目を覚まして数秒後、すぐにこの状況を理解した。
そうだ、これは夢なんだって。
だって
だって、殺されたはずの______________
いや、俺の手で殺めたアイツが、今ここにいるんだから
自分で自分の首を絞めるように、
自分の過去の過ちが、自分の今を苦しめている。
許されるような罪ではない。
いくらアイツが大事にしていた人に奉仕していたって
過去はどう足掻いても変えられない。
はやく、
はやく醒めてくれ。
ベッドで昼寝している彼を起こさないように、
静かに氷を削る。
9月も半ばだと言うのにまだ蒸し暑い。
天気予報では25℃を軽く超えるらしいし、 余ったシロップを片付けるためにも、
今、寝ている彼と俺の2人分のかき氷を作っている。
ぽんっ、といい音がなり、いちごシロップの甘い匂いが鼻を擽る。
そしてそれを積もった氷にたっぷりかける。
隣にあるブルーハワイと比較すると、だいぶいちごの方が面積が広い
まぁ良しとしよう。丁度いちごシロップも使い切ったし。
その空になったシロップの瓶を捨てに行く際、横目に彼を見る。
暑いのか、変な夢を見ているのか、呻き声をあげていた。
空になった瓶を持ったまま、急いで彼の元へ近づく。
なるほど、理解した。
多分彼は、アイツの夢を見ている。
自己嫌悪にでも陥っているのだろうか。
起こさ だからと言って、助けはしない。
ダメなんだよ。
許されていい罪じゃないから。
周りが許しても、例えアイツが許しても、
俺だけは彼を許しちゃいけないんだ。
そうとだけ言って、瓶の底に溜まった僅かなシロップ1滴を、
上を向いて苦しんでいる彼の口に零した。
コメント
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こんにちは! 井之上さんから紹介を受けて読みに来ました! とても楽しく読ませて頂きました〜🙏 特に、1番最後のシーンが...もう、とっても好きです!! シロップを1滴口に垂らす、一見性的な描写なんですが(私の中でですよ!🙌)その中に色んな感情が混ざってるんだなと感じて、鳥肌が立ちました😭 相互依存な雰囲気もあって、とにかく好きです!!!🫶 尊い作品をありがとうございます😭🙏
今更ながらにコメント失礼します…! 雰囲気とかもうとにかく全てが好きすぎます…!! フォロー失礼します…!!!🙇♀️🙇♀️