キムテヒョンは犯罪者の息子
そうかかれている下にはA4用紙が、几帳面にちぎられた布ガムテープで、何枚も整然と貼られていた。
十数を超えるコピー用紙にはすべて無機質な英数字や記号の羅列が印刷されている。どれも「http」から始まるウェブページのURLだ。
俺は黒板から目を移し、クラスメイト達を見た。誰もがスマホを手にして、侵入者を警戒するような目を自分に向けている。
彼らのその顔を見れば黒板に貼られたURLを検索してみるまでもなかった。
すべてはもう、暴かれたのだ。
teahyong
ふしぎなほど動揺はなかった。
心臓に血が通ってないんじゃないかと思うほど平坦な気分だった。
自覚がないだけで、本当は取り乱しているんだろうか。
ただ、ずっと頭の中で思ってはいたのだ。
こんな平穏な毎日が、いつまでも自分に許されるはずがないと。
ヨシキ
痛いほどの沈黙を、低い声が破った
スマホを片手に開け放した窓の枠にもたれていたヨシキが、蔑む目つきでこちらを見ていた。
ヨシキ
ヨシキ
ヨシキの言葉に腹が立ったりはしなかった。傷ついたり、悲しくなることも。ただ、その通りなんだろうと、平坦な意識で思った。
jungkook
ジョングガの声と、目の端を人影が通り抜けたのは同時だった。
風のように机と教卓の間の通路を突っ切ったジミナは、いっきに距離を詰めてヨシキのワイシャツの胸もとを掴むと、力任せに横に振った。
ヨシキ
応戦が間に合わなかったヨシキがアルミサッシの窓枠に側頭部をしたたかにぶつける。
女子の短い悲鳴があがり、どよめきが広がり、グガが「ジミニヒョン落ち着いてくださいっ、」と険しい声を上げて駆け寄る。
jimin
ヨシキ
好きな子?思ってもいなかったことがジミナの口から出され少し驚いたけれど、そんなことは今はどうでもいい
jungkook
公家っぽくてひょろっとしているくせに、ジミナは抑えようとするグガの腕を一振ではねのける。
俺は立ち尽くしていたが、ジミナに押されたヨシキの上体が窓の外へ落ちそうにせり出したのを見て走り出した
ここは三階で落ちたら大怪我どころじゃない。
ヨシキに拳を振りあげようとしていたジミナに駆け寄り、手首を掴んだ。
こっちを向いたジミナの目は殺気立っていて、けれど見つめ合ううちに、徐々に激情が薄れていく。
ジミナの殺意が静まるのを確かめてから、俺は窓の外にずり落ちそうになっているヨシキの腕を引っ張った。
ヨシキは目を大きくしたが、抵抗せずに体を起こして床に下りた。
teahyong
ジミナを見つめながらなるべく食堂でごはんを食べている時みたいに話しかけた。
teahyong
あとは返事も待たずにスクールバッグを肩にかけ直して、廊下に出た。
もうじきホームルームで先生がくる。そうなったらきっと目も当てられない騒ぎになるから、その前に教室から消えた方がいい。
jimin
いきなり腕を引っ張られてよろけた。
ジミナ、どうしてそんな思い詰めた顔してるんだろう。
犯罪者の息子はお前じゃないのに。
俺のことはいいから教室に戻れとかそういうことを言うつもりだった。だけど、口をついて出たのは、全く違う、今までずっと不可解だったことだった。
teahyong
腕を掴んだまま、ジミナが眉根をよせた
jimin
teahyong
teahyong
jimin
ふは、と思わず笑ってしまった。
teahyong
jimin
teahyong
teahyong
teahyong
ジミナの頬がこわばり、瞳がけわしくなった。
jimin
切りつけられたような顔をする友人を無言で見返す。
____分からない、今はもう何も考えたくない
teahyong
俺の腕を掴むジミナの手をそっと退けて俺は走り出した。
外に出ると予想どうり雨が降っていて、俺は傘もささずにその中を走った。
俺がまだ小さい頃、父が人を殺してしまってから、その時から俺の人生は既に
____狂いはじめていたのかもしれない
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