一覧ページ

LINE1163

第1話 - あ

2023年09月24日

#恋愛

結城　真矢

ユウ

やっほー！ハナ、さっき会ったの私だってわかった？

ユウ

奇遇だねーｗ地元を離れてこんなところにいるなんてｗ

ハナ

げっ、ユウ…やっぱりさっきのあんただったんだ…

ユウ

げっとは何よー

ユウ

高校時代の友達に折角会えたってのに、

ユウ

ちっとも嬉しそうじゃないねー

ハナ

嬉しいわけないでしょ…あんた、自分のしたこと忘れたの？

ユウ

なーにー？高校時代、あんたの彼氏と付き合ったことしか心当たりないなぁ

ハナ

普通、そのことだと思わない…？

ユウ

何よあんなの。昔のことじゃんｗ

ユウ

それに、あれは私と違ってブスなあんたがいけないんだよ？

ハナ

はぁ…あんた、相変わらずだね

ユウ

そんな昔のことでいまだに怒ってるってことは、

ユウ

もしかして、まだあの彼氏に未練タラタラ？

ハナ

そんなわけないでしょ

ハナ

あんな浮気男、こっちから振ってやったわよ

ハナ

それに、今となっては彼と別れることになって良かったと思ってるからね

ユウ

ま、そりゃそうよねーｗ

ユウ

今じゃ、あーんなイケメンの旦那さんに恵まれてるもんねｗ

ハナ

え、イケメンの旦那？

ユウ

そう！あんたの旦那さん、見ちゃったわよーｗ

ユウ

すっごく私のタイプで、思わず見とれちゃったわ～

ハナ

私の旦那が、あんたのタイプ…？

ハナ

あんた、あの人をイケメンって思うの？

ユウ

どこからどう見てもイケメンじゃ～んｗ

ハナ

そうなんだ…人の趣味って変わるものね

ユウ

もー何言ってんの。ちっとも変わってないってばｗ

ハナ

ま、好みは人それぞれだからね…

ユウ

でさぁ、あんたの旦那さん見てると、こう、ムズムズしちゃってｗ

ユウ

また私のものにしちゃったら、あんた、どんな顔するかな～ってｗｗ

ハナ

ちょっと、私達には子供もいるんだから、家庭を壊すようなことしないでよ！

ユウ

いいね～ｗ恋は障害が多いほど燃えるのよｗ

ハナ

はぁ…また厄介な地元の奴に見つかっちゃった…

～数日後～

ユウ

ハナ～ｗ

ユウ

私は今、どこにいるでしょーか！

ユウ

な・ん・と！あんたの旦那さんの腕の中でーすｗｗ

ユウ

いや～、旦那さん落とすの予想外に簡単だったわｗ

ユウ

私が誘惑したら、秒で落ちちゃってｗ

ユウ

なんと！すぐさま「俺の実家に挨拶に行こう！って言ってくれたの！」

ユウ

それで、電車乗り継いで旦那さんの実家に二人で向かって、

ユウ

旦那さんの両親もそこで熱烈歓迎してくれたの！！

ユウ

『ハナはいいんですか？』って私が聞いたら、

ユウ

『いいのいいの！あんな馬鹿な子もう知らないわ！』ってｗ

ユウ

ちょｗｗあんたどんだけ義実家に嫌われてるのｗｗｗ

ユウ

ダメだよーｗ旦那さん繋ぎ止めておきたいなら、

ユウ

義実家とくらい上手くやらないとｗ

ユウ

そんなだからこんなにあっさり乗り換えられちゃうんだよｗ

ユウ

それとも、やっぱり顔かな？ブスなあんたと違う、美人な私の顔で落ちたのかな？ｗ

ユウ

ま、それはともかく『二人でゆっくりしなさい』なんて言われて

ユウ

彼と二人の部屋に通されて、

ユウ

今、体の相性を確かめ合っちゃったところ♡

ユウ

とはいっても、まるで初めてみたいにド下手くそだったけど、

ユウ

そこも可愛いから許しちゃうｗ

ユウ

もしかして、子供生まれてから旦那さんと何年もレスとか？

ユウ

とにかく！私、あんたの旦那さんと結婚することになったから！

ユウ

プロポーズもされて、義両親公認の仲なんだからね！

ハナ

えーっと、ごめん今起きた

ハナ

なんか、着信溜まってて状況が読めないんだけど…

ユウ

ちょｗｗｗあんたが呑気に寝てる間に私が旦那いただいちゃったんだけどｗｗ

ユウ

子供いるんだっけ？大変だねーｗｗこれからはたった一人で

ユウ

育てなきゃいけないんだものねーｗｗ

ユウ

でも義両親が味方なんだから、私に勝ち目なし！諦めなさいｗｗ

ハナ

いや、というか何の話？

ハナ

