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――夜の街の片隅、 薄暗い録音スタジオの中
機材の操作に集中する女性
疲れたと駄々をこねる女性
朱鷺 トキ
灯 アカリ
灯 アカリ
朱鷺 トキ
灯 アカリ
灯 アカリ
朱鷺は呆れ顔でため息をつく
朱鷺 トキ
朱鷺 トキ
灯はゴニョゴニョと文句をいいながらも
真面目に録る
2人はどこかの会社にいるわけでもない
ただ趣味でやっているだけだ
それなのになぜここまで頑張るのか
それは2人の前世からの夢であったからだ
彼女たちは前世という夢を抱えながら
この世界を生きていく
結局収録が終わったのは 日付が変わる少し前だった
灯 アカリ
灯 アカリ
朱鷺 トキ
朱鷺 トキ
朱鷺 トキ
そんな他愛のない会話の裏側で
ふたりの視線は、夜の静けさの中に浮かぶ「違和感」を逃さない。
誰かが彼女たちの動きを追っている
足音ひとつないのに、影が一つ増えている。
ふっと朱鷺が足を止める
朱鷺は大きなため息をつく
朱鷺の反応から気づいた灯が
灯 アカリ
灯 アカリ
朱鷺 トキ
朱鷺 トキ
すると――背後から、 まるで会話が聞こえていたかのように、
柔らかな声が割り込んだ。
太宰治
太宰治
ふたりが振り向くと、 街灯の下に立っていたのは、
茶色のトレンチコートを着た男
ひときわ目立つ包帯姿に、 気の抜けたような笑み
朱鷺 トキ
朱鷺が名前を口にすると、 灯がにやりと笑う
灯 アカリ
灯 アカリ
灯 アカリ
灯 アカリ
太宰は目を細め、楽しげに首を傾げる
朱鷺 トキ
太宰治
朱鷺 トキ
太宰治
太宰治
朱鷺 トキ
朱鷺は微笑みながらも
ポケットの中でそっと指輪を触る
この出会いは、偶然か、それとも計算か
夜の帳の下
ふたりの情報屋としての顔が
初めて“文豪”たちと交差する