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深夜2時、本来ならば とうに眠りについている筈の 太宰だったが、今夜だけは こそこそと台所であちこちの 料理道具を並べていた

太宰くん

んーっと、、

ぶがぶがのエプロンを着る 太宰の片手には、大きな本が。

表紙には大きく 「初心者でも作れる簡単カレー」 と書き込まれている

太宰くん

人参、玉ねぎ、

太宰くん

それからじゃがいもに、カレールー、、

太宰は本を見ながら 1つづつ材料確認を行っていた

太宰くん

、、よし、!大丈夫!

太宰の作戦はこうだ、 織田作の新人賞のお祝いに、 サプライズでカレーを手作り するのだ。そして家族みんなで、 他愛ない話しをしながらカレーを食べる。

太宰くん

(絶対織田作と父様と
母様を喜ばせてあげるんだ!)

そうして太宰は、近くの部屋から 持ってきた子供用サイズの椅子に 乗り、ノリノリで 初めてのカレー作りを始めた。

太宰くん

よし、、あとはしばらくぐつぐつさせるだけ!

太宰くん

、ふわぁ、、、

太宰くん

(なんだか眠たくなってきちゃった、、)

太宰が眠たくなるのも当然だろう、 何故なら太宰は深夜2時から 一切休むことなく4時頃まで カレーを作っていたのだから

太宰くん

でもここで寝たらバレちゃうし、
カレーも台無しになっちゃう、、

太宰くん

うーん、、

太宰は少し考えた後、 「タイマーを掛ける」という 選択にたどり着いた

太宰くん

(これを枕の隣に置いておけば、
父様達にもバレないし、大丈夫!)

太宰くん

おやすみなさーい、、トコトコ…

そうして誰もいなくなった キッチンには、早朝の "乾燥した"涼しさと、遅れて パチパチと鳴る料理本だけが残った。

中也

、、それで、どうなったんだ

治の両親は両方一酸化炭素中毒、
専属執事は治を庇いタヒんだ

中也

ッ、、、

中原は、今までそんなこと 知らなかった、知るよしもなかった

知ることなど、 出来るはずがなかった。

何故なら過去は、 人の精神を永遠と蝕み続ける 悪夢だからだ。それを 中原は嫌という程理解していた、 "分かっていた"。

中也

、、そういや、太宰はどうした

ふとそんな疑問が浮かんできた。

俺の会社にある仮眠室だ、
今もこうして───────

男の言葉が詰まる

中也

、、?

中也

どうした

、、治が居ない

中也

、は?!

中也

貸せっ!!バッ

中原は男が見つめていた 携帯を奪うと、すぐにその 画面に目をやった

映っているのは白い部屋、 おそらく監視カメラの映像だろう

そして、確かに 太宰の姿はどこにもない

中也

どういうことだ!!

部屋から出るなとは言ったんだがな

とはいえこれは失踪事件とも言える、
すぐに捜査部隊を出動させる

そう言って男は 誰かに電話をかけながら 再び玄関を出た

中原さん、今日はひとまず
お帰りになったら如何でしょうか

中也

ッ、、、グッ

中原の拳に力が入る

中原はとてつもなく 自分が情けなく、悔しかった。

中也

(俺は、、また失うってのか、、?)

中原は、以前にも この感情を味わったことがあった。

あれは、いつの事 だっただろうか─────。

中也

、、、、

中原はしばらく黙り込み、 そしてなにか決心したような 表情を見せた。

中也

(何やってんだ俺は!"また失う"?
"今度は失わなせねえ"んだよ!!)

中也

(そもそもあん時とは全てが違う、
立場も、出来ることも、時間も、、)

中也

(まだ俺には、出来ることだあんだよ、、)

バンッ

中也

待てよ

、、、、、

丁度車に乗るところという男を、 中原は引き止めた

中也

俺も連れてけ

、、お前は部外者d

中也

確かに俺とおめえらとはただの他人だ

中也

だがな、太宰治と俺はちげえんだよ

中原は少しづつ男に近づく

中也

俺は太宰の養護教諭だ!!

中也

少なくともお前らよりかは、
俺は太宰を知ってんだよ!!

、!!

、、気の毒だったな

太宰くん

、、、、、

太宰くん

同情なんていらない

、、、

男は目を大きく開き、 太宰を見つめる

太宰くん

、同情なんて、僕にとって害でしかない

自身を見つめる少年の目は、 何処までも続く闇のようだった。

何を考えているのかも、 感情さえも想像が付かない。

少し体が弱いくらいだった 筈の可愛げのある小さな少年は、 何時しか心を閉ざした 不気味な子供へと変わり果てたのだ。

、、そうかもしれんな

中也

!!

早く来い、置いていくぞ

中也

、おうよ

2人は車に乗り、 車は猛スピードで走り出した。

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