直哉
せんせー
直哉
りーつせーんせー!
教室の扉を開けて 真っ先に飛び込んできたのは
先生を呼ぶにはあまりにも 気の抜けた声だった
律
おや、直哉君ですか
律
今日は珍しく早いですね
直哉
一限から律せんせーの講義だからね〜
直哉
期待して早く来ちゃうでしょ
直哉
色々と、な?
明らかに何かを含んだ瞳を ゆらゆらと揺らしながら
ニヤッと笑って彼は近付いてくる
動揺の色を見せないように 僕は彼から視線を逸らした
律
何を期待してるのか知りませんが...
律
講義に積極的に参加する心構えは
律
褒めてあげても良いですね
直哉
褒めてくれるんなら
直哉
ご褒美が欲しいなー
僕のすぐ隣で囁かれる言葉
視界の端にスッと長い指が見えた時
僕はわざとらしく両手を叩いた
ーパンッー
律
はい、そこまで
直哉
へっ?
律
大人をからかうのも程々にしなさい
律
特に学校内では
直哉
俺、からかっ
ざわざわ
彼が言葉を発した直後
廊下から複数の声が聞こえ出す
律
...ね?
直哉
...ッ
これ以上はお互いの為に良くないと
彼もちゃんと分かっているようだ
律
直哉君
直哉
はーい
律
続きは帰ってからですね
直哉
えっ?
人差し指を口元に当て 仕返しとばかりに笑みを浮かべる
直哉
ぐぅっ...
直哉
律せんせーも大概だよな...
微かに頬を赤く染め 彼はやられたと首を振る
直哉
今日、先生の家行くから
直哉
覚悟してて
律
真面目に講義を受けたら
律
考えてあげますよ
この一言で彼が真面目になるなんて
僕もかなり自惚れている
彼は僕の右手を取り
そして自然な仕草で 薬指へとキスを落とした
直哉
その言葉、忘れんなよ
悪戯っぽく笑って君は背中を向ける
ざわざわと大きくなる雑音の中
僕は小さく呟いた
律
...
律
人の気も知らないで
早く、卒業してしまいなさい
〜fin〜
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コメント
2件
みなみちゃんが早いwww あのあの、サムネ凄いですね!!? 通知で見た瞬間『うわぁぁぁ!?』ってなりました(語彙力) そしてあの、尊いですね!?え、めちゃくちゃ尊いですね!!!? はぁ...!
はああああ!?!?!? 好きすぎるんだけど、え??? ほあ…好きすぎる…終わり方が…私の好みすぎて…うぇ…