ゆう
(あれ…?)
まぶたが熱い。涙が頬を伝って、れるちの手に落ちる。
ゆう
(ほんとだ。ゆうさん、泣いてる。ほんとになんでだろう。)
ゆう
……ほん…とだ。なんでなんだろっ…
必死に涙を拭うも、涙はさらに溢れ出てくる。
拭いきれない。
れる
自分に嘘はつかんといたほうがええよ。
ゆう
自分に…嘘なんてっ……ついて、ないよ。
ゆう
(そうだよ。嘘なんてついてない。)
ゆう
(全部、本当のことだ。)
れる
じゃあ顔背けんといてよ。ちゃんとれると目合わせて。ほら、こっち見て。
ゆう
(どうしよう。目が合わせられない。
でもこれは…罪悪感からであって、嘘じゃない…はず…)
れる
ちゃんとこっち見てってば。
ゆう
……っやだ!……
れる
なんで。
ゆう
…っわかんないの!れるちが何を言いたいのか!
思わず大声を出してしまう。
誰もいなくて助かった。
れる
…ゆうくん。
ゆう
っやだ!!!
れる
ゆうくん。
ゆう
やだってば!
れる
…ねぇゆうくん。
ゆう
…やだって言ってるのに……
れる
ゆうくん。話聞いて?
ゆう
っ………………
れる
ゆうくん、ゆうくんが"今"好きなのは、れるの顔?れるのテクニック?それとも、今ここにいるれる?
ゆう
……どういうこと
れる
過去のゆうくんが好きだったのは、れるの顔とかなんよな?
ゆう
そうだよ。だからー。
れる
じゃあ、今のゆうくんは?…今のゆうくんは、誰がすきなん?
ゆう
…え……?
ゆう
どういう…………あ……。
ゆう
(…そういえば、確かに、れるちと色々したいなと思ってたけど。)
ゆう
(そのなかに、れるちとデートして、れるちのことをよく知りたいとか、メンバーに対してちゃんと向き合ってくれるところが好きだなとか、そんなことを、思ってた…。)
れる
ゆうくん。ゆうくんが〝今〟一番好きなのは、誰?
あぁ。そっか。れるちは、僕にそう伝えたかったんだ。
ゆう
僕が…ゆうさんが、好きなのは……
ゆう
………れるちの…今の、れるちの……全部。
ゆう
(最初に好きになった理由はどうであれ、今はれるちの全部が好きなんだ。)
ゆう
(れるちの性格も、顔も、テクニックも、声も。頭から爪先まで、全部含めて大好きなんだ。)
れる
……ふふ、やっと笑ってくれた。
れる
本当のことを言ってくれたんやな。
れる
ありがとう。
れるちがふわっと笑う。
それは、ベットの中で見たものと似ていて、
この先、ずっと、何度も見たいと思うものだった。
ゆう
(でも、れるちは罪悪感で付き合いたいと思ってない。)
ゆう
(…ふふ、れるちがその気にさせたんだから。れるちが悪いんだからね。
絶対に説得してやりますからぁ!)