旦那、今私の隣で寝てるけど

ユウ

へ？

ユウ

ちょｗｗ冗談言わないでよ

ユウ

あなたの旦那のイチロウさんが寝てるのは私の隣よ！私の！

ハナ

え、イチロウ…？それ私の夫の名前じゃないよ

ユウ

え？

ハナ

というか、それってまさか…

ユウ

まさかって何よ。どういうこと？

ハナ

まず、ユウはどうしてその人を私の旦那だと判断したの？

ユウ

だって、ハナの家から出ていくところを見たのよ！それも二回ほど！

ユウ

旦那さんじゃないとしたら何なの！？

ユウ

まさか、あんたの浮気相手！？

ハナ

そんなわけないでしょ

ハナ

そいつ、私の弟よ

ユウ

へ？

ユウ

弟…？

ハナ

そう。なんか変だと思わなかったの？

ユウ

聞いてないわよあんたに弟がいるなんて…

ハナ

弟のことは話したくもなかったからね。３つ下だから通う学校もかぶってなかったし

ユウ

ってことは、結婚したらハナと私、義理の姉妹になるってこと？

ハナ

冗談じゃないわよ。私、実家とは縁を切ってるから

ユウ

縁を切ってるって…

ハナ

うちの実家ね、典型的な膿家ってやつなの

ハナ

長男は跡継ぎだからと誉めそやし、娘は嫁に行くからと奴隷扱い

ハナ

嫁は義実家に尽くして義両親の世話をしながら、家事育児農業もして当たり前

ハナ

娘の私もいずれそうなるんだと嫌というほど教えられながらこき使われた

ハナ

私はそんな実家が嫌で、高校卒業後は地元を飛び出して連絡を断ったの

ハナ

でもね、当時そんな私を地元に残るか迷わせた要素が一つだけあった

ハナ

それが、高3まで付き合ってた彼よ。あんたが略奪した奴ね

ハナ

彼は地元を愛していたから出る気はないって言ってたし、

ハナ

私も彼の為なら、地元で結婚してもいいかと思ってたの

ハナ

その彼を、あんたが奪ってくれた

ユウ

えっ…

ハナ

お陰で、地元を離れる決心がついたわ

ハナ

あんたは嫌な奴だけど、その点は感謝してるｗ

ユウ

嘘でしょ。絶縁してるなら、なんで弟さんがあんたの家から出てくるのよ！

ハナ

あいつら、私のこと探してたのよ

ハナ

ただでさえ長男偏重の家で、その上美形だからと甘やかされまくった弟のイチロウは、

ハナ

それが祟って立派なヒキニートに育ったの

ユウ

げっ！ヒキニート…？

ハナ

いくら美形でも、社会性のないヒキニートに嫁ぐ女性は現れなくて、

ハナ

実家の存続が危うくなったのよ

ハナ

そこで、あれだけ奴隷扱いした私を呼び戻すことにした

ハナ

イチロウもイチロウで、両親の死後面倒を見てくれる家族が欲しかったんでしょうね

ハナ

高齢の両親は遠くまで移動できないし、

ハナ

ヒキニートのくせにどうやってか私を見つけて、ここまで来たのよ

ハナ

そして、子供を連れて実家に戻れと何度も言ってきた

ハナ

私の子は女の子だけどこの際構わない！この次男の子を産め！ですって。失礼しちゃうわよね

ハナ

それでも断固拒否しているうちに、あんたがイチロウを誘惑してくれたの

ハナ

結婚相手を渇望していたイチロウも両親も、そりゃあ大喜びするよねーｗ

ハナ

それで私のことは放って、あんたを連れて実家に戻ったってわけ

ユウ

え、ちょっと…つまりこの家って…

ハナ

そっかー。あんた、弟のことを旦那だと思ってたんだ

ハナ

おかしいと思ったんだよねー

ハナ

旦那は、そりゃもう私にとっては愛しい旦那様だけど、

ハナ

背は低いし太いしハゲ上がってるしで、

ハナ

それを『イケメン』って言うあんたの趣味ずいぶん昔と変わったなーって勘違いしてたわｗ

ハナ

あ、熱烈歓迎されてるのは今だけだと思うよ

ハナ

明日からはたっぷりこき使われて、男の子を産め産め言われると思うからｗ

ユウ

冗談じゃないわ！！そんな家に嫁に行くなんて！！

ユウ

何が何でも出て行ってやるんだから！

ハナ

両親もイチロウも、奇跡的に来た嫁に狂喜乱舞だったんでしょ

ハナ

そう簡単に逃がしてくれるかなー

ユウ

こうなったら今のうちにこっそり逃げてやる！

ユウ

ひっ！？

ハナ

どうしたの？

ユウ

