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面白い!
ハル・ミカエル
ハル・ミカエル
魔王に転生した俺は、突然襲ってきた騎士を押し退け、両手の平を向ける。
絶対に死なせない。
俺の命に代えても
妹の真希を守り抜いてみせる。
シズキ・サタン
シズキ・サタン
シズキ・サタン
何も発動しない?
シズキ・サタン
シュッ!
シズキ・サタン
雪が降り積もった大きな木が真っ二つに切れ、倒れてくる。
真希──
俺はここでも守れないのか──?
2023年4月19日(水)
世良真希
世良静希
俺、世良静希は今年で16歳になる。
世良真希
世良静希
そう言いながらも、妹の可愛さには敵いそうもない。
俺の妹である真希は14歳の中学2年生。
俺達は周りから見れば仲のいい兄妹だが、実は血が繋がっていない。
だが、俺の大切な妹に変わりはない。
世良静希
スライスチーズとロースハムを卵焼きに挟んだサンドイッチを 真希の前に差し出す。
世良真希
世良真希
真希は嬉しそうな笑顔を浮かべて、サンドイッチを頬張った。
世良静希
真希は俺が作ったサンドイッチに満足すると
食べ終わった皿を洗い場まで運んでいく。
それを見て俺も食べ終わった皿を持って立ち上がり、隣で洗う。
世良真希
世良静希
俺は真希から皿を受け取ると、自分の皿と一緒に布巾で拭き、食器かごに入れる。
世良真希
世良真希
世良静希
俺は真希と一緒にマンションを出て駅まで走った。
10分後
世良静希
満員電車の中でつり革を掴みながら、隣の真希に声をかける。
世良真希
真希の伸ばしている手はぷるぷると震え、辛そうだ。
世良静希
そう言ってから恥ずかしくなり、俺は目を逸らす。
世良真希
真希はぎゅっと俺の制服のえり付近を掴んだ。
直接触れられてないのに、不思議と手の温かさを感じる。
世良静希
電車が動き出し、景色が流れていく。
俺達が通う不思議ヶ丘(ふしぎがおか)高校は
東京の中心に建つ中高一貫校だ。
一駅で通える場所にあるため、 真希と一緒にこうやって電車で通っているのだが…
朝は眠い。
マジで眠い。
朝が苦手な俺にとっては、毎日の通学は苦痛だった。
世良静希
世良真希
世良真希
世良静希
世良真希
世良静希
まだ重い瞼をこすりながら、俺達はホームに降りた。
世良真希
世良真希
世良静希
世良真希
真希は怒りながらも笑っている。
こんな平凡な日常がずっと続く。そう、思っていた──
女子中学生
突然、後ろから悲鳴が聞こえた。
振り返ると、黒いフードを被った男がすぐ近くまで来ていた。
その手には、ナイフが握られている。
世良真希
世良静希
真希は怯えたように俺の右手を掴む。
世良真希
一緒に逃げられたなら、どんなに良かっただろう。
だが、もう遅い。
俺は真希の手を振り払うと、とっさに真希の前に立ちはだかった。
真希の手の温もりが離れていくのと同時に──
グサッ
世良静希
鈍い音がし、俺の腹から血があふれ出る。
世良真希
真希は真っ青になっている。
世良静希
世良静希
世良真希
世良静希
世良真希
世良静希
世良真希
真希は涙目になりながら、走り出す。
俺はナイフを持つ男の手を強く掴む。
世良静希
世良静希
世良静希
男は抵抗し、俺の腹からナイフを抜いた。
その途端、全身に物凄い痛みが走り、俺はその場に倒れこむ。
黒のフードを被った男は、真希を追いかけていく。
世良静希
世良静希
止まれ。
止まれ止まれ止まれ…!
だが、俺の気持ちは届かず
男に追いつかれた真希の胸に
深々とナイフが刺さる様子を見ていることしかできなかった。
倒れる真希と、地面に広がる血がスローモーションのように見える。
世良静希
黒のフードを被った男は、ナイフを持ったまま逃げていく。
これくらいの痛みがなんだ。
真希に比べたら、全くたいしたことない。
世良静希
俺は力を振り絞って、立ち上がる。
そしてふらつきながらも、真希のところまで一歩ずつ歩いていく。
世良静希
気を抜いたら倒れて動けなくなりそうだ。
世良静希
世良静希
世良静希
世良静希
世良静希
世良真希
真希は何も答えない。
周りに生えている木の枝から桜の花びらが離れて舞い、真希の頬に落ちた。
俺は震える手を伸ばして真希の顔に触れる。
あんなに温かったのに
今は冷たい。
世良静希
そこで俺の意識は途絶えた。
シズキ・サタン
シズキ・サタン
シズキ・サタン
なぜか俺の頭には角が2本生え、制服ではなくえりの立ったコートを着ている。
シズキ・サタン
周りでは魔法が凄まじく飛び交い
ローブを身に纏った骸骨の魔物達と
馬に乗り、鎧を身につけた騎士達が剣で戦っている。
シズキ・サタン
シズキ・サタン
シズキ・サタン
俺はすべてを思い出し、勢いよく身体を起こす。
シズキ・サタン
真希は、どこに?
シズキ・サタン
しばらく夜の森を歩き、ようやく真希を見つけた。
真希の頭にもちょこんと2つ、小さな角が生えていて
制服ではなく、黒のフリルワンピース姿になっている。
シズキ・サタン
マキ・ルシファー
シズキ・サタン
真希に声をかけていると突然、後ろからザッと物音がした。
振り返るとそこには、ワイン色のローブを纏う人物が立っていた。
シズキ・サタン
ユナ・ブレイヴ
その人物は俺を見て驚いた顔をした。
すると、馬の足音が聞こえてくる。
ハル・ミカエル
ハル・ミカエル
シズキ・サタン
騎士は馬から飛び降りると、俺に向かって剣を振り下ろした。
シュッ!
