

えぇ、それは同意します。

彰人

あ、そろそろ茶淹れ直しますね。

冬弥

あ…すみません。ありがとうございます。

この作品はいかがでしたか？

307

2件

ずっと片思いの3人、、、、誰かが幸せになれば、誰かの恋は実らない、切ない(´；ω；｀) 彰人の母国ってドイツなんですね！(違ってたらすいません) 続き楽しみにしてます！

あかまる🍓🐾໊

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