亮平
11月の肌寒い朝。
亮平
僕は涼太さんを起こさないように静かに
ベットかを出ると窓を開けた。
ーーーガラガラガラ。
ベットかを出ると窓を開けた。
ーーーガラガラガラ。
亮平
「少し……寒くなってきたみたい……」
亮平
リビングの窓を開けて空を見あげてみる
亮平
雲ひとつない快晴。
亮平
「……ママ……パパ……」
亮平
今日は11月1日、2人の命日だ。
この日が近づくたび、夢を見て忘れる
ことはなかった。
いつだって、この日を忘れることは
なかった……。
あの日事故があった日のことを思い出す。
この日が近づくたび、夢を見て忘れる
ことはなかった。
いつだって、この日を忘れることは
なかった……。
あの日事故があった日のことを思い出す。
亮平
それは楽しみにしていた遊園地へ行く日
のこと。
僕は小学5年生で、大好きなママとパパ
とのお出かけがうれしくて、はしゃい
でた。
のこと。
僕は小学5年生で、大好きなママとパパ
とのお出かけがうれしくて、はしゃい
でた。
亮平
「ママー!!パパー!!はーやーくー」
亮平
僕はぴょんぴょんと飛びはねる。
亮平
昨日ティッシュで作ったてるてる坊主が
きいたのかもしれない、そう思って、
てるてる坊主に「ありがとう」とお礼を
言った。
きいたのかもしれない、そう思って、
てるてる坊主に「ありがとう」とお礼を
言った。
パパ
「待たせてごめんな、亮平」
ママ
「ほら、亮平、後ろに乗って?」
亮平
パパが運転先に座って、ママが僕を後部
座席に座らせた。
そして、ママは助手席に座る。
座席に座らせた。
そして、ママは助手席に座る。
亮平
「しゅっぱーつ!!」
亮平
はしゃぐ僕に、ママとパパは笑顔を向け
てくれたのを今でも覚えてる。
そうこの日は、僕にとって幸せで溢れた
一日になるはずだった。
ーーキキーッ!!
ものすごい揺れ、大きなスリップ音。
てくれたのを今でも覚えてる。
そうこの日は、僕にとって幸せで溢れた
一日になるはずだった。
ーーキキーッ!!
ものすごい揺れ、大きなスリップ音。
ママ
「キャアアアア」
パパ
「うああああああっ」
亮平
ママとパパの悲鳴。
亮平
僕はギュッとママの座席にしがみついた
まぶしいライトが僕たちを照らす。
ーーバンッ!!
そして強い衝撃とともに、僕たちは意識
を手放した。
まぶしいライトが僕たちを照らす。
ーーバンッ!!
そして強い衝撃とともに、僕たちは意識
を手放した。
A
「かわいそうにね、亮平ちゃん」
B
「でも、うちにはもう3人も子供が
いるし……」
いるし……」
亮平
次に目が覚めたとき、僕はこの世で一番
大切な人たちを失っていた。
大切な人たちを失っていた。
亮平
今日は四十九日で、親戚が集まっていた。
お葬式を終えても、その実感もないまま
、僕はここにまで来てしまったんだ。
だって、誰が信じらるっていうんだろう。
あの日、ママとパパは僕に笑いかけて
くれたんだ。
そんな大好きな人たちがうこの世にいな
いだなんて……。
そんなの信じられない……かわいそうっ
て、なにが?
どうしてみんな泣いているの?
いやな夢を見ているような感覚……。
現実が受け入れられなくて、涙も出なか
った。
お葬式を終えても、その実感もないまま
、僕はここにまで来てしまったんだ。
だって、誰が信じらるっていうんだろう。
あの日、ママとパパは僕に笑いかけて
くれたんだ。
そんな大好きな人たちがうこの世にいな
いだなんて……。
そんなの信じられない……かわいそうっ
て、なにが?
どうしてみんな泣いているの?
