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深夜2時、本来ならば とうに眠りについている筈の 太宰だったが、今夜だけは こそこそと台所であちこちの 料理道具を並べていた
太宰くん
ぶがぶがのエプロンを着る 太宰の片手には、大きな本が。
表紙には大きく 「初心者でも作れる簡単カレー」 と書き込まれている
太宰くん
太宰くん
太宰は本を見ながら 1つづつ材料確認を行っていた
太宰くん
太宰の作戦はこうだ、 織田作の新人賞のお祝いに、 サプライズでカレーを手作り するのだ。そして家族みんなで、 他愛ない話しをしながらカレーを食べる。
太宰くん
そうして太宰は、近くの部屋から 持ってきた子供用サイズの椅子に 乗り、ノリノリで 初めてのカレー作りを始めた。
太宰くん
太宰くん
太宰くん
太宰が眠たくなるのも当然だろう、 何故なら太宰は深夜2時から 一切休むことなく4時頃まで カレーを作っていたのだから
太宰くん
太宰くん
太宰は少し考えた後、 「タイマーを掛ける」という 選択にたどり着いた
太宰くん
太宰くん
そうして誰もいなくなった キッチンには、早朝の "乾燥した"涼しさと、遅れて パチパチと鳴る料理本だけが残った。
中也
中也
中原は、今までそんなこと 知らなかった、知るよしもなかった
知ることなど、 出来るはずがなかった。
何故なら過去は、 人の精神を永遠と蝕み続ける 悪夢だからだ。それを 中原は嫌という程理解していた、 "分かっていた"。
中也
ふとそんな疑問が浮かんできた。
男の言葉が詰まる
中也
中也
中也
中也
中原は男が見つめていた 携帯を奪うと、すぐにその 画面に目をやった
映っているのは白い部屋、 おそらく監視カメラの映像だろう
そして、確かに 太宰の姿はどこにもない
中也
そう言って男は 誰かに電話をかけながら 再び玄関を出た
中也
中原の拳に力が入る
中原はとてつもなく 自分が情けなく、悔しかった。
中也
中原は、以前にも この感情を味わったことがあった。
あれは、いつの事 だっただろうか─────。
中也
中原はしばらく黙り込み、 そしてなにか決心したような 表情を見せた。
中也
中也
中也
バンッ
中也
丁度車に乗るところという男を、 中原は引き止めた
中也
中也
中也
中原は少しづつ男に近づく
中也
中也
太宰くん
太宰くん
男は目を大きく開き、 太宰を見つめる
太宰くん
自身を見つめる少年の目は、 何処までも続く闇のようだった。
何を考えているのかも、 感情さえも想像が付かない。
少し体が弱いくらいだった 筈の可愛げのある小さな少年は、 何時しか心を閉ざした 不気味な子供へと変わり果てたのだ。
中也
中也
2人は車に乗り、 車は猛スピードで走り出した。