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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで

午前1時半。

痛む頭と上がる熱で寝れずに天井を見つめる。

エアコンの効いていないぬるい部屋を抜け出し、

近所の公園で100円のファンタを買ってベンチに座る。

両手でペットボトルを包み込めば

火照た手にペットボトルの冷たさが直に伝わる。

パジャマのポケットからイヤホンとスマホを取りだし

「夜明けと蛍」を流す。

儚さと強さが混じった、大好きな君の声に

耳を傾け、背中を背凭れに倒す。

そっと目を閉じると瞼の裏に映る

君とのこれまでの思い出。

初めて出会った日。

初めて君の秘密を知った日。

過去を知った日。

君と出会って、

沢山沢山笑って。涙を流して。

辛かった思い出も。楽しかった思い出も。

くるくる回って。そして瞼の奥で溶け合う。

ブブ、とスマホが振動して通知を開くと

3か月、音信不通だった友人からのメッセージ。

「今、起きてる?」

たったひとこと。

こういう夜は誰でもいいから話したくなる。

話しかけたくなる。

人はみんな孤独だから。

とりあえず既読だけつけておいた。

思えば、今日はライブの日。

長いようで短かったライブまでの日々。

大切な人たちと過ごした1日1日は大切な日々。

遠く離れた南の町で大切な人たちに想いを馳せる。

3年前。

私がまだあなたたちを知らなかった時。

あなたたちは悔しい悔しい思いをした。

よく泣き、よく笑い、そして頑張り屋さんな青色の王子様。

いつもふわふわしてるけど、しっかり芯があって言いたい時はきちんと言葉にする、黄色の王子様。

ストイックで、一生懸命で。1度決めたことは最後までやり通す桃色の王子様。

痛みを知っているからこそ人に寄り添えられる、優しくて思いやりのある赤色の王子様。

そして

人を笑顔にするのが得意で、素直で。だから溜め込みすぎちゃうオレンジ色の王子様。

今日はそんな彼の最後のライブ。

彼、世界3周旅行してくるんだって。

だから、しばらく会えなくなるって。

………そう思うようにしたら心が軽くなるのかな、なんて。

そんな5人のリベンジのライブが今日、始まる。

でも。

忘れちゃいけない、王子様が1人。

多くの人を救い、人のために行動して。優しさに溢れた紫色の王子様。

彼はね、月まで旅行に行ってるんだって。

ほら、月って地球から遠いし。しばらく戻って来れないじゃん?

だから明日はいないんだって。

そんな下らないことを考えて。

でも心から溢れる寂しさと悲しみは受け止めきれなかった。

夜空を見上げながら。

「大切な人たちは今何をしているかな、」って。

星空と街灯と。夜の闇に包まれた、あの街で。

寝てるかも知れない。

エゴサしてるかも知れない。

離れていても。

見上げる空は同じ。

その空を見上げて。

頑張れ、頑張れ、と1人つぶやく。

何の確証も根拠もないけれど。

あなたたちなら、きっと出来る。

最高のライブに出来る。

3年前と舞台から見える景色は違っていても。

きっと、そこにある想いはみんな同じ。

私が愛する大切な人たちは6人でひとつだから。

ふあぁ、とあくびがひとつ。

ファンタはぬるくなっていた。

帰ろう。

そう思って足を踏み出した、

午前3時05分。

応援するよ、いつだって。

出会いも、別れも。

1ページ。

今日、遠く離れた南の町で。

あなたたちの幸せを祈っています。

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コメント

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ユーザー

...俺、もうちょっと ぴかぶぅちゃんに喋りかけれるように頑張るね...(ちなみに、俺がコメントでぴかぶぅちゃんって呼んでるのは、他の人にバレたらまずいかなって思ったから、)

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