頬が切れ、血が滴り落ちる。
訳がわからずあっけにとられていると
騎士はワイン色のローブを着た者を馬に乗せた。
ハル・ミカエル
ワイン色のローブを着た者はコクンと頷き、手綱を引くと馬が走り出す。
そして、騎士はすぐさま俺に剣で斬りかかってきた。
俺はとっさに腰の鞘に入っていた短剣で剣を受け止める。
ハル・ミカエル
ハル・ミカエル
シズキ・サタン
それがもし真実なら、つまり
俺は魔王、真希は魔王の妹に転生したことになる。
シズキ・サタン
シズキ・サタン
シズキ・サタン
このままでは俺達はこいつに殺られてしまう。
まず、倒すのが先だ。
シズキ・サタン
真希を守りながら、激しい剣さばきでやり合い
俺は騎士を押し退け、両手の平を向ける。
現実世界では、通り魔から真希を守ることは叶わなかった。
シズキ・サタン
絶対に死なせない。
俺の命に代えても
真希を守り抜いてみせる。
シズキ・サタン
シズキ・サタン
シズキ・サタン
シズキ・サタン
シズキ・サタン
何も発動しない?
嘘だろ。
シュッ!
騎士はまた剣を一振りする。
シズキ・サタン
その剣を寸前の所でかわすと
雪が降り積もった大きな木が真っ二つに切れ、こちらに倒れてきた。
シズキ・サタン
真希──
俺はここでも守れないのか──?
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
カイ・ベリアル
空から聞き覚えのある声が聞こえると、
魔法弾が騎士を襲った。
騎士は魔法弾をかわすも、衝撃で吹き飛ばされた。
万事休す。危なかった。
カイ・ベリアル
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
無造作に伸ばした銀色の髪に尖った両耳、竜の尾。
黒い服の上にマントを羽織った青年が夜空から軽やかに降りてくる。
ハル・ミカエル
ハルが尋ねると、青年は飄々と答えた。
カイ・ベリアル
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
シズキ・サタン
シズキ・サタン
ハル・ミカエル
ハル・ミカエル
カイ・ベリアル
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
逃げる魔王なんて、情けない。
マジかっこ悪い。
だが、真希を守れるのならそれでいい。
俺は眠る真希をお姫様抱っこすると、駆け出した。
広間の最奥に、大きな椅子が置かれている
恐らく魔王、つまり俺が座る玉座だろう。
ひとまず、俺は玉座に真希を寝かせる。
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
シズキ・サタン
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
シズキ・サタン
カイ・ベリアル
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
カイはマキに両手の平を向け、治癒魔法を発動させた。
カイ・ベリアル
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
美しく光り輝くシャンデリア 白いテーブルクロスがかかった長机には、キャンドルが立てられた黄金の蝋台。
そして──
シズキ・サタン
目の前には、見たこともない料理が並んでいる。
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
カイが椅子を引き、俺は腰を下ろす。
シズキ・サタン
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
シズキ・サタン
カイ・ベリアル
軽く頭を下げたカイは、近くの椅子に腰をおろした。
シズキ・サタン
俺はまず、スープに口をつけた。
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
シズキ・サタン
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
カイ・ベリアル
カイは厳しい顔をすると、おずおずと口を開いた。
カイ・ベリアル
カイ・ベリアル
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
カイなら恐らく、受け入れてくれるだろう。
シズキ・サタン
シズキ・サタン
シズキ・サタン
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
シズキ・サタン
カイ・ベリアル
椅子から立ち上がり、魔法を受け止める体勢に入るカイ。
俺も椅子から立ち上がり、カイに両手の平を向ける。
シズキ・サタン
体に力を入れて叫ぶも、やはり何も起こらない。
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
シズキ・サタン
カイ・ベリアル
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
シズキ・サタン
シズキ・サタン
シズキ・サタン
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
カイ・ベリアル
カイ・ベリアル
カイ・ベリアル
カイは椅子に座り直すと、カビたパンをガツガツ食べ始めた。
シズキ・サタン
俺も再び椅子に腰を下ろすと、考える。
満腹になれば本当に魔力が戻るのだろうか?
なんとなくだが、原因は空腹では無いような気がする。
…しかし、このままでは、魔王軍が倒されてしまう。
魔王軍が倒されたら、せっかく転生したのに俺もこの世界で魔王として生き残れない。
生き残るには魔王として立ち振る舞うしかない。
しかし、戦争なんてまっぴらごめんだ。
シズキ・サタン
シズキ・サタン
カイ・ベリアル
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
カイ・ベリアル
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
シズキ・サタン
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
シズキ・サタン
…嘘だがな。
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
カイ・ベリアル
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
シズキ・サタン
カイ・ベリアル
カイが差し出した写真には、美少女が写っていた。
白髪の長い髪に、兎がついたりぼん。尖った両耳に、くりくりと大きい瞳…
──可愛い。
シズキ・サタン
カイ・ベリアル
あの時はローブで顔が分からなかったが…
シズキ・サタン
勇者が女の子!?
シズキ・サタン
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
写真を見た俺は戸惑う。
…いや、うん。
シズキ・サタン
ますます戦いたくなくなった。
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
シズキ・サタン
カイ・ベリアル
カイ・ベリアル
カイ・ベリアル
シズキ・サタン
よし、勇者(ユナ)を落として世界平和の協定を結ぼう!