双 黒 に 狙 わ れ て ま す

岩を足場に中也の座る所まで行く。 近くにしゃがむと中也は不思議そうな顔をした。

途端に顔を真っ赤にする中也。 男子なのに裸を見られるのが恥ずかしいのかな？

脱がせようと手を伸ばすと振り払われ、 ゆっくり自分でジャケットを脱ぐ。

パーカーと中のTシャツを捲ると、 深い切り傷が顔を出した。

懐から桃色のハンカチーフを取り出す。

其れを強く傷口に宛がって止血をした。 その間中也は大人しい。

ある程度血が止まってきたら中也に止血を任せて 救急セットのポーチを出した。

中には絆創膏、消毒液、包帯にガーゼなど 応急処置に使える道具が入っている。

と、痛みで手が緩んでいたため 中也の手の上から自分の手を重ねて抑える力を強める。

引いてきていた赤みが蘇り、 首まで真っ赤に染まる中也。

渋々手を離すと「別に」と外方を向く。 年頃ね〜。

その後ガーゼをテープで止めて 上からキツめに包帯を巻き、応急処置は終わった。

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崖を下りて森の中を並んで進む私と太宰。 何故か手を握られている。

様子のおかしい太宰に首を傾げると 此方を向いて目が合った。

これが、私が十七、太宰と中也が十五歳の時の出来事。

後の双黒と呼ばれる二人が出会い、 私と太宰、中也との中が深まった、

私の中では大切な思い出である。

青の時代💙篇〖完〗