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あーキミはNやな
その言葉を吐いたのは 健康には見えない肌にヨレた黒いYシャツと白い白衣に身を包んだ青山 大(あおやま だい)。 彼は医者で、患者からは大先生と呼ばれているので俺もそれに便乗してそう呼んでいる。
彼は余程モテるのか第1ボタンが開いたYシャツの下に赤い跡が我が物顔で染み付いているのを見てなんとも言えない気持ちになりすぐに目を逸らした。 椅子に座り、パソコンに向き合いながらもカルテへと書き込んでいく。
そんな彼が言った"N"とは男女の他にある第二性、Normal(ノーマル)を意味する。 この世界で7割を占める「通称:一般人」だ。
青山 大
潮平 翔斗
青山 大
"A"と"G" 2つともNと同じく第二性である。
Aことalcohol(アルコール)は人口の2割。 その名の通り体液がアルコール成分を含まれている人間。普通の酒の様に度数がある。 3ヶ月に1度エイジングという微熱状態になるとGに体液を摂取してもらう必要がある。 アルコールを与える側。
Gことglass(グラス)は人口の1割。 Aのアルコールを体内で分解できる。 分解できるアルコール度数の許容範囲がある。 月に1度、Aの体液を摂取が必要。 アルコールを享受(きょうじゅ)する側。
*享受... 受け取って自分のものにすること。
潮平 翔斗
青山 大
ろくに俺には目を向けずに見送った彼は彼とお揃いの赤い花を咲かせた看護師へと俺を託したのだった。
確認する必要も無いほど、前を歩く看護師の首元には他にも赤い花が咲き乱れている。
潮平 翔斗
それは、青山 大が看護師に手を出しているという噂。
潮平 翔斗
大先生は一途に女性を愛する人だと思っていたが違うみたいだ。 なぜなら、そこらを歩く看護師の至る所に彼からの贈り物と思えるものと彼特製の赤い跡がある。
潮平 翔斗
よくもまぁ、病院が許しているものだ。 こんなのトラブルの火種にしかならないだろうに そうも考えているうちに看護師からの案内と共に診察代も払い終わった。
潮平 翔斗
自動ドアが俺に反応して扉を開けた。 そこを通って病院を抜けた後、口笛に鼻歌混じらせ帰った。 今日は少し、気分がいい。 だってめんどくさいAやGではないから。 めんどくさいのが嫌いな俺にとって何よりの幸福だった。