いやな夢を見ているような感覚……。
現実が受け入れられなくて、涙も出なか
った。
B
「誰が引き取るのかしら?」
C
「え、うちも無理だぞ?子供なんて
めんどうだろ」
めんどうだろ」
亮平
嫌だ……。
亮平
僕はパパとママの子供だよ。
他の誰の子にもならない。
ママは5人兄弟の2番目でどの家にも子供
がいた。
どこに行っても、僕は邪魔でしかなかっ
たのだと思う。
他の誰の子にもならない。
ママは5人兄弟の2番目でどの家にも子供
がいた。
どこに行っても、僕は邪魔でしかなかっ
たのだと思う。
亮平
そこに辰哉さんが現れた。
辰哉
「遅くなってすまない」
亮平
海外出張が多かった辰哉さんは、お葬式
には間に合わなかったけれど、ママが
死んだと聞いて仕事先から飛んできたの
だ。
には間に合わなかったけれど、ママが
死んだと聞いて仕事先から飛んできたの
だ。
辰哉
「姉さん……本当に……」
亮平
あとから聞いた話、末っ子の辰哉さんは
ママにすごく可愛がられていて、一番仲
がよかったらしい。
ママにすごく可愛がられていて、一番仲
がよかったらしい。
辰哉
「阿部亮平くん、おおきくなったね。」
辰哉
「亮平くんが小さいときにあったこと
があるんだけど、覚えてないかな?」
があるんだけど、覚えてないかな?」
亮平
辰哉さんは僕の前にしゃがみこみ、目線
を合わせてくれる。
深澤……。
を合わせてくれる。
深澤……。
亮平
ママのもともとの苗字だ。
僕がパパとママの子供である証(あかし)
覚えてないけど、小さいときに会ってた
んだ……。
僕がパパとママの子供である証(あかし)
覚えてないけど、小さいときに会ってた
んだ……。
?
「お父さん」
亮平
そのとき、僕と同い年くらいの子が、
辰哉さんのうしろからひょこっと
出てきた。
辰哉さんのうしろからひょこっと
出てきた。
辰哉
「照、この子は亮平くん」
照
「亮平?」
亮平
名前を呼ばれ、僕は顔をあげる。
照
「悲しい、のか?」
亮平
照お兄ちゃんは、僕に手を伸ばし、
そっと頭をなでた。
そっと頭をなでた。
亮平
「……っ!!」
亮平
その手が暖かったからか、僕はそこで
初めて泣くことができた。
ハラハラと頬に伝っては落ちる涙を、
僕はどうすればいいのかわからな
かった。
初めて泣くことができた。
ハラハラと頬に伝っては落ちる涙を、
僕はどうすればいいのかわからな
かった。
辰哉
「亮平くんのママ、俺の姉さんは、本当
に優しい人でね。」
に優しい人でね。」
辰哉
「俺は本当に大好きだったんだ」
亮平
辰哉さんは、僕に手を差し出す。
辰哉
「大好きな姉さんの宝である亮平くん
のことも、俺は大好きだよ。」
のことも、俺は大好きだよ。」
辰哉
「亮平くんは、もう俺たちの家族だ。」
亮平
笑いかけてくれる辰哉さんは、嘘を
ついているようには見えなかった。
誰もが僕を面倒な置き土産と思って
いた中、深澤家だけは違った。
親戚の家を何件も回って、どこでも
うっとうしがられた僕を、こころよく
引き取ってくれた。
本当に僕と向き合ってくれた人だった
から……。
だから僕はこの人と一緒にいることを
選んだ。
ついているようには見えなかった。
誰もが僕を面倒な置き土産と思って
いた中、深澤家だけは違った。
親戚の家を何件も回って、どこでも
うっとうしがられた僕を、こころよく
引き取ってくれた。
本当に僕と向き合ってくれた人だった
から……。
だから僕はこの人と一緒にいることを
選んだ。
亮平
「不思議……涼太さんと一緒にいた
からかな?」
からかな?」
亮平
「この日が近くなっても、寝られなく
なったりしなかったな」
なったりしなかったな」
亮平
僕は小さく笑う。
毎年、この日が近づくたびに、あの事故
の日のことを繰り返すかのように夢に
見ていたのだ。
それが涼太さんと出会った今年は見なく
なった。
きっと、あの日の辛い気持ち、記憶を思
い出すより、涼太さんと過ごす楽しい
毎日が、ひとつひとつ増える幸せな記憶
が、心を温めてくれるから。
僕が心から笑えるのも、涼太さんの
おかげだよ。
眠る涼太さんへと視線を向ける。
毎年、この日が近づくたびに、あの事故
の日のことを繰り返すかのように夢に
見ていたのだ。
それが涼太さんと出会った今年は見なく
なった。
きっと、あの日の辛い気持ち、記憶を思
い出すより、涼太さんと過ごす楽しい
毎日が、ひとつひとつ増える幸せな記憶
が、心を温めてくれるから。
僕が心から笑えるのも、涼太さんの
おかげだよ。
眠る涼太さんへと視線を向ける。
涼太
「……ん……」
亮平
窓から差し込む太陽の光がまぶしい
のか、涼太さんが寝返りを打つ。
涼太さん、もう8時過ぎてるのにまだ
起きないや。
のか、涼太さんが寝返りを打つ。
涼太さん、もう8時過ぎてるのにまだ
起きないや。
亮平
「……涼太さん……ありがとう」
亮平
眠っている涼太さんに、僕は笑顔を
向ける。
僕がこの日を前より辛くないと感じられ
るのは、涼太さんがいるからだよ。
涼太さんが僕のさびしさも辛さも、全部
埋めてくれるから……。
向ける。
僕がこの日を前より辛くないと感じられ
るのは、涼太さんがいるからだよ。
涼太さんが僕のさびしさも辛さも、全部
埋めてくれるから……。
亮平
「ありがとう……」
亮平
僕も……涼太さんが辛いとき、悲しいと
きはそばにいるからね。
僕の命が終わるそのときまで……ずっと
……。
きはそばにいるからね。
僕の命が終わるそのときまで……ずっと
……。
亮平
「さて、と……」
亮平
僕は朝食の準備に取りかかった。
亮平
朝食を作り終え、テーブルに置くと、
ラップにかけた。
ラップにかけた。
亮平
「あとは……」
亮平
紙とペンを持って、涼太さんに手紙を
書く。
書く。
亮平
「これで、よし!!」
亮平
テーブルに手紙を置いて、僕は立ち
あがる。
あがる。
亮平
お墓参りは毎年ひとりで行ってた。
辰哉さんと照お兄ちゃんも、それに
対してはなにも言わなかった。
僕がひとりで行かせて、とお願いした
からだ。
誰かがそばにいたら、僕はきっと素直に
泣いたり、気持ちを伝えたり、弱音を
吐いたりできなくなる。
この日は、僕が唯一(ゆいいつ)パパと
ママのためな泣ける、大切な日だから。
ママとパパに会いに行くときは、僕は
弱くなる。
泣いて、泣いて、「会いたい」なんて、
叶わない願いを口にする。
唯一、そこでだけで僕は弱音を吐けた。
辰哉さんと照お兄ちゃんも、それに
対してはなにも言わなかった。
僕がひとりで行かせて、とお願いした
からだ。
誰かがそばにいたら、僕はきっと素直に
泣いたり、気持ちを伝えたり、弱音を
吐いたりできなくなる。
この日は、僕が唯一(ゆいいつ)パパと
ママのためな泣ける、大切な日だから。
ママとパパに会いに行くときは、僕は
弱くなる。
泣いて、泣いて、「会いたい」なんて、
叶わない願いを口にする。
唯一、そこでだけで僕は弱音を吐けた。
亮平
「そろそろ行こう」
亮平
コートを羽織り、涼太さんを起こさない
ように静かに扉を開け、僕は外へと
出た。
ように静かに扉を開け、僕は外へと
出た。