あ、あんたの父親が…今夜中なのに…

ユウ

凄い怖い顔で『逃げるつもりか！？』って…

ユウ

『お前はもううちの貴重な嫁なんだ。逃げるとか許さねぇからな！』って、手を掴まれて

ユウ

引きずられて…やだやだ！！

ユウ

助けてよぉおおおおお！！！

～数日後～

ユウ

もう最悪！！お願いだから助けてよ！！

ハナ

あら、結局逃げられなかったのね

ユウ

あの後このクソ家族に囲まれて、無理矢理婚姻届書かされたのよ！

ユウ

朝から晩まで家事に仕事に農業に義両親の世話にとこき使われて休む暇もない！

ユウ

それなのに何にもしないヒキニートのイチロウの方が

ユウ

旦那だから偉い、従えってことにされてんのよ！

ユウ

私はこの家で一番下っ端な扱いなの！まるで奴隷よ！サンドバッグよ！！

ユウ

今だって、隙を見てなんとかスマホ触ってるんだから！

ユウ

夜だって毎日、早く男児を産めって言われてド下手くそに痛いことされるのよ！

ユウ

私に拒否権はないの！

ハナ

そうそう、そんな家なのよあそこは

ハナ

私もずーっとそんな扱い受けてきたわ

ユウ

ねぇあんたの実家でしょ！何とかしてよ！

ハナ

私はもう縁を切ったから関係ありませんので

ユウ

関係なくないでしょあんたと血の繋がった家族なんだから！

ハナ

私の家族は夫と娘だけです

ユウ

何よ、もとはと言えばあんたの夫を略奪するつもりだったのよ！

ユウ

それをあんたを探しに来た弟と間違えちゃっただけなの！

ユウ

つまりあんたのせいなんだからね！責任取ってよ！

ハナ

いやいや、まず略奪しようとする時点でありえないから

ハナ

それにしても、私の代わりに生贄になってくれてありがとうねｗ

ハナ

元カレの時もそうだったけど、つくづくあんたって、

ハナ

私をあの家から逃がしてくれる恩人だよねｗ

ユウ

馬鹿にしないで！恩人だっと思ってるなら助けてよ！

ユウ

でないと、私今のあんたの住所こいつらに言っちゃうから！知ってるんだからね！

ハナ

私、もう引っ越したわよ

ユウ

え？

ハナ

イチロウにしつこく凸されてた時点で引っ越しを決めてました

ハナ

だからもう、あの家にはいません

ユウ

ふざけんな！

ユウ

この家で死ぬまで奴隷になるのだけは、絶対に嫌！！

ユウ

こうなったら、こんなクソな家今の時代にこのままにはさせない！私が滅茶苦茶にしてやるわ！

ハナ

え、マジ？そんなことしたら袋叩きにあうわよ

ユウ

それでもよ！どうせこのままだと私の人生終わったも同然なのよ！

ユウ

離婚されたら万々歳！

ユウ

こいつらだけハッピーエンドには絶対にさせないんだから！

～後日談～

ハナ

その後、ユウが何をしたのか詳しくは知りません

ハナ

ですが、聞いた話だと高齢の両親は日に日にボロボロになり、

ハナ

『嫁をいびったりこき使うたびに何倍にもなって返ってくる』

ハナ

『恐ろしい嫁を迎えてしまった』と愚痴を溢しているそうです

ハナ

そしてイチロウは『私に何かしたらあんたの家を途絶えさせてやる！』

ハナ

『あんたみたいな甘やかされたヒキニートの嫁になる女他にいないのよ！』

ハナ

というユウの言葉に離婚できず、ボロボロになって尻に敷かれながら

ハナ

農業、家事を担うようになったとのことです

ハナ

今ではユウがあの家の大黒柱で、勢力図はすっかり塗り替わったのだとか

ハナ

私にはもう関係ありませんが、意外な展開に面白がっている自分がいます

ハナ

ただ、私はもう巻き込まないでほしいですがね

この作品はいかがでしたか？

0件

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！

結城　真矢

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

LINE1163

第1話 - あ

作者の他の作品すべて見る

#恋愛の新着小説
一覧

関連するタグ

LINE1163

第1話 - あ

作者の他の作品すべて見る

#恋愛の新着小説一覧

関連するタグ

#恋愛の新着小説
一覧