2年生の夏休みが終わりを告げ、夏の暑さが少し残る頃、美里はこの高校に転入してきた。
始業式が終わり私が教室へ戻ると
彼女の机の周りには既に人が集まり、彼女は質問責めにあっていた。
何で引っ越してきたの?と聞かれた彼女はニコッと微笑み
「親の仕事の都合で長野の田舎の方から引っ越してきた。」
と言っていたのをよく覚えている。
彼女が言うにはこれまで住んでいた場所は、どうにも田舎すぎて毎日退屈していたらしい。
この辺りを案内してほしいという彼女の言葉から、この週末に歓迎会をしようという話になった。
屈託のない彼女の笑顔と明るい性格は 男女問わずクラスメイトを彼女に惹きつけ、転入から一ヶ月が経つ頃にはクラスの人気者の一人となっていた。
そう
彼女が自殺をするまでは。
7月18日 美里が自殺をしてから16日 2-Cにて
麻友
麻友
そら
今日は豪雨のため野球部の練習が早く終わり、麻友は陽太と先に帰ってしまった。
…
30分後
そら
私は宿題を終え、1階のロッカーへと向かった。
ガチャ
私のロッカーを開け中を見ると、中には見慣れない分厚いノートが入っていた。
そら
恐る恐る手に取り、表紙を見る。 ノートの間から紙が挟まっているのが見える。
そら
俊介
そら
俊介の声に驚いた私は咄嗟にノートをカバンの中に突っ込んだ。
俊介
話しかけてくる俊介を横目に、私は学校を後にした。
慌てて持って帰ってきちゃったこのノートどうしよう…
何で私のロッカーに入れられてたの…?
明日持ち主に返しに行かないと…
っていうか、これ誰の?
返しに行くにしても、誰のかわからなかったら返せないじゃん!
持ち主には悪いけど、中をのぞいてみよう
少しだけ…
私は恐る恐る分厚いノートを開いた。
…
これは…!
美里の日記帳
何で私のロッカーにこんなものが…?
美里の日記を誰が私のロッカーに…?
誰が何のために…
…
そら
そら
そら
俊介
そら
俊介
そら
そら
俊介
そら
俊介
俊介
そら
そら
俊介
俊介
俊介
そら
俊介
そら
そら
俊介
俊介
そら
俊介
そら
そら
そら
美里の日記から一枚のメモが落ちた。
そら
紙に書かれた文字は滲んでいて読み解くことはできなかった。
そら
私はこの日記帳を前から順に読むことにした。
そら
そら
そら
. . . . . . . . . . .
2018年 9月6日 美里が転入して4日 1-Cにて
美里はすっかりC組に馴染み、私たちのクラスの女子数人で、放課後美里を囲んで話をしていた。
アヤ
美里
美里
さくら
美里
さくら
アヤ
美里
私がなぜテニスやらないのか聞こうとした時、みんなの携帯から一斉に通知音が聞こえた。
アヤ
さくら
美里
美里
そら
さくら
アヤ
結局、美里の歓迎会は私が提案した駅前の焼肉屋さん「どんだけ屋」で行われることになった。
そら
さくら
私はまだ知らなかった
この一冊の日記帳が私たちの人間関係をすっかり変えることになるとは
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