由希
小さな咳だったけど由希の顔を見て 大体は察した
凪斗(ナギト)
由希
凪斗(ナギト)
くれない?
撥春
ハルは直ぐに動いてくれて 由希は俺の隣に座った
凪斗(ナギト)
由希
思うけど...
凪斗(ナギト)
由希は促されるままソファーに 寝っ転がった
透
凪斗(ナギト)
崩したらしくてね
凪斗(ナギト)
強かったのかな、
由希
大したことない
透の慌てる姿を見て由希は 何ともなさそうに微笑んでいた
撥春
凪斗(ナギト)
透
あれば お手伝いします!!
凪斗(ナギト)
由希に毛布をかけると おでこに手を当てた
由希
撥春
行ってきていい?
よく意味が分からなくて首を傾げた
凪斗(ナギト)
由希
撥春
由希
病人に大声を出させてはいけないと思って ハルには注意すると少し落ち込みながら お風呂に向かっていった
凪斗(ナギト)
だから離れていてね
透
俺を疑うことなく素直に離れてくれた
その姿に笑みが零れながらも目をつぶり 由希の体調が治るように祈った
その光に由希は包まれると 疲れたのか眠った
凪斗(ナギト)
はずだよ
透
凪斗(ナギト)
良いかな?
透
女の子が簡単に口にしてはいけない言葉で 少しだけ心配になった
凪斗(ナギト)
由希を見ていてくれない
かな?
凪斗(ナギト)
透
お任せ下さい!!
とても張りきっている姿を見て安心して 由希を任せ部屋に戻った
力を使って姿が戻ってしまって 暫くは下に降りれなくなった
凪斗(ナギト)
つつある...
感謝の気持ちで心を一杯にして どうか幸せがあるように透の為に祈った
凪斗(ナギト)
凪斗(ナギト)
燈路
聞けば喜ぶよ!
燈路は大人っぽいところがあるが 子供らしい無邪気な笑顔を見せてくれる
凪斗(ナギト)
紫呉が来たみたいだね
燈路
凪斗(ナギト)
散歩に行ってくるよ
風が吹いて とても嫌な空気を感じた
燈路
凪斗(ナギト)
紫呉が慊人に何かを言ったのか 慊人が来たみたいだった
凪斗(ナギト)
2人とも気づいてなかったのか 目を見開いて俺を見つめていた
紫呉
凪斗(ナギト)
のは許さないと言ったはず
だよね
紫呉
のを黙って見てろ とでも
言うのかい?
紫呉は何処か怒りにも感じる冷ややかな 意地の悪い微笑みを口元に浮かべていた
凪斗(ナギト)
危険に晒すな...しかも透は
俺達とは無関係なんだよ
紫呉
僕だと分かってるだろ?
紫呉は優しそうに見えて冷めているから 家に人を匿っていると聞いた時から 疑ってはいた
凪斗(ナギト)
はとり
無理矢理かき乱そうとする
のは よせ、
はとり
紫呉
何かが起こるような そんな気がして心がザワついた
紫呉
なんて無いだろ?
紫呉
もらわなきゃ...
紫呉
空気は分かりやすくピリついていて その後は誰も口を開かなかった
凪斗(ナギト)
どうか無理だけはしないで
顔が心配げに歪む杞紗を抱きしめて 皆に目を向けた
撥春
大丈夫だよ
何時もは俺が慊人の機嫌を取っていたのに ハルには申し訳なかった
凪斗(ナギト)
紅葉
凪斗に頼ってばっか
だったんだし
紅葉は俺を安心させたいのか 優しい笑顔を見せた。だが顔に 微かな不安の色が走る
紫呉
遅くはならないと思うから
皆は慊人の元へ向かって 俺は ずっと外を眺めていた
夾
凪斗(ナギト)
外の空気を吸ってくるね
夾
凪斗(ナギト)
姿が元に戻ってしまい別荘に戻りたくても 戻れなくなってしまった
慊人
紅野
数少ない俺の姿を知っている2人に 遭遇してしまった
凪斗(ナギト)
慊人
だった...お前は僕を
裏切るんだなッ!!
慊人の掴んだ力が思った以上に強くて 顔を顰めた
慊人
僕より十二支が大事だった
んじゃないかッ!!
辛そうな顔をする この子を 抱きしめたくても今はダメだった
凪斗(ナギト)
慊人
紅野
だから静かに その場を離れた
紅野
力の使い過ぎと長く外にいたせいか 俺は その場で倒れ込んだ
目を覚ますとリンが顔を覗かせて 心配そうな目を向けていた
凪斗(ナギト)
依鈴
リンは少し混乱していたけど 十二支の本能が叫んでいるのだろう
由希
透
心配したのですよ?
凪斗(ナギト)
2人が俺を受け入れているのを見ると 由希は話したのだろう
凪斗(ナギト)
体調が悪いんだね
凪斗(ナギト)
リンを抱きしめると光がリンを包んだ
依鈴
リンは罪悪感が残ってるのか 眉をひそめて下を向いた
凪斗(ナギト)
依鈴
凪斗(ナギト)
凪斗(ナギト)
待ってるから
微笑むとリンは嬉しそうな顔をして 奥へ消えていった
凪斗(ナギト)
怒られると思ったのか萎縮した
凪斗(ナギト)
時間は大丈夫なの?
由希
すぐ戻らなきゃ、
由希
少しだけ驚いていたけど 直ぐに小走りで戻っていった
由希の後ろ姿を見ていると視線を感じた
凪斗(ナギト)
透
透
思いまして、
余りの言葉に顔に嬉しさを隠しきれず 笑みが零れた
凪斗(ナギト)