終礼が終わると同時に、教室は一気に騒がしくなる。 今日は高校生活4日目で、やっと部活動見学が始まる。
4時間授業だったため、部活動の見学に行く人は教室に残りお昼を食べている。 大半の人が席の近い人や同じ中学の人とご飯を食べていて、もれなく僕もその1人だ。
アイドル部に入るためにこの高校に入学したと言っても過言ではない。 アイドルは僕の憧れであり生きる意味。
そう。アイドル部はこの高校内で1、2を争うほどに人気の部活。 入部するためのオーディションが開催されるほどには人気。
つまりそのオーディションに合格できないと僕がこの高校に入学した意味がなくなるって話。
そしてこの一星れるも、僕と同じくアイドル部に入部希望。 いわばライバル的存在になる可能性が高い。
どちらかというと可愛らしい顔をしていて、中性的なハスキーボイス。 長年アイドルを見てきた僕(DDだけど)からすればかなり注目は集まりそうな感じがする。 あ、ちなみにDDは誰でも大好きって意味だよ。
アイドル志望とは言え、ダンスは全く踊れない。 でも一応元陸上部で体力はそれなりにあると思うし、運動神経もいい方。
それに僕にはこの唯一無二の声がある。 約6年間かけて培ってきた高音は、何よりも強い僕の武器だ。
両親が元有名アイドルの紫乃宮こたくん。 ルックス最強で顔も良くて、性格もかなり優しいって女子の中では噂。 れるくんとは少し違うハスキーボイスで、何度も言うけど何より顔がいい。
両親のインタビュー雑誌とかを見ている感じ、人見知りらしいけどうまくやれているっぽい。 って言っても、僕まだ喋ったこともないんだけどね。
間違いなくアイドル部に入部するだろうし、オーディションも余裕で受かるだろうなって予想。
この高校、他にも元アイドルの子とか、現役アイドルの子がかなり多くてアイドル部にはいるだけでも難易度はすごいハード。 でもだからこそ、入部した後はあの有名アイドルグループ「いれいす」から直々に指導してもらえるらしい。
てか、もうそろそろ時間やばいし僕は見学行こうかな。 確か体育館集合だったよね。
第一印象大事だよねぇ…緊張する…。 平常心平常心。
真剣な顔で名前を呼ばれる。
オーディションは、確か3日後あたり。 合格順位を元にランクが割り振られて、A〜Dまである。
もちろん上はAランクで、ランクが上の人ほどアイドルデビューに1番近い存在と言っても過言ではない。 上のランクいきたいのはもちろんだけど、とりあえず今は合格を目標に頑張ろう!
最後の挨拶で体育館全体に拍手が響き渡る。 ライブ会場で、曲が終わった後の歓声と似たような響き。
アイドル部のフォーム……これか。 必要事項結構あるなこれ。
…アイドルを目指す理由、か。 正直に書いてて損はないよね。
一旦軽く入力しちゃって、寮に帰ってから細かいところはやっちゃおっかな。 まだオーディション日までは時間あるし。
もう早速歌とかダンスの練習してる人もいるし…僕も歌の練習しようかな。
曲は…そうだな…。 歌い切れる保証はないけど、あの曲にしよう。
取り敢えず、こんなもんか。
体育館入った後は別行動取っとったから、れるは今1人。 声かけに行こうか迷ったけど、歌の練習してるっぽいしそのままにしとくか。
にしても声高いなぁ。 周りがうるさいからそんなに声聞こえるわけじゃないけど、やっぱり高い。
だれかの心臓になれたなら歌うんかな。 あの曲最高音hihiCとかじゃなかったっけ? フルで生歌は流石に喉持たんのちゃうん?
って、こえくんの心配してる暇あるんやったら自分の練習しよ。
れるはオリ曲歌うことにした。 色々迷ったけど、やっぱり高さの問題とかも相まってワースを歌う。
オーディション前のアピールタイムは3分間。 自分で曲作ってMIXまでできるってことは相手もわかってるから、それ以外のことで3分間自分をアピールしんとあかん。
取り敢えず、内容は寮戻ってから考えることにするわ。
後ろから突然話しかけられる。 聞いたことある声…ってこれいれいすのほとけくんじゃね?
いやなんでここ居んの?
なんで知ってんのー? え、てかれるみたいな一般生徒に話しかけて大丈夫?
取り敢えず聞かれたこと答えとこう。
え、もしかしてこれもうオーディション始まってる? この段階で点数どう考えてもつけられてるでしょ。
それだけ言うとほとけ…先輩?は他の人の所へ歩き出した。 期待してるって…他にその言葉かけるべき人いっぱい居るやろ…。
プレッシャーもあれば嬉しい気持ちもあって、ちょっと複雑な気持ちになった。 気紛らわすためにも、取り敢えず何でもいいから歌おう。
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続き楽しみ!(´。✪ω✪。 ` )