TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
見る目ないですね

一覧ページ

「見る目ないですね」のメインビジュアル

見る目ないですね

1 - また帰るの遅くなっちゃいましたね

♥

426

2023年09月26日

シェアするシェアする
報告する

るくん

また帰るの遅くなっちゃいましたね

さくん

最近はいつもこの時間だな笑

オレンジ色の空が だんだん紫色に変わろうとしている

さとみ先輩と2人きり

この時間が最近の楽しみだったりする

るくん

そういえば、さとみ先輩って

さくん

ん、?

るくん

その、好きな...

ずっと聞きたかった

だけど、怖くて

るくん

花火とか好きですか?

思ってもない事を 聞いてしまった

電柱に貼ってあった 花火大会のチラシを 咄嗟に指さした

るくん

お祭りとか行ったりします?

その言葉を言い終えて ハッとした

やばい

これは完全に僕がさとみ先輩を 花火大会に誘う流れみたいだ

だけど、ちょっと気になる

もしかしたら

ほんの淡い期待を 募らせて

さとみ先輩を見つめた

さくん

あー

ただ一言、 あー とだけ答えた

るくん

あーって何ですか笑

さくん

俺さ、誘おうと思ってて

るくん

え?

心臓が高鳴る

さくん

好きな人いるんだよね

るくん

そ、そうなんですね!

全身で脈を打っていて

生きてることを実感した

でも

さくん

莉犬なんだけどさ

薄々気づいてた

るくん

やっぱりですか!笑

改めて聞いて思う

聞きたくなかった

知りたくなかった

心臓が徐々に痛みだす

こんな時にさえ 笑って誤魔化すような 不器用な僕だから

神様は僕になら 何をしたって許してもらえると

思ってるのだろうか

ねぇ、神様

貴方って人は本当に酷い

こんなに辛いのに 生きなければいけないなんて

なんて残酷な人なんだ

でもきっとこうやって

ありもしない空想に 逃げて神様なんかに当たって

こんな僕だから こういう運命なのだろう

るくん

OKもらえるといいですね!

僕は嘘つき

そんなこと微塵も思っちゃいない

さくん

るぅとならさ

さくん

絶対無理なこと分かってても
自分の気持ちに正直になる?

るくん

え?

さくん

いや、やっぱなんでもない

初めて見た

自分の決めたことに まっすぐなさとみ先輩が

弱々しく僕に問う

その横顔は儚くて 少しだけ目が潤んでいた

るくん

忘れようと思って忘れられる
相手なら最初から悩みませんよ

るくん

正直になるとかならないとか
そんな選択存在しないです

るくん

嫌でも好きなんです

るくん

諦めたくても
諦められない

さとみ先輩の驚いた顔を見て 我に返った

るくん

あ、すみません…急に

るくん

た、確か!
と、友達がそんなこと
言ってたなぁって…!

さくん

あはは笑笑

さくん

絶対るぅとの話だろ笑笑

さすがに苦しすぎる 嘘だったようだ

さとみ先輩はいつもの 笑顔で僕に微笑んだ

さくん

でもるぅとにそんなに
まっすぐ想われてる相手は
さぞ幸せだろうな!

さくん

振られたら見る目ないって
言ってやれ!!笑笑

自分の話だと知らずに フォローするさとみ先輩は 愚かだ

僕がここで告白したとして どうせ幸せなんて感じないくせに

ひねくれた僕の思いは 自分でもめんどくさいとは思うが

心からの本音だった

るくん

莉犬さんってたしか…

さくん

あー3ヶ月くらい前に転校してきた奴!

るくん

あー、ものの1週間で1クラス分の女性から告白されたって噂されてる人ですか

さくん

そうそう笑

さくん

下の代にもその噂広がってるんだ笑

るくん

僕の学年にもファンクラブみたいなのできてますよ

さくん

あいつすげーな笑

そういうさとみ先輩に だってファンクラブが しっかり存在してるが

そういう情報に疎いのか 本人は知らないようだ

るくん

でも3ヶ月か…

1年以上思い続けてる 僕の恋は

出逢って3か月の 間もない誰かに さらわれてしまった

僕の方が先に好きになったのに

僕の方がさとみ先輩を ずっとずっと想っていたのに

僕の方が

さとみ先輩を好きなのにな

さくん

るぅと?

前が見えない

目から溢れる大粒の涙が 僕の視界を奪った

るくん

すみません…

泣きたくなんかないのに

好きな人の前くらい かっこつけていたいのに

まるで止まることを知らない 僕の涙は

増えていく一方だった

さくん

嫌なこと思い出させちゃったかな?

るくん

いえ、違うんです…

さくん

ごめんな

そう言って僕を ぎゅっと抱きしめた

ずるい人

そんなことされたら 余計好きになっちゃうじゃん

余計忘れられない

さくん

るぅとのこと泣かせるほど
好きにさせたって相当だな

頭を撫でながら ぽつりと呟く

るくん

素敵な人なんです

るくん

強そうに見えるけど
実は甘えたがりで

好きなところは いくらでもあげられるのに

思い出せば思い出すほど 心が苦しい

嫌いになれたら楽なのに

嫌いなところが見つからない

るくん

優しいんです

るくん

こんな僕にも

さくん

まぁでもるぅとのことは
放っておけない気持ちはわかるな笑

るくん

え、?

さくん

見返りとか求めず
常に周りのために頑張ってて

さくん

そういう健気なところ
好きだなぁって思う

好きって言われた

恋愛の好きじゃないけど

ずっと言われたかった言葉が こんな形で聞けて

嬉しくて虚しい

初めての感情だった

るくん

さとみ先輩、

さくん

ん?

るくん

こんなところ莉犬さんに
見られたら一貫の終わりですよ

さくん

まー俺の恋は終わってるようなもんだからな笑笑

さくん

それに、どんな状況であれ、るぅとのこと見捨てたりしないしな

本当にそういうところ

やっと見つかった さとみ先輩の嫌なところ

こんな僕を好きに させちゃうなんて

るくん

さとみ先輩って

るくん

見る目ないですね
loading

この作品はいかがでしたか?

426